第17話 ベランダブッフェ その1
ただいまベランダは、野鳥たちのランチビュッフェとなっております。
主なメニューは、ブロッコリーの葉っぱとお米です。
ブロッコリーは、苗から育てているものです。
よく、お店で売られている部分は、花蕾……つまり花の蕾が集まっているもので、地面からまっすぐ伸びる茎の頂点にあります。
茎の脇からは、大きな葉っぱが互い違いに生えていて、これも食べられます。
柔らかいところだけを使って、炒め物やおひたしなど……味は、クセのないほうれん草みたいな感じでしょうか。
そんなブロッコリーの葉っぱには、ヒヨドリがやってきます。
以前、ブロッコリーを育てていた時に、ヒヨドリが葉っぱを食べにやってきていたのですが、夏場にゴーヤを作るようになってから、少し時期がかぶるので、ここ数年はブロッコリー作りをやめていました。
昨年は、久しぶりにブロッコリーを育てようと、ゴーヤを早めに片付けて、苗を買ってきました。
何かあって苗がダメになるかもしれないので、晩生(おくて)と中早生(なかわせ)をひとつずつ購入です。
晩生と中早生というのは、収穫までにかかる育成期間のことで、品種によって違います。
収穫時期をずらしておけば、どちらもうまく生育できたときに、順番にゆっくり消費できるという目論見です。
苗を買ってきてから、植え付けまでに数日外に置いておいたら、青虫がついてしまったので、プランターに植えつけてからは、目の細かい防虫シートを被せておきました。
苗が小さいうちは、葉っぱを食べられてしまうと生長できなくなってしまうので、しばらくはヒヨドリにもご遠慮いただくためです。
それから数ヶ月、どちらの株もそこそこ大きくなり、中早生の方は、収穫目安の期間を過ぎたのですが、花蕾が全くできませんでした。
(晩生はけっこう大きく育ってきてるけど、もしかして、生育失敗なのかしら……失敗なら、これ以上シートで守る意味もないかしら?というか、シートのせいで日照不足になってるのかも?)
どうしたものか、と考えた末、晩生のほうだけシートを外すことにしました。
花蕾が出来ない理由がわからないので、とりあえずそれぞれの株で条件を変えて試してみよう、ということです。
晩生は株が大きく育っていたせいか、葉っぱがシートからはみ出てしまっていて、そこが既にかじられていたので、外すとさらに激しくかじられる可能性がありましたが、もともとヒヨドリとシェアするつもりだったので、それはそれで。
シートを外して数日、休日の日中に、ふとベランダに出てみると、
バサバサァッ
ギャアー
ギャアー
「わあっ」
ブロッコリーのプランター近くから、二羽のヒヨドリが悲鳴をあげて飛び去って行きました。
シートを外してから、葉っぱが次々とかじりとられていたので、急に無遠慮になったわね……と思っていたのですが、来客が多いせいもあったようです。
晩生の株はその後、ほとんど丸裸になるまで、葉っぱが食べられてしまいました。
花蕾の方はというと、中早生の株の中心に塊が見え始めると、2週間ほどであっという間に大きくなりました。
連日暖かいせいか、危うく花が咲きそうなほどだったので、慌てて収穫してベーコン炒めにしました。
中早生はもう収穫してしまったので、シートを外しても良いのですが、こちらは葉っぱが無傷なので、それも人間が食べようかなー、とちょっと考え中です。
でも、晩生の株が裸になってからも、期待を込めてベランダに様子を見にくるヒヨドリたちがいるので、そちらに譲ることになりそうです。
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