第6話~ナイト オブ エントバトラー~
リーナは急いで神官着に着替え樹神の間に行くと、既にレアンとカルラが護衛3名と共に樹神兵に乗り待っていた。
「遅いぞリーナ、置いて行くぞー」
「ごめんなさい」
リーナそう言うと急いでアルシュールに乗り込みVC(ヴァインコネクション)を済ますとモニターに景色が広がった。
アルシュールの起動を確認するとレアンが樹神兵通信で全員に聞こえる様に
「Knight of entbutler.(ナイト オブ エントバトラー)出撃!」
レアンがそう言うと兵士達が「お、おう!」と違和感ありありの返事をした。
この違和感はリーナが樹神兵にアルシュールと名付けた翌日に遡る。
レアンがファーシェに常駐している樹神兵騎士団の樹操者全員に緊急招集を掛けリーナも呼ばれ樹神の間に集まっていた。
緊急招集で兵の中には「大規模な戦争作戦か?」などの話が上がった。
全員が集まりレアンが現れると
「樹神兵騎士団の全員をこの場に集めたかったが、境界線の守備もありそれは叶わなかったが集まってもらった諸君達に良い知らせが2つある」
レアンが2本の指を立てると兵士達が少しざわつきベルンハルトがせき払いをすると静かになった。
「まず1つ目だが・・」
レアンはそう言うとレアンがリーナを手で呼び横に立たせると
「1部の物は知ってると思うが紹介する、今日から正式にわが樹神兵騎士団の仲間になったリーナ・カートラインだ」
レアンがそう言うと兵士達がざわついたが、予想の反応とばかりにリーナの樹神兵を樹神泉から出した。
「リーナの白き樹神兵アルシュールだ」
兵士達は始めて見る白い樹神兵アルシュールに驚いでるいるとレアンがアルシュールを指差し
「この樹神兵にはアルシュールと言う名前があり自然・慈愛のご加護があるとされていて、200年前にファーシェに現れた戦いの樹神兵ローズと同じ物だ」
兵士達は『戦いの樹神兵ローズ』と聞いて驚きから徐々に歓声に変わり、『女神ローズの再来だ』『女神リーナ』『白き樹神兵アルシュール』などと叫びだした。
リーナは『ちょ、ちょっと待って・・』とレアンに抗議しようとしたが大歓声にレアンに声が届かなかった、そしてレアンが手で歓声を鎮めると
「そして2つ目は、わが樹神兵騎士団を身内だけではあるが名称を変える!」
熱の冷めない兵士達が期待しているとレアンが拳を握り
「樹神兵騎士団・・樹神エントの戦士・・そして」
そして拳を高々上げると
「我々樹神兵騎士団をKnight of entbutler.(ナイト オブ エントバトラー)と名付ける・・そして各々のエントバトラーに名前を付ける事を義務付け10日以内にイジュに届けるように・・」
レアンはそう言うと上げた拳を兵士の方に向け
「心配するな親父の許可は取ってある」
ここにいた兵士達は『女神ローズの再来』『女神リーナ』『白き樹神兵アルシュール』『国王の許可』の4連コンボで士気が最高潮に達したが、リーナ、ベルンハルト、カルラの3名だけは『やってしまった』と頭を抱えた。
「それでは皆に先駆け俺の樹神兵『アジュガ』を紹介しよう」
その声に合わせレアンのいつもと何も変わらない紺色の樹神兵が樹神泉から現れると、何故か兵士達から『アジュガ』コールが始まり、それを正面から見ていたリーナは「これは間違いなく洗脳だ」と思いアハハと頭を掻いた。
こうして兵士達の間に話が広がりレアンの狙い通りファーシェの兵士全体の士気が上がった。
トカゲのいる目的地まで樹神兵で歩いて2日の行程予定。
城の樹神兵の格納口からレアン、カルラ、護衛3機、最後にリーナと専用通路を歩いているとそれを見に来た子供達が手を振りながら
「レアン王子の樹神兵が1番いい」や「紫の樹神兵の方がいい」などの声があったがリーナの白き樹神兵が最後に現れると子供達が一斉に『白い樹神兵始めて見た』や『王子のよりカッコイイ』『おっきいひまわりだ』など始めて見る樹神兵に歓声を上げ見送ってくれた。
「フフフ、子供たちよ・・まだ『アジュガ』の良さが分かってないない様だな・・」
『アジュガ』の樹操房でレアン王子が眉毛をピクピクさせながら1人呟いていた。
樹神兵の水分補給を兼ねて最初の小さな村に向かう途中リーナは気になる事をレアンに2つの質問をした。
「200年前に1度1つになった国が何でまた2つになった?」
「何故グレバルトにも樹神兵がいるの?」
レアンはその質問に困った様に
「俺はまだ生まれていなかったから詳しい事は知らないが、聞いた話では曽祖父の即位の時に曽祖父を暗殺しようとした曽祖父の弟とそれを支持していた組織があって、暗殺に失敗した弟は樹神の樹の1部を持って火山の西へ行きグレバルトを造りその後に組織に騙され殺されたそうだ・・2つ目の質問の答えにもなるが向こうの樹神の樹はこちらの樹の挿し木の様な物で普通には樹神兵が創れない・・創るのに人間と言う生贄が数人必要で・・それで条件にあった人を誘拐しているんだ」
リーナは誘拐と聞いてこないだの事を聞くとレアンが
「その誘拐情報を手に入れた俺達は救出に向かったんだ」
リーナはあの時助けた人達が生贄になっていたらと思うとゾッとした。
「そんなに国王になりたいものなんですか?」
リーナが不思議そうに言うとレアンが笑いながら
「俺はやりたくないね面倒だし・・でもこのままの順番だと俺が国王なのか?やりたくねぇーまぁー親父にはなるったけ長生きしてもらって、その間俺は自由にやらせてもらうけど」
王子がそう言うとベルンハルトが王子それは失言ですと言わんばかりに咳払いをした。
そんな話をしていると樹神兵の給水の村の近くに着いた。
レアンは樹神兵を降り村に向かい村長に近くの水源を借りる事を伝えると、その近くの水源脇にテントを張った。
リーナはテントを張りを終わらすとレアンに村で休息しないのかと尋ねると
「エントバトラーが村にいると『ここで戦争するんですか?』って思われるから小さな村や町にはエントバトラーでは入らない事にしているんだ」
「へぇーレアンって国民に優しいんだね」
リーナがそう言うとレアンが慌てながら
「お、俺は優しくなんかない、そ、それよりエントバトラーの給水を教えるからついて来い」
リーナはレアンのいい所を見つけた気がした。
そしてその夜、リーナは夢を見た。
何も無い空間に1人立っていると後ろから声がし振り向くとそこに樹神兵のアルシュールが立っていた。
「私はアルシュール、貴方の信仰する自然・慈愛の神・・」
「アルシュール様なのですか?」
リーナはそう言うと現れた神に膝をつくと頭を上げる様に言われ上げると。
「この世界に来た貴方は1日も休まず私へのお祈りをしてくれました・・その信仰を認め私からの贈り物を上げます・・」
「贈り物?」
「貴方の天命と引き換えに1度だけ願いを叶えてあげます・・」
アルシュールはそう言うとリーナの母親がくれた赤いネックレスと同じ形状のネックレスを渡し消えて行った。
「あ、アルシュール様・・私はこれからどうしたら・・・・」
リーナは消えた神を追い駆けようとして夢から目覚めると自分の胸元を手で触り1つだったネックレスが2つになっていて取り出すとそこには赤と白のネックレスがあった。
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