第5話~BMテン~

カイルは国情を知る元国王のBMであったセラと共に忙しい日々が続いていた。


その中で暇になったテンはフジニの介護に来ていた。


「カイルを助けてくれてありがとう」


手当てを受けながらフジニが言うとテンが表情を変えずに。


「BMとして主人の指示に従っただけだ・・」


「そうか・・これからもカイルをよろしく頼む」


フジニが頭を下げながら言うと。


「無論だ、あいつが死ぬまで私が守ってやる・・」


「あいつ?守ってやる?テンは普通のBMと少し違った話方をするんじゃな」


フジニは言葉使いや態度が普通のBMとは違うのが気になった。


「そうか?普通に話をしているつもりだが」


「セラの様な話し方はしないのか?例えばご主人様とか」


フジニは主人とBMとの関係こうべきではないかと言わんばかりに言うと。


「カイルが望むのならやるが、私の趣味じゃないし・・何故なら・・」


テンは少し躊躇しているとフジニが


「何か問題でも?」


テンは少し赤い顔をしながら小さな声で


「大した事ではないがB(バトル)は出来てもM(メイド)の機能はほぼ無い・・と言うよりも知らない・・」


フジニは思わず噴いてしまった。


「なるほど、それではカイルを守るのはテンの役割で、メイドの役割はセラに任せないと大変な事になりそうじゃ」


フジニが笑いながら言うと


「笑い事ではないぞフジニ、Mはこれからセラにでも教わろうかと思っているところだし、カイルを守るのは問題無いと思うが・・そ、そうだカイルには内緒にしておいてくれ」


そう言われたフジニは1つ思いついた。


「カイルに内緒?・・それなら内緒にする代わりにテンの事を教えてくれないか?残っているBMに関する情報がテンには当てはまらないところがあるので、例えば第1世代は4体しか製造されていないとか」


そう言われたテンは「内緒だからな」と念を押して話を始めた。


「私の製造次期は第1世代と第2世代の間で製造者はバウナット」


「な、何とBM-01のアスを作ったバウナットとは驚いた」


「次世代の研究と言う名目で私は製造された・・ただ4人いた製作者の協定で所有は1人1体までとされていたので、私は極秘に作られ製造番号も存在しない」


「確かに製作者4人にはそれぞれBMが1体と記録には書かれていたな」


そこでフジニはある事に気づいた


「テンの型番は確かBM-Xだったはずじゃが?Xと言う事なら試作か何かで05から09番までのBMが存在するはずじゃが?」


テンはそう言われると困った顔をしながら


「05から09?そんな製造番号を持つBMはいない」


「ではテンは何故10番目のXなんじゃ?カイルがテンと名づけた理由もそこにあると聞いているが」


テンは思い当たる答えが浮かんできた。


「10番目?あぁ、なるほどそう言う事か、私の記録に残っているものではXは10番目ではなく謎を意味するXとバウナットは記録している」


「な、謎のXだったとは・・ではテンと言う名前は」


「そうだ、カイルが勝手にXを10番目と勘違いして私にテンと名付けたのだから」


フジニは「カイルのネーミングセンス・・」と思っているとテンが。


「ところでアルメットはラーフから近いのか?私の地図には砂漠など無かったが」


そう言われたフジニは1夜にして消えたアルメットの事をテンに話した。


「なるほど・・多分実験の失敗か何かだな」


「実験?」


「BMの事もそうだが4人の魔術士達は常に何かで張り合っていた、BM以外に魔心を利用して新しい何かを開発していたと記録に残っている、例えば魔心ワームとか」


「魔心ワーム?」


「そうだ魔心を原動力として動いている体長10m程のワーム、これはアルメットを守る為に作られた」


「それで昔のアルメット以外の国はアルメットにちょっかいをださなかったのか」


「出せないだろう、私1人いれば隣国など滅ぼせるし、もしカイルがそうしろと言ってもやるつもりは無いがな」


テンがそう言うとフジニは現在の隣国にはBMが配備されている事を教えた。


「そうか今は各国にBMがいるのか・・それでも私と第3世代のセラがいれば十分だがな、第4世代が何機いようが問題じゃ無い」


テンは笑って見せた。


元々アルメットの魔術士達は何かで競い合っていた、自分の研究の時間が足りないと言う事で身の回りや雑用を人のメイドを雇って24時間交替で働かせていたがそれにも限界があり当然ミスもある、そこでバウナットが研究も兼ねて作ったのが初代の「魔心メイド」である。


ただ、完成した魔心メイドは重量が重く更にそれを支える為の欠点があった。


それは「人の数十倍の筋力などのステータス」


当初はメイドだけの機能しか無かったが、そのステータスを使い主人を守る様に仕様変更され戦うメイドを完成させ、いつしか「バトルメイド」と呼ばれる様になった。


とある本に魔術士の言葉が残されている・・


「身を守らせる戦うメイド?いいじゃんかわしの趣味じゃ」と・・

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紅のBM「テン」 肉まん大王(nikuman-daiou) @tkibook2

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