第6話クラスメイト(タイプB・C )の場合
そろそろ6月が終わり、本格的な夏が始まろうとしていた。
「暑い、溶けるてこれ…」
俺もこの灼熱の日差しに焼かれながら授業を受けていた。
席位置が後ろ側の左の端なのでクーラーも届かなければ涼しくもならない、なのに窓を開けたら冷気が逃げると言いやがる。どうすりゃいいんだ…
「おい、橘。今どこ話していたか、言ってみろ」
と古典の村上先生が授業内容の復唱を求めてきた。
「竹取の翁は黄金色の竹の節から三寸あまりの赤子を見つけ、それをかぐや姫と名付けた。三寸は約9センチほどである」
周りからおぉと言った賞賛の声が上がる。
目を閉じていても耳を働かしとけば問題はない、あくまで予習ありの段階だが。
「橘!内容を理解しているのは分かったが、聞く態度がなっとらん!」
可愛そうに、自分の思い通りにならないからといって逆ギレするなんて…。あんたかわっちまったな…
昼休み開始のチャイムは先生の怒鳴り声とともに鳴り響いた。
よし、今日は購買にでも行くか。
財布を出して500円を取り出Si…
「おーい!たーちーばーなー!」
「グゲボェエ!!!」
そうとしたタイミングで後ろに強い衝撃を受ける、あ、肋何本かいった…
そして500円玉が回転しながら宙を舞う。
「おっと、危ない」
誰かが美しいフォームを奏でながら落ちていく500円玉を見事にキャッチする。
「橘君、大丈夫ですか?」
ぶつかって来た子とは別の少女が近づいてくる。
「すまないな、ラニ」
「いえいえ、どちらかと言えばうちのレオが迷惑をかけているようで」
先程ぶつかって来た栗色のショートカットと、紫のショートカット、実は彼女らは姉妹だそうだ。
紫髪の方が姉の綿園ラニ、成績が極めてよく、俺もよく勉強を見て貰っている。
栗色の方が妹の綿園レオ、こちらは運動神経が良く。部活の応援で引っ張りダコだったりする。しかし、雰囲気のせいか、ラニはつり上がった目から棘のある言葉を含め薔薇。
レオは勝気のある目から小学生のような元気さから太陽のような印象が湧く。
「助かったよ、早速だけど購買行くから500円返してくれるかな?」
ラニは一度手のひらの500円を見つめながら
「タダでは返しませんよ?」
と笑いながら言った。
ほう、返して欲しくば条件を飲めと?いいだろう受けて立つ!
「今日弁当多く作っちゃったので一緒に食べてもらえますか?」
以外な条件だ、もっとこう、何かのゆう事を聞くとか、あれこれ命令してくるとは…
俺はまるで難関の迷路をしているかのように悩みこんだ。
「姉ーちゃん、言われた通りぶつかって来たよ!褒めて褒めて!」
「ちょっ!?」
迷路をハンマーでぶっ壊す奴がいたとは、世界ってのは広いなぁ。
しかし、これで目的が解けた。つまりラニは作りすぎたのではなく。意図的に多く作ったんだな。
「案外可愛い所あるんだなラニ」
「かわっ!?い、いい加減にしなさい!いいのですか?あなたの500円玉が私の財布に入ってしまいますよ〜」
ラニはこれ見よがしと500円玉を財布に入れたり出したりを繰り返す。
くっ、そこを突かれると痛い。財布の中身事情でだ。
「分かった分かった。だから500円玉返してくれ」
「じゃあ屋上でたべよ!僕お腹空いちゃった!」
「はいはい、橘君。行きますよ」
「あの〜、500円玉は…」
すると彼女はこちらに振り返り
「途中で逃げられるのは困るので、着いたらお渡しします」
バレてたのかよ、トホホ…。
俺は仕方がなく彼女達に付いていった。
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