第4話~再起動~
期限30分前
国民の間にはイベントを見る為に国民が集まっていて、その中にカイルとテンもいた。
「早く来いカイルとやら、父親諸共に葬ってやる」
城の小窓から国民の間を眺めながらアルマ王子は呟いた。
そして、期限20分前になった所でアルマ王子と兵士数人で棺桶に入ったBMセラを運んで来た、更にアキが手足を縛られた麻袋を被せられた一人の男を引きずって出て来た。
アルマ王子が少し前に出て大きな声で
「私はアルマ王子、セラの解体の前に国民に報告がある」
国民の間がざわつくと更に縛られた男を指差し
「この縛られた男は他国に武器を密輸し、更に無許可でアルメットの遺産を発掘していた罪人である、この場を借りて罪人達に見せしめとしてこの者の処刑を執り行う」
アルマ王子が話しおわるとアキが麻袋を取るとそこにはアザだらけのフジニがいた。
「父さん・・テンあそこまで行けるか?」
カイルは怒りを抑え震えた小さな声で言うとテンがカイルの腰を抱え。
「捕まっていろカイル」
テンはそう言うとカイルを抱えたままアルマ王子のいる2階へジャンプしカイルを降ろした。
「何だお前ら、お前らも賊の仲間だな、こいつらも処刑してやる」
アルマ王子が下がりながら言うと兵士達がアルマ王子を守る体制になった。
「テン・・やれ」
カイルは小さく震えながら言うと。
「そのつもりだ・・」
テンは魔心ブレードを抜くとゆっくりとアルマ王子を守る兵士達に歩き始め、あっという間に兵士達を切り捨ててしまった。
「何をしているお前達、役立たずめ・・アキ、俺を守れ」
言われたアキはフジニをゆっくり床に寝かせるとアルマ王子の前に立ち魔心ブレードを抜きながら。
「アルマ王子下がって下さい・・このBMから貴方を守れるか分かりませんので」
「アキ!何を言っている、お前は俺を守る為に存在しているんだ、いいから俺を守れ!」
アルマ王子は下がりながらそう言い隠しておいた別の兵士を呼んだ。
下がるのを確認したアキはテンに自己紹介を始めた。
「私はBM-Ⅳ-12 第4世代、製造順番号12になり、名前はアキと申します、貴方に勝てるとは思いませんが、主人を守る為に戦わせて頂きます」
突然の自己紹介にテンは
「BM-Xのテンだ、世代は1か2辺り、製造番号は特に無い、同じく主人を守る者だ」
テンが言い終わるとアキが先に動きBM同士の戦いが始まり。魔心ブレード同士がぶつかる度にバチバチと言った音が鳴った。
アキの攻撃をテンは受けてはそれを流していた。
「流石に強い・・」
アキはそう言うと一度後ろに下がりテンは特に追う事も無く。
「強い?まだ30%も力を出していないぞ」
それを聞いたアキはため息をつきながら魔心ブレードを構え直し。
「不要部のエネルギー供給を運動機能へ・・リミッター解除」
アキはそう言うと物凄い速さでテンに向かって突きを入れてきた。
テンは突きを身体を回転させて回避するとその勢いのまま魔心ブレードを上から下に切り下げ魔心ブレードを持ったアキの腕を切り落とし更に身体を捻りブレードを横に払いアキの両足を切断した。
「テン、時間が無い・・早くセラの起動を・・」
アキは腕を切られる直前にテンにだけ聞こえる様に言った。
アキは足を失いそのまま倒れてしまい、それを見たアルマ王子も兵士も後ずさってしまった。
テンはブレードを収めると無言でセラの元に向かい棺桶を開けながら。
「急げカイル、時間が無い」
BM同士の戦闘に見とれていたカイルは我に返りセラの入った棺桶に近づいた。
「カイル、今からHAMの書き換えをする」
テンはそう言うとセラの右手を取り自分の手を重ね
「チャージ開始・・これでHAMの時間くらいは動けるだろう」
少しするとセラが青い目を開け上半身を起しカイルを見つけ笑顔で。
「国王の最後の命令に従い貴方をお待ちしていました・・カイル様」
起動を確認したテンはセラに書き換えを伝えると、セラは小さく頷き。
「HAM登録を起動及びHAM書き換えモードを受信」
手を合わせたままテンとセラ数秒動かなくなったが、何かが終わった様で再び2人は動き出した。
「ではカイル様、HAMの認証を要請いたします」
セラはそう言うと棺桶から出てきてカイルの前に跪いた。
カイルは黙っていつもの様に右腕を出し、セラがHAMをしようとした時にテンが怒った様に。
「ま、待て、そこは私専用だ」
「私専用?何だそれ?」
カイルがそう言うとセラ何かを悟った様に笑顔で。
「カイル様、左腕をお願いします」
言われたカイルは左腕を出すとセラは「はむっ」と腕を噛み少しすると口を離し。
「前DNAと血縁関係を確認、登録書き換え終了・・HAM登録を終了します」
セラは立ち上がりテンにお辞儀をすると周りを見渡しアルマ王子を見つけ。
「アルマ王子、セラが再起動したのでお父様からの伝言を伝えます、ルフル将軍に預けた信書を受け取りその指示に従う様にと・・それとアキは私が一時預かりますがよろしいですね?」
言われたアルマ王子は悪夢を見ているかの様に
「こんな事はありえない・・完璧なシナリオだったはず・・」
セラは近くにいた兵士にアルマ王子を自室に連れて行くように指示すると兵士達は
アルマ王子を城の中に連れて行ってしまった。
残されたカイル、テン、セラは国民に見える位置に並ぶとセラが集まった国民に向かい。
「皆さんご存知と思いますが前国王のBMセラです、ここにいるカイル様を前国王のご子息であることを証明し、前国王の命に従い新たな国王といたします」
セラがお辞儀をすると少しずつ歓声が沸きあがった。
セラが再起動した事実と前国王と共にいた実績で国民は事実を飲むしかなかった、いや暴君のアルマ王子が国王になるくらいならまだカイルになってもらった方がマシと思っていた。
急に国王になったカイルは簡単な挨拶をすると前国王の葬儀を終わらせた後に改めて国民に向けて挨拶を行った。
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