第6話 このあとすぐ!
※痛そうな話が苦手な方はご注意!(痛い話ではないです)
数年前に、生まれて初めて全身麻酔をする手術を受けました。
それなりの危険があるのは意識しつつも、予防的な意味が強いものだったので、どちらかといえば好奇心でドキドキしました。
ドキュメントやドラマで手術のシーンがあっても、手術台の上で処置されているところしか見たことがないので、そこに至る流れは未知のものでした。
当日、手術室へは自分の足でテクテク歩いて行きました。
テレビなどで見かけるときは、ストレッチャーで運ばれているので、ちょっと意外に思ってしまいました。
考えてみれば、手術で傷を作る前は動けるわけですから、そりゃあそうなのです。
手術をする部屋に入る前に、準備のための部屋に入ります。
部屋着から手術着に着替えて、それまで着ていたものは袋に詰めてスタッフの方に渡します。手術後に、私のベッドまで届けてくれるのだそうです。
準備ができたら、いよいよ手術室に入ります。
スタッフの方に先導されて、長めの廊下を歩いて、広めの部屋に入りました。
冷房が効いているのか、なんだか肌寒い……感染症を防ぐためなのかしら、と想像しました。
手術台にも、自力で上がります。
背に対して高めだったので、よっこいしょと気合いを入れてよじ登りました。
自分で歩いて行って、自分で手術台に上がって、仰向けに寝てくださーいと言われて、はーいと仰向けになり……見覚えのあるスタンバイ状態に至るまで、なんでも自分でやる流れに、そうかーそうだよねーと、ひとつひとつ感じ入ってしまいました。
麻酔の前に、まずは、背骨に沿って腰に細いチューブを入れました。
先に体表に麻酔を塗るので、刺さる痛みは特になく、ずろろっと入ってくるのだけが分かりました。
そのときは、何のためのチューブかよくわかっていなかったのですが、そこから痛み止めが点滴で入るので、手術の後もしばらく入れっぱなしにするものでした。
「今から麻酔の注射をしますが、人によっては咳がでるみたいです」
スタッフの方から言われて、ほほうなるほど……と思っていると、腕に注射をされた瞬間に、肺の中に何かが充満したような感じがして、むせて咳き込みました。
本当に咳がでるんだー、肺から離れたところに注射してるのに即反応でるんだなー……と感心していると、酸素マスク的なもので口元をおおわれました。
「いま酸素がでてます」
(酸素がでてるって言ってくれるということは、麻酔がで)
……るときも教えてくれるのかな?
と思う前に意識がとぎれたようです。
海外の医療ドラマなどだと、患者が数字を数えたりして、麻酔が効いて意識がなくなるまで、多少時間がかかるような描写があるのですが、けっこういきなりなんですね。
私が効きやすいだけかもしれませんが……
そのあと、いわゆる「せーの」で体をベッドに移されたような気がしてから、名前を呼ばれたような気がして、薄ぼんやりと意識が戻りました。
お腹を切って穴を開けたわりには、本当になにも覚えていません。
意識がなくなってから、次に気がついたときまで、自分の感覚では一瞬でした。
すごいです、全身麻酔。貴重な体験ができました。
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