第14話 出発準備は入念に


おはようございます。

今日の空の模様は水の流れみたいな模様ですね。


…どこ、ここ?


ふと、横を見たら絵本を覗き込んでいた7・8歳くらいの茶髪の男の子と目が合った。


「あ、起きた!エリシー、起きたよ、起きたよ~!」


「あ…」


男の子はこちらが何かを言いかける前に、本を閉じてパタパタと部屋から走り去ってしまう。

タンタン、と大人と子供が一緒に階段を上がるような音が響いて、エリシエリさんと先ほどの男の子が顔を出した。


「まぁ、ナガノちゃん、大丈夫?」


「おはようございます。…あれ?えーと、これは一体…?」


「あれから丸一日と半分ナガノちゃんは寝てたのよ?」


と、言う事は…

モザイク三人衆を回復したのが月曜日の夜だとすると、今は水曜日の朝…に当たるって事か。


「うふふ…朝ごはん、持ってくるから食べながら聞いてね?

…ソディスちゃん、ナガノちゃんのご飯持って来て貰える?」


「いいよ!」


朝ごはん、と言う単語を聞いて、腹の虫が凄い勢いで主張を始める。


エリシエリさんからソディスちゃんと呼ばれた少年は明るいハシバミ色の瞳をくりくりさせて、笑顔で部屋から飛び出して行った。


「具合は大丈夫?」


「あ、はい。特に何も…」


「あの後ね…」


エリシエリさんから聞いた話では…あの後、一応、あのモザイク三人衆については、無事、復活を遂げたらしい。


ただ、その際に僕の方は魔力を使いすぎて、その場で気絶…と言う名の爆睡をしたようだ。


ガルダスさん、シーザールさんの両名については、ほぼ、生前…よりも、かなり若返り…

持病の水虫もついでに完治して復活を果たしたらしい。


あの場でオズヌさん、リーリスさんが無事『説得』と言う名の肉体言語でお話を付けていただき、復活の事も僕の事もあの財宝の事も…

全部無かったことにして下さる、と快く承諾していただけた…との事。


そして、最後にあの頭が半分無かったソディスさんだが…


彼も一応、復活を果たしたものの…

その姿は7,8歳の子供のそれであり、尚且つ、当人の記憶の方も7,8歳程度まで後退してしまったらしい。


…どうやら死者蘇生の魔法には、頭部の損傷の有無が結構重要な役割を果たすようだ。


そんな訳で、ガルダスさん、シーザールさんは、子供に戻ってしまったソディス君を見捨てて、逃げるように帰っていったらしい。


「それとね~、皆と相談したんだけど…」


この『死者蘇生』については、あまり世間一般に公表しない方が良いらしい。


女神のお姉さんは軽いノリで「平気、平気」と言っていたが…

それはあくまで神様同士の話であって、こちらの世界であっても『死者蘇生』は元の世界の感覚とさほど違いは無いみたいだ。


普通は、死はあくまでも死なのだ。覆す事が出来るものではない。


…でしょうね!!

まぁ…薄々はそんな気がしてましたが…


ただ、元の世界だと、死者蘇生は完全に夢物語だけど、こっちの世界では確実に存在はしている、と知られている…と言う違いがある程度か。


そんな訳で、僕が寝ている間に、レイニーさんが僕の祝福ギフトを【鑑定偽装】してくれたらしい。


鑑定偽装、とは読んで字のごとく鑑定内容を偽る事。


…高位の【鑑定】スキルを持っている術者は、任意で下位の術者が【鑑定】した時に、その内容が別モノに見えるように偽装する事が出来るんだとか。


本来は鑑定士の昇級試験とかで使う術らしいんだけど「まさかホントに使う事になるなんて…」と呟いていたのが印象的だったらしい。


…ご、ご迷惑おかけしております。


そんな訳で、僕は、はたから【鑑定】して見ると階位6程度の術者…に見えるそうだ。

「死者蘇生」とか「若返り」とかをポンポン乱用しなければ、まぁ、怪しまれない、との事。


…気を付けよう。


そんな話をしている間に、お盆に雑炊のようなご飯を入れてソディス君が部屋に戻って来た。


「はい、朝ご飯だよ。」


「…ソディスちゃん?ナガノちゃんにお礼は?した?」


「まだ!…あのね、僕の怪我、治してくれたんだよね?ありがとうございます!」


ぺこり。


エリシエリさんに促されたソディス君が、はにかみながらも笑顔でキッチリとお礼をしてくれる。


…可愛いじゃん。

…良い子じゃん。


えっ?


あの下卑た笑いでオズヌさんを裏切り、僕を犯して売り払おうとした卑怯者のモザイク三人衆の一角とは思えない程素直じゃん?


ええー!?


何があって、このソディス君が…あんな風に育っちゃったの!?


聞けば、どうもあの3人…

7,8歳前後で両親を流行り病や戦で無くして、浮浪児として、スリや盗み等、軽犯罪を犯しながら、何とか15歳くらいまで育ち、そして冒険者に転職したのだとか。


それ故、ちょっと…いや、かなり素行が悪い事で有名だったらしい。


ただ、同じような境遇の子供は少なくない為、大人になっても素行が悪い事の言い訳にはならないのよ、とエリシエリさんは遠くを見つめながら呟いていた。


…その言葉は厳しいものではあったんだけど、本心では気の毒に思ってたり、助けてあげられなかった不甲斐無さを嘆く部分もあるんじゃないかな…?

ソディス君の頭をやさしく撫でる手と、はにかんだ少年の様子が、それを雄弁にものがたる。


「…そうそう、後ね、レイニーちゃんが驚いていたんだけど…」


こちらのソディス君…復活の際に新たな祝福ギフトを得ているらしく、もはや「死者蘇生」と言うよりも「新生」と言っても良いのでは?との事。


「この子もね、【回復魔法】を6階位まで使えるようになったみたいなの。」


「おお!仲間っ!」


「なかま~!」


ソディス君に向かってハイタッチをしようと手を伸ばすと、彼は、嬉しそうにぺしっと手を合わせてくれる。


彼の今後については…まぁ、子供に弱いオズヌさんが放っておける訳も無く。


いつもの孤児院に相談しようとしていたところ…

ふと、ステイタスを見たレイニーさんからソディス君に祝福ギフトが増えている事を聞き、神殿に相談に行ったようだ。


回復魔法の祝福ギフトを持っていると、神殿で「神官」や「巫女」と言う職に就くのが王道だとか。

安全で安定した生活ができるらしい。


ま、僕の場合【放浪者】があるから、それは難しいんだけど。


しかも、6階位と言うと、神殿内でもかなり上位の祝福ギフトに当たるらしく、もろ手を挙げて是非とも引き取りたい、と申し出があったそうだ。


「僕もね、回復術師になるの!」


「おう、頑張れ!」


「それで、これから神殿へ行くのよね?」


「うん!ちゃんとお礼言えたから、行くー!」


屈託なく笑うソディス君を見ていると、モザイク三人衆と言えども、あのまま放置しておかなくてよかったかも…と言うほっこりとした思いと、

心の片隅で実は蘇生の実験要員でゴメンな…!と言う思いが交錯する。


ま、まぁ、結果オーライ、って事にしとこう!


…他の二人も、無事更生しろよ…!


そんな訳で、今はオズヌさんは、一週間後の依頼に向けた必要品の買い出しを、

リーリスさんは門番の仕事の休職届と冒険者復帰の手続きを、

レイニーさんはソディス君の神殿入りの準備手続きとご本人の移動許可申請を、

それぞれ行っているらしい。


「移動許可?」


「ええ、レイニーちゃんはこの町の鑑定士さんだから、別の町へ出かけるには申請が必要なのよ~」


…あぁ、そう言われると「冒険者」は移動にペナルティが無い、ってオズヌさんが言ってたな。


鑑定士さんは定住すると税金が安くなったりする半面、他の町への移動には結構面倒な手続きがあるらしい。


僕?


あ、僕は、朝ご飯を食べたら、エリシエリさんのお手伝いですよ。


薬草園の水やりをソディス君と一緒にしていたら、昼前にはレイニーさんが戻って来て、今度はソディス君も一緒に神殿へと向かって行った。


「またね!神殿にも遊びに来てね!」


「おう!またね~!」


そんなこんなで、その日は過ぎ去り、翌日から僕の冒険者生活のための訓練が始まった。




訓練、と言ってもですね…別に先生はオズヌさんではありません。


「いいデスか、ナガノ君!」


「はい、レイニー先生!」


「ワタシ達、非戦闘員がこのような冒険中にするべき事は、まず、戦闘員であるオズヌさんやリー兄ちゃんに迷惑をかけない事が第一デス。」


……ですよねー。


まぁ、ほら、たった一週間かそこらで、あのもふもふキーウィ剣士と渡り合えるようになるなんて、夢にも思ってませんよ?


動体視力すらついていけてないのに、体がついていける訳ないじゃないですか。


「まずは、戦闘が始まったら、狙われないように隠れる!

逃げる!それを頭に叩き込んでおいてくだサイ。」


「はい!」


「攻撃はもちろん、防御しよう、などと思ってはダメです。」


「はい…でも、防御もダメなんですか?」


「ワタシ達程度の防御力、相手にとっては紙も同様デス。

回避できなければ『死』だと心得た方がいいデス。

…まぁ、ナガノ君程の階位があれば、自分に回復魔法をかけっぱなしにすれば、

頭が吹っ飛ばない限り、即時治癒されるかもしれないデスけど…

たぶん、痛いデスよ?」


そりゃ、痛いでしょうね!?

つーか、そんな器用な真似できないよ!?

やりたくもないし!!


「まず、最初の【技能】は隠れる事、です。…良いデスか?…【隠伏】」


「を?」


小さく呟いたレイニーさんの気配が急激に薄くなった。


いや、目の前に立っているのは分かるんだけど、存在が希薄になる…と言うか

そこに居るのに、気にならなくなる…と言うか

…限りなく透明に近い…と言うか…


目をそらすと、そのままレイニーさんがどこに居るか分からなくなるような不思議な感覚に襲われる。


「これは…動いたり喋ったりすると効果が薄れるんですけど…」


その通り、レイニーさんが口を開いた途端に、その不思議な感覚は一気に消えていった。


「野生の魔物にも、案外気づかれずにすみマスよ。」


「へー、凄いですね~、それもレイニーさんの祝福ギフトですか?」


「いいえ、これは【技能】デス。」


「…?えーと、何が違うんですか??」


レイニーさん曰く、大きく分けて、自分の努力次第で勉強したり練習したりすることで手に入れられるのが【魔法】と【技能】。


本人の努力にはあまり関係なく、生まれつきだったり、特殊な方法で手に入ってしまうのが【祝福ギフト】と【強制ギアス】。


そして、これら4種類をまとめて【スキル】と言うらしい。


「つまり、先ほどの【隠伏】は、ナガノ君も練習すれば、できるようになりマス。」


おおお!なるほど!


「本当はこの上の技能【隠遁】をマスターすると、多少動いても気づかれないんデスけど…

ワタシも、そこまでは習得していなくて…」


ちょっとバツが悪そうに眼をそらすレイニーさん。


まぁ、町で一般市民として生活するなら、そこまでは中々使わないのかもしれない。


「でも、先ずは【隠伏】デス。

ナガノ君は回復魔法を使えマスよね?

あの感じで、魔力の代わりに気配や存在感をうすーく引き延ばす感じデス。」


「はい!…ぐぐぐぐぐぐ…ぎぎぎぎぎぎ…」


いや、これ、難しいよ!?

いきなり、気配をうすく引き伸ばすと言われましても…!


「訓練に一番良い方法がありマス。」


「何でしょう、先生!」


「かくれんぼデス。」


かくれんぼかい!?


「10数えますから、ウチの庭から出ないで隠れてくだサイ。いーち、にー、さーん…」


ええっ!?早い、早いよ!?


レイニーさんは目を閉じるなりカウントを始める。

僕はとりあえず農具っぽものを納めている倉庫の隅の藁束の下に隠れて息をひそめた。


なるべく、うすーく、平たーくイメージしながら。


「きゅー、じゅー。探しマスね。………………はい、ナガノ君、見つけました。」


ものの数分もしないうちに、ツンツン、と背中をつつかれてあえなく御用。


そんな感じで、午前中はほぼ、かくれんぼに費やされました。


しかし、侮るなかれ、かくれんぼ…

僕はまだまだ全然なんだけど、レイニーさんが隠れるとマジで見つからないんだよこれが…!

庭の広さは学校の教室くらいの…それ程『広い』って感じる敷地でもないのに…!


しかもあの人、いつも白っぽい服だし、明るい黄緑がかった金髪だから、この耕された茶色い大地で目立たないはずが無いのに…!


結局最後は庭に僕たちを呼びに来たエリシエリさんのスカートをめくると言う荒業を使ってようやくみつける事ができました。


あ、もう、それは二度としません。

色んな神々に誓って…はい。


世紀末覇王メガネ怖い。



「あと、ナガノ君は受け身の練習もした方が良いかもしれないデスね。

…足元が崩れてある程度の高さから落下した場合は、受け身が取れるとダメージが小さくてすみマスし…

後でリー兄ちゃんかオズヌさんにお願いしておきマスね。」


「はい。…って、レイニーさん、受け身は?」


「ワタシは…一応、【変身】で飛べマスから…」


あ、そうか。


小鳥だった、この人。


…飛べるんだ…良いなぁ~。

魔法で自由に空を飛ぶってちょっと憧れるよね。


「そして、野営時にはキャンプのお手伝いと食事の準備、後片付け…

町に着いたら宿の手配や情報収集…この辺りはお手伝いしても良いかもしれないデスね。

ただし、町も治安が悪い可能性があるので、単独行動は原則しない方が良いデスね。」


「はい。」


うん、まさに裏方って感じだね。


「まぁ……最大の難関は移動なんデスけど…」


レイニーさんが小さくため息をつきながら呟く。


「移動?」


「そうデスよ。つまり、歩く速度デス。

…オズヌさんも、リー兄ちゃんも速いんデスよ…」


町中はそれ程でもないが、町と町をつなぐ街道には、魔獣やモンスターと呼ばれる危険生物が闊歩している。


そのため、街道とは可能な限り早く、しかしいざと言う時へばらないように体力を残して移動する必要がある。

しかし、これがかなり難しいのだ。


例えるなら、箱根駅伝の途中で恐竜に追われる可能性がある、と思っていただければキツさの想像がつくだろうか。


確かに…改めて考えてみると、

あのダンジョンからこの町まで、オズヌさんはもふもふ形態で高速移動をしていた。


まさか…あの速度で移動するのか…?


いやいやいや、絶対ついていけない。


…あの人間離れした隊長さんはともかくエルヴァーン君だってキツイんじゃないか?

だって、速度は車並だよ!?


「何だ?だったら、乗せてやってもいいぞ?」


「あ、オズヌさん!」


庭で小休止をしていた僕たちに、用事の終わったらしいオズヌさんが声をかけてくる。


「でも、僕とレイニーさん二人も乗ったら大変じゃないですか?」


一応、小柄とはいえ、成人男子と子供だもんね。

…たぶん、荷物も6人分になるから増えるし。


「いや?リーリスも乗せるし…レイニーなんてお玉1杯分くらいのもんだろ?」


おたま!?


「ナガノ、両手、こうやってろよ?」


そう言うと、オズヌさんは顔を洗う時に両手で水を掬うみたいなポーズをする。


「へ?こうですか??」


「レイニー。」


「…まぁ、良いデスけど、ナガノ君、手は動かさないでくだサイね。」


そう言うと、ピュイ、と言う口笛にも似た小鳥の声と共にレイニーさんの姿が消えた。


「あれ?レイニーさんは?」


「ほい、これだ。」


オズヌさんが、ごそごそとレイニーさんの立っていた位置から、何かを拾い上げて僕の手の上に乗せる。

そこには、小っちゃくて全身真っ黒くてもふもふの…

ガチでスズメくらいの大きさの小鳥がちんまりと鎮座していた。


「えっ!?えっ!?ナニコレ!?」


「これが【ブラック・ロビン族】だ。」


「えっ…じゃ、これ、レイニーさん?」


「そうデスよ。」


おおおおお!?


小鳥が喋った!!


小さくなったせいで、声まで小鳥みたいになっちゃってる!


しかも、人の姿は割とカラフルなカラーリングなのに鳥の姿になると、瞳、クチバシ、足まで含めて全身真っ黒なんですね。


唯一他の色と言うと、足につけてる青い環のような物だけだ。

多分これ、オズヌさんが変身した時、衣類を仕舞っておく宝石と同じものだと思うんだけど

…ごめん、僕の眼には絶滅危惧種の野鳥が個体識別のために付けられてる足環にしか見えない…


「な、お玉1杯分くらいだろ?」


文字通り、手のひらの命。


あああああ、手乗りぴよ!

足、ほっそいぴよ!

ほわぁぁぁ、ちょこちょこ動いてるぴよ!

かわいいぴよ!ぴよぴよ~!!

ちんまいながらもお腹ぬくぬく。

ぴよぴよふわっふわ。

野鳥をこんなに近くで見る事なんて無いから、嬉しいぴよ!」


「ナガノ…お前さん…小鳥好きか?」


「へっ!?どうしてご存知なんですかっ!?」


「いや…うん…その…心の声が漏れてるぞ…」


「えっ!?」


あれぇ?

ぴよぴよ呟いていたのかな?


パタパタ、とレイニーさんが飛び立って、僕の肩にちょこん、と留まる。


ぐぅかわ…ッ!


「ナガノ君?落ち着いてくだサイ…

でも、この姿だと、どんな攻撃でも喰らえば瀕死か即死デスから、ちょっと怖いんデスよね…

例え、相手に攻撃のつもりが無かったとしても。」


あー…うん、まぁ…そりゃ、そうだろうなぁ…


つーか、10歳児程度の僕でも握り潰せそうだもん。

絶対しないけど…!


なお、変身できる祝福ギフトの中でもここまで小さなサイズに変身できる種族は大変稀なうえに、あまり世間に知られていないらしい。


大概【変身】は、本来の動物よりも大きくなる傾向が有るんだとか。


確かに、オズヌさんのキーウィは軽乗用車サイズだったし、エルヴァーン君の変化した狼だって、普通の狼よりも3周りくらいは大型の個体だった。


そのため、この国では、大型の野生動物は【変身】した亜人さんの可能性が高い為、狩猟対象としてはいけない、と言う法律まで有るんだとか。


ちなみに、その理屈で行くと、レイニーさんみたいな普通の動物とたいして大きさが変わらない種族は保護の対象から外れてしまう。


それでもほとんど問題にも事故にもならない程、小型の変身種族は少ないんだとか。


「でも、この姿なら、軽いから、ナガノの頭の上にでも座ってりゃ良いだろ?」


「それだと、急に元に戻れないじゃないデスか!?ナガノ君つぶしちゃいマスよ!?」


「戻る時は降りれば良いだろうが。」


それもそうだ。


「個人的には全ッ然オッケーですよ?」


むしろちょっと嬉しいし。


「…考えておきマス…」


「と、言うか、高速で移動するときは問答無用だからな。」


「……ハイ。」


どうやら選択の余地は無い模様です。

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