第2話~BM起動~
フジニが連れて行かれたその晩、ラーフから少し離れた砂漠にティードとカイルはいた。
「教えてもらった場所はこの辺なんだがな、カイル魔心に変わりはないか?」
ティードは夜空の星の位置を確認しながら言うとカイルが魔心を取り出しながら。
「魔心も特に変わりはない・・・ん?」
「どうしたカイル?」
「魔心が暖かくなった様な・・」
「BM本体が近いのか?」
2人が周りを探索しているとある場所で魔心の暖かさが上がった。
「ティードさん、この場所にいると明らかに魔心が暖かいです」
言われたティードがカイルのところにきて魔心に触ると人工的な暖かさを感じた。
「この下にBMが眠ってる可能性が高いな」
2人が会話をしているとカイルの後ろの砂が盛り上がり人工的な入り口が現れ、入り口にはカイルの知らない文字が彫られていてティードが明かりを照らしながら。
「こ、これはBMの研究施設じゃないか」
「研究施設って事はここにBMが?」
ティードがドアを調べると魔心が収まる窪みを見つけ。
「カイルこの窪みに魔心を填めるんだ」
言われたカイルは魔心を填めた、するとドアがゆっくり開き下りる階段が現れた。
そして2人が中に入ろうとした時に後ろから
「そこまでだ」
2人が振り向くとそこには魔心ブレードではなく細身の剣を持ったアキが2人に向かって歩いてきた。
「御2人はBMの起動方法を知っているのか?」
そう言われるとティードがカイルとアキの間に入りながら。
「魔心を心臓の位置にセットすればいいんだろう?」
アキは薄笑いを浮かべながら
「ただ入れるだけ?それでは・・動かんのだ」
アキはそう言うと2人の目の前から消え次の瞬間カイルの脇に現れ剣でカイルの両肩を1度づつ突きまた消えた元の位置に戻り。
「お前たちは知らなさ過ぎだ」
アキは剣を捨て魔心ブレードを抜いた。
「大丈夫か?カイル」
ティードがカイルを見ると両腕から血が流れ魔心を濡らしていた。
「ここは俺が何とかするからカイルは中に入るんだ」
ティードはそう言うと出血で倒れそうなカイルを入り口に押し込みドアが閉まるのを確認すると荷物から筒の様な物を取り出しスイッチを入れそれを見たアキが不思議そうに。
「ほう、何故お前が魔心ブレードを?」
「アルメットの生き残りって言えば答えになるかな?」
「アルメットに生き残りがいたとは初耳だ」
アキはそう言うとティードに切りかかった。
カイルは意識が薄れていく中で壁に支えられながら階段を下りて行くと小さな部屋に辿り着き、そこには見たことも無い機械と赤い髪のメイド服を着た女性の入ったカプセルがあり、カイルがカプセルに近づくとカプセルが開いた。
「これがBMなのか?」
カイルがそう言いながら更に近づくと女性の胸部が開いて魔心を受け入れる状態になった。
カイルは最後の力を使い血で濡れたままの魔心をセットして気を失ってしまった。
そして少しするとBMがゆっくり赤い目を開け独り言を始めた。
「魔心を確認・・これより第1認証を行う・・魔心のDNAを認識・・登録完了・・続いて第2認証を始める・・」
BMは立ち上がりカプセルを出ると倒れているカイルを見つめ
「HAM《はむ》を起動開始・・ん?」
そう言うとBMは固まってしまった。
BMの目にはカイルの全身が赤く点滅していた。
「どこが採取場所か分からない・・イージーモードでHAMを起動・・」
BMがそう言うとカイルの腕、足だけが点滅を始めBMは右腕を持ち上げ腕に「はむっ」っと噛み付いた。
「血液採取・・魔心のDNAと一致を確認・・」
BMは今度は右手を持ち上げ「第3認証開始・・」と言いながら人差し指を「はむっ」っと銜えると舌で指を転がしある所で止め。
「静脈登録及び認証完了」
そう言うとカイルの手を離し部屋を見渡し何かを探し始めいくつかのアイテムを装着すると。
「警告・・登録されたDNA所持者の生命力低下を確認・・」とBMの頭に鳴り響く。
「あ・・そっか・・助けないと・・」
BMはそう思いながらカイルの手当てを始めた。
「血は止まったがまだ供給出来るほどの血が生成されていない・・やむをえない・・」
BMはそう言うと自分が入っていたカプセルにカイルを入れて何かのスイッチを入れた。
30分ほどすると意識が戻りカイルは上半身を起し。
「ここは?・・ん?お前は誰だ?」
カイルは目の前に立っているBMを見ながら言った。
「誰だと言われたら・・お前のBMだとしか言えないな・・」
「俺のBM?」
カイルは記憶を思い出しながら言うと。
「それよりお前の名前と私の名前をを登録したいのだが・・」
「俺はカイル」
「カイル・・登録完了」
「BMの名前は・・」
カイルが思いついた長い名前を挙げると全て却下された。
「何で却下するんだ?」
カイルが言うとBMは説明口調で
「BMが覚えられる名前は2文字までと決まっていてそれ以上だと識別出来ない」
カイルはBMは高性能なのか・・それとも・・と思っていると、ふと思った。
「そう言えば君の世代と型番は?」
「世代は第1と第2の間で型番はBM-X」
「BM-Xってことは10番目?なら名前はテンでどうだ?」
カイルが冗談半分で言うと真面目な顔のBMが
「BM-Xの名前をテンで登録完了」
それを聞いたカイルは思わず
「登録完了って早すぎだろう、拒否とか検討するとかないのか?」
「主人が決めたのを採用しただけ・・何か問題が?」
「いや、もうそれでいいよ」
カイルが諦めて言うとテンが
「そう言えば入り口の外に弱い生体反応が1体あるのだが・・」
カイルはティードの事を思い出し慌てて起きようとしたが力が入らず転倒してしまう。
「上まで連れていけばいいのか?」
テンはそう言うとカイルを片手で支えると階段を上り始めた。
入り口を出るとアキの姿は無かったが片腕を失って倒れているティードがいた。
「ティードさん」
カイルはテンに支えてもらいながらティードに近づくとテンが
「出血はないが・・これは魔心ブレードの痕・・」
「ティードは生きているのか?」
その問いにテンは「出血が無いのが幸いで気絶しているだけ」と言った。
カイルとティードはテンに運ばれ身を隠せる場所に移動していた。
そして施設はテンが離れると勝手に砂の中に埋もれて行った。
期限まで後4日
「カイル、俺はこの通りだ・・すまないがこの先は手伝えそうにもない」
テンに手当てをされて歩くくらいしか出来ないとティードは言った。
「ティードさん、後は自分でやってみるよ・・父も助けないといけないし」
それを聞いたティードは
「フジニはカイルに辛い思いをさせたくないと最初は断ったが、妻に先立たれ子供もいなかったフジニはお前を本当の息子と思って育ててくれたんだ、いつか訪れるかもしれないこの日を分かっていて・・だからフジニを攻めないでやってくれ・・」
「大丈夫、本当の父親じゃなくても俺にとってフジニは父親だから」
「そう思ってるならそれ以上は言うまい」
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