第5話~秘密と約束~
ちょい読み用設定資料
ザレイド島
1年の平均気温が20度、1月~6月は春、7月~12月は秋と言う夏と冬の無い過ごしやすい環境。
中央に火山があり島を東西に分断している。
火山の周囲は毒ガスにより住む事が不可能。
面積は35000平方キロメートル(埼玉県のほぼ10倍の形と大きさ)
島の60%を木で覆われている。
火山近くには全長5~15mの雑食巨大トカゲが住んでいて食料が少なくなると人を襲う事もある。
巨大トカゲ:酸、毒を吐く、皮は硬く鎧に使用、毒のある部位を除き食用にもなる。
ファーシェ
火山東側中央に首都ファーシェと中都市が2つあり総人口は50万人
所有樹神兵:40体
ランク内訳:☆6×1 ☆5×2 ☆4×2 ☆3×5 ☆2×10 ☆1×20
宗教:兵士達は戦いの女神ローズが主な信仰対象で国民は個人の自由
グレバルト
火山西側中央に首都グレバルトと中都市が3つあり総人口は70万人
所有樹神兵:67体
ランク内訳:☆6×1 ☆5×2 ☆4×4 ☆3×10 ☆2×20 ☆1×30
宗教:国王が絶対で特に信仰対象は無いがこちらも国民は自由
火山の上下からファーシェとグレバルトを行き来する事が可能だが火山の毒ガスにより通れる場所は限られている。
アルシュールを起動してから3日後の朝食前のお祈りに樹神の間に向かおうと準備をしていると、いつもの笑顔でレアンがリーナの部屋にノックもしないで入って来た。
「リーナー今日は操縦訓練を止めてちょっと遠いけどトカゲ狩りに行こう」
「お、おはようございます・・ってノックぐらい・・と、トカゲですか?」
「そそ、アルシュールで」
リーナが想像したトカゲは10cm程度だったがアルシュールでと言われ
「何でアルシュールで行くんですか?」
「何でってアルシュールじゃないとリーナが食われちゃうから」
「く、食われる?」
リーナが10cmのトカゲに捕食される自分を想像しているとレアンが両手を広げ
「だって小さい子供でも5mはあるし、大人のトカゲならリーナを一飲みだぞ」
「ご、5mって・・そんなトカゲがいるんだ・・それでトカゲ狩りに何で行くの?」
「火山近くの村で目撃情報があったのと兵士の鱗鎧の材料が少なくなったから取って来いって言われて、それでリーナの戦闘訓練に丁度いいやって引き受けてきた」
「・・・・」
リーナは爬虫類は嫌いだし行きたくないと目で訴えたが。レアンが笑顔で無視して
「朝食食べたら出発するから」
そう言って部屋を出て行ってしまい、リーナは閉まる扉を見ながら
「レアンっていつも私の意思は無視するから嫌い」
そう思いながら扉に向かって思いっきり『イーー』をすると扉が開きカルラに見られてしまった。
「カルラだ入るぞ・・リーナ・・何て顔をしているんだ?」
「あ、い、いや、小顔になる体操で・・」
リーナが誤魔化そうとするとカルラは扉を閉めため息をつきながら
「王子か?まったくあいつはいつもそうだ・・」
カルラはそう言うとリーナに近づき椅子に座ると小声で
「リーナは王子が嫌いか?」
リーナは突然言われ顔を赤らめ両手を振りながら
「き、嫌いじゃとかじゃないけど、ちょっと強引だなって・・」
「だよな、でもその強引な事に当分付き合ってやってくれないか?」
「付き合う?」
「そうだ、あいつはお前を気に入っている」
「え、あ、気に入ってるって言われても・・私は・・」
リーナが真赤になった顔を隠すために下を向きながらモジモジ言うと。
「気に入ってると言っても好きとかじゃなくてだ」
カルラはリーナの反応を見ると『この娘はいじると面白い』と思いながら一瞬笑みを浮かべ元の顔に戻ると
「これから話す事はリーナの心にしまっておいてくれるか?」
リーナはカルラに黙って頷くと。
「何年か前までのあいつはお父様も手を焼くと言うか・・どうしよも無いやんちゃだったんだ、そしてあいつにはリーナと同じ年のティーナって名前の妹がいたんだが2年前に戦争の巻き沿いで怪我をされ亡くなった、その死に際にティーナがレアンを呼んで説教してだな・・そのお陰で今のレアンになったんだ」
「そんな事があったんですか・・」
「それでリーナがあの森で落ちてきた時に頭を打った後に目を開けたら一瞬『ティーナ』に見えて更にリーナが名乗った時に『リーナ』を『ティーナ』聞き違い本当に『ティーナ』が落ちて来たと思ったらしい」
「私ってティーナって人に似てるんですか?」
「似ているのは・・名前と年と黒髪・・後は目の色くらいで・・それ以外は全然似ていないがな」
「ははは、そんなおとぎ話みたいな話は無いですよね」
リーナが頬を掻きながら言うとカルラが真顔で
「リーナ・・あいつは王子ではあるが過去のせいで立場があまり良くない、本当だったら親衛騎士団の団長になるはずだったが、国王に『お前は騎士団には入れん』と言われ、その時に酔っ払った勢いで樹神の管理をしていたイジュを脅し勝手に樹神兵の儀式を行い今の樹神兵を創り、事もあろうか父親に直談判して樹神兵騎士団を設立させた・・まぁー国王としても樹神兵は多い方がいいし、先に樹神兵を所持していた私とベルンハルトの配置に困ってい国王がレアンの面倒を押し付けたってところだ」
「それで私にティーナの代わりをしろと言うのですか?」
「代わりと言うか・・レアンの・・目標に付き合ってくれればいい」
「目標?」
「あいつはティーナと約束をしたんだ『この俺が戦争を終わらせてやる』と、そしてティーナが『終わったらお墓に報告しに来てね』と笑顔で言いそして息を引取ったんだ・・あいつはそれから葬式にも出ず今までも墓参りすら行っていない・・国王から相当怒られたがあいつは『俺が戦争を終わらしたら会いに行く』と言い全く言う事を聞かなかったそうだ」
「なるほど・・でも私に出来るかどうか・・」
リーナが頭を掻きながら言うとカルラが
「出来ないと元の世界に戻れないんじゃないか?だから樹神兵が創れてもこの国に留まっている・・リーナそうじゃないか?」
「多分カルラさんの言う通りです・・まだ分かりませんが私の探しているクエストはこの戦争を終わらせる事が一番有力ですし・・」
「ならレアンと一緒にこの戦争を終わらせないか?それでも元の世界に帰れないなら私とレアンで一生を掛けても手伝う」
リーナは元に戻る方法が今のところ他に見当が無いのと、カルラの熱い気持ちがとても嬉かったので
「分かりました、足手纏いにならない様にします」
「そうか、ありがとう、レアンも喜ぶと思う・・」
ここでリーナが疑問に思った・・カルラがレアンの事や妹とのやり取りとかの事をよく知っているなと・・そして思い切って聞いてみた。
「カルラさん1ついいですか?・・」
「どうした?」
「カルラさんってレアンの事とか詳しいですよね?」
カルラは俯き少し黙った後、小さく声に出した。
「私はティーナ様が亡くなった日まで・・レアンの婚約者だったから・・」
リーナは慌てて謝りながら
「この戦争が終わったら、もう一度・・」
リーナがそう言うとカルラが顔を上げ少し潤んだ瞳で笑いながら
「この戦争が終わったら・・もう一度・・嫁にしてくれと頼んでみるか」
「リーナは応援しますから・・アルシュールのクレリックとして約束します」
「それは心強いな」
カルラはそう言って目を腕で拭いながら椅子から立ち上がると目が赤いがいつもの顔に戻り
「リーナ時間を取らせたな・・出発は5分後だから」
カルラはそう言うともう一回目を手で擦ると部屋を出て行ってしまった。
「よし!帰る為にも皆の為にもがんばる・・って5分後?まだお祈りも朝食も終わっていないしー」
リーナはただ帰りたいだけの気持ちでここに残っていたが、その気持ちが少しずつ変化して行き、そしてカルラとの約束が後に自分を困らされる事になるとは思ってもいなかった。
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