第4話~樹神兵 アルシュール~
リーナは起動、操作訓練の時間の前に樹神の間に来ていた。
成長が終わり装甲が白くなった自分の樹神兵を見上げていた。
「最初は骸骨だったからどうなるかと思ったけど、神官着もアルシュールの物でいい感じだし、何よりひまわりが可愛い」
リーナは大好きなひまわりの花がとても気に入っていたが、後にその威力を見た者がこう語っていた『あのひまわりは巨悪だ』と
そして鼻も口も無く細い目だけが他の部位とは違い陶器の様なマスクに何か神秘的な物をリーナは感じていた。
「よし、この樹神兵はアルシュールと名付けよう・・勝手に名付けちゃえ」
リーナは通常魔法もそうだが神聖魔法が使えなくなって、信仰、気持ちに迷いがあったが白い樹神兵を神の与えた試練の象徴と考え、事もあろうか自分の信仰する自然・慈愛の神『アルシュール』と名付けてしまった。
こうしてレアンに許可を取り付け朝食前のお祈りをこの樹神の間で行う事にした。
時間になりレアンはベルンハルトと、髪の長い女性を連れて現れた。
リーナは3人に挨拶をするとレアンが
「リーナ、訓練を始める前に紹介する、ベルンハルトは知っているとは思うが一応この国の組織の事も話しておく」
レアンはそう言うとファーシェには樹神兵のいない第一騎士団長、第2騎士団の大きな組織とその下に色々な組織があり、そして樹神兵が旗機として1体だけある国王直属の親衛騎士団、団長:アーベル・ヘルフルト、樹神兵だけで構成されている樹神兵騎士団があり、隊長:レアン・リックウッド王子 副隊長:ベルンハルト・カーマン 実戦指揮長:カルラ・ベルジュ 樹神兵管理:イジュと紹介し、現在リーナの樹神兵も合わせ40体の樹神兵を所有している。
レアンはベルンハルトとカルラに樹神兵を用意させると夫々の樹神兵の説明を始めた。
レアンの乗る蒼い樹神兵、笹の葉の剣(ササノハブレード)、丸い葉の盾
ベルンハルトの乗る翠の樹神兵、両手持ちの先が分かれた大きな斧(エランギス)3機中パワーはNo,1
カルラの乗る紫の樹神兵、弓(木に蔓が巻きついてる)先の曲がった短剣(オカトラノオ)3機中スピードはNo,1
樹神兵の構造は腹部にある
樹神兵の動力は水と樹操者と太陽光でエネルギータンクなどは存在せず光合成を行いエネルギーに変えていて、太陽光の無い夜間では通常の半分程の性能しか発揮されない。
戦闘などによる樹体の軽度の破損は自然回復で修復され中度以上の破損に関しては樹神の間にある樹神泉を使用して回復を行う。
なので整備に関わる兵士などは不要なので経済的。
樹操者が死亡した場合は樹神兵は機能を失い枯れ自然の樹に戻りエコ仕様。
樹神泉から遠出し離れる場合は樹だけに定期的な水分補給が必要。
(当然であるがその仕組みなどは分かっていない)
レアンはが説明を終わるとリーナはカルラの方を向き
「カルラさん、こないだは助けてくれてありがとうございました」
リーナがそう言うとカルラは
「当然の事をしたまでだ・・それより、いいなリーナの樹神兵は白くて綺麗で・・」
「はい、アルシュールは私の・・」
リーナがそこまで言うとレアンが驚いた様に
「ア、アルシュール?」
「駄目ですか?名前付けちゃ・・」
リーナがおねだりする様な目線で言うとレアンがベルンハルトを見ながら
「名前を付けるとか・・駄目なのか?」
レアンに振られたベルンハルトは咳払いをしながら
「特に国規則に樹神兵に名前を付けてはならないとは無いので」
レアンは少し考えてから閃き笑顔で
「じゃー俺も名前付けようっと、ベルンもカルラもそうしろよ」
そう言われたベルンハルトとカルラは驚き許可が出たリーナは小さくガッツポーズをした。
「名前かーいざ付けようとすると難しいな・・」
「王子・・訓練の方をしませんと・・」
頭を掻きながら考えるレアンにベルンハルトが優しく突っ込みをいれ、ようやく本来の時間に戻された。
レアンは樹神兵を対面に置きハッチを開けたままにすると、自分の樹神兵でお手本を見せリーナがアルシュールで真似をするとなった。
「まず、樹操房に乗り込む方法だが樹神兵の何処でもいいから自分の体で接触して乗る意思を示すそうすると蔓が降りて来て足場が出来るから蔓を掴んで足を乗せる」
レアンが樹神兵に手を当てると蔓が伸びてきて片足を乗せる程度の足場を作り、レアンが蔓を掴み足を乗せると蔓が縮みレアンを持ち上げ樹操房の前まで誘導した。
それを見たリーナも同じ様にすると蔓が伸びてきて無事に樹操房の前まで辿り着いた。
「次は起動方法だが・・」レアンの説明を聞きながらリーナは何も無い樹操房に入り込み起動する意思を示すと樹操房の下から蔓伸びてきて椅子を成形しリーナが座ると、今度は背もたれの横から蔓が伸びてきてリーナの両腕と両足の外側に張り付くと更に蔓を伸ばし細い蔓に変わり手と足を覆いまるで手袋と靴を履いている様になった。
「これちょっとくすぐったい・・」
リーナがそう思っていると背もたれの上から蔓が伸びてきてリーナの頭に巻きつき月桂冠の様な冠を完成させ、そして少しすると壁だった樹神房の内側に外の景色が映り出された。
リーナは思わず目の前の景色に手を前に上げ「これ凄い」と言うとアルシュールも同じように手を上げレアンの樹神兵をど突いてしまう。
「あ、こら勝手に動くな」
「あ、ご、ごめん」
そうしてレアン先生の講習は続き基本操作を覚えたが、ほぼ樹操者の動きをトレースし考えた事を足して勝手に動いてくれるので運動音痴のリーナでも操作は簡単だった。
樹神兵同士の通信は同じ樹神の樹から創られた樹神兵同士なら距離に制限はあるが双方、片方が出来た。
そして最後にレアンが真面目な顔で
「これだけは必ず守って欲しい、樹神兵の力は非常に強力だ、動かす時には近くに人がいないか必ず確認する事・・でないと怪我で済まない重大な事故が起きてしまう」
リーナは「了解」と言うとレアンが笑顔に戻り。
「俺の樹神兵の名前はどうしよっかな」
そう言いながら樹神兵ごと考えるポーズをした。
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