第3話~思い~
期限まで後3日
カイルはティードと別れラーフ近くの村でフジニ奪還作戦を考えていた。
「ラーフの城に近づくのは容易だが、城にどうやって入る?告知を利用して堂々と・・」
カイルはふと思い出しテンに聞いた。
「BMセラを起動出来るのか?」
「私には主人の書き換えモードがあるから可能だが、元の主人との血縁関係が必須条件だ」
「もし血縁じゃなかったら?」
「BMセラは起動しない」
それを聞いたカイルは決断した。
「告知を利用して堂々と正面から乗り込み父を奪還する、テンに異存は?」
「カイルがそう言うならカイルのBMとしての役割を果たすだけだ」
期限まで後2日
翌日の朝、カイルとテンはラーフ城の前に立っていた、城門の番兵に「告知を行う為に来た」と伝えると番兵は「上に報告するから少し待ってくれ」と言った。
少し待たされると番兵から「今日は出来ない」と言われ追い払われてしまった。
翌日の朝も同じように「出来ない」と言われ追い返された。
期限まで後1日
元の家では無く宿を借りていたカイルは部屋に戻ると。
「最初から入れるつもりはないのはないか?」
テンがそう言うとカイルは
「明日、駄目だったら強行突入する」
「それをするなら状況によってはHAMが必要になるがいいか?」
「HAM?」
「BMは主人の命令には基本従うが、その命令内容によっては自己判断で拒否権が発生し、命令を履行する為にHAMが必要になる」
「拒否権?」
「例えばカイルが隣国を滅ぼせと命令をしたら我々BMは1体で国を滅ぼす事も可能だ、そんな事をさせない様にBMにも良いか悪いかの判断は出来る様になっている」
「それでHAMって何をするんだ?」
テンは気絶しているうちに済ましたHAMの事を話した。
「要するに血を吸わせたり指を銜えさせるんだな・・そしてそれを人前でやるなんて・・何て恥ずかしいんだ!」
「恥ずかしい?第1世代には当たり前の防犯行為だし、何よりも健康管理も兼ねているんだから諦めろ」
「第1世代には当たり前ってことは第2世代以降には無いのか?」
テンは少し寂しそうな顔をしながら。
「多分・・第2世代以降のHAMは指を銜えない」
「人前で血を吸われるだけでも十分恥ずかしいじゃないか」
そんなネタ話をしていると宿の主人が誰からか預かった手紙を持ってきた。
カイルは手紙を読み終わると手を震わせながら。
「テン、今から強行突破して父を助ける・・」
「急にどうした?」
「相手の名前は書かれていないが、次に告知の行為に来たら父の命は無いと・・」
「カイルがやれと言うなら・・」
テンはそう言うと更に
「相手にもBMがいる・・人前で恥ずかしいなら今のうちにHAMを要求する」
カイルは黙って右腕を差し出した。
テンは「はむっ」っと腕と指でHAMを済ますと。
「カイルを守るのが私の第1優先事項だ、死人を出すつもりは無いが相手のBMは場合によっては破壊する・・それでいいな?」
カイルは頷くと立ち上がり部屋を出ようとドアに近づくとドアが叩かれた。
「カイル、下がれ」
テンは無理矢理カイルの服を掴むと自分の後ろに移動させるとドアが開きそこにはアキが立っていた。
アキは1枚の丸めた紙をテンに向かって投げると
「明日、そこに書いてある場所に行きセラを起動して王位に着け・・それだけだ」
アキはそう言うとドアを閉めて気配を消してしまった。
カイルは丸まれた紙を広げると明日行われる何かのイベントの時間と場所が書かれていた。
「罠と言う事は無いか?」
テンがカイルに問うとカイルは何故アキがこの様な行為をするのか分からなかったが、カイルは1つ引っかかる事を思い出しテンに聞いた。
「テンを起動させるのに俺の血が付いていない魔心だけをセットしたらどうなる?」
そう言われたテンは即答で
「DNAの登録が出来ないから私は起動出していない」
その答えを聞いたカイルはアキがわざと俺に傷を負わせテンを起動させ、そして主人であるアルマ王子が王位に着けない様にしているのではないか?と理由は分からないがそう思った。
「なら、罠の線はないと思う」
カイルはそう言うと明日の時間まで休む事にした。
翌日の朝、アルマ王子がラーフ国民に告知を出した。
「本日、国王が決めた期限の時間が過ぎたらBMセラの解体を国民の間で行い、その後に国王の葬儀を執り行う」
(国民の間とは城の2階から国王と1階の国民が顔を合わせられる様に作られた場所。)
その告知を聞いたカイルは
「人質で期限を過ぎさせて、更にセラまで解体するなんて・・」
「どうやってもカイルに王位を渡す気は無さそうだな・・それと世代は違えど同じBMとして解体ショーを見るつもりは私には無い」
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