紅のBM「テン」

肉まん大王(nikuman-daiou)

第1話~始まりの事件~

この物語は主人公のカイルとバトルメイドのお話です



第9代ラーフ国王のバラーフが病に倒れ、そして亡くなる直前に事件は起こった。



「次の国王には私の死後7日以内にセラを起動した者に譲る、もしセラの起動が無ければアルマ王子を次の国王とする」


この告知により王国の官僚達は騒ぎ、次期国王に即なるはずだった現国王の長男アルマ王子が激怒した。


「何故だアキ!私以外の人間を先にして、2番目に私なんだ?」


派手な服装に赤い髪の現王子アルマは自分のバトルメイド(以下BM)に言い放った。


「失礼を承知でお話します、アルマ様以外に血の繋がったご子息がいると思われます、でなければセラの起動は不可能ですから・・」


「父上に隠し子が存在するのか・・アキ!どんな方法を使ってもいいから調べろ」


アキは「承知しました」と言い部屋を出て行った。



ラーフの鍛冶屋に父フジニと息子カイルの親子がいた。


フジニは武器防具共に腕のいい職人でその技術を修行しているのが息子のカイルだった。


国王の告知が行われた後から、また戦争が起きるかもしれないと次々と注文が入って忙しい日々を送っていた。



告知期限まで後6日、カイルが店じまいをしていると何ヶ月に一度現れる黄色い服にメガネを掛けた男の商人が尋ねて来た。


「フジニさんはいるかね?」


「あ、ティードさん、父ですか?今呼んできます」


カイルがティードが来たと言うとフジニは慌てて出向き打ち合わせをする部屋に通しそのまま篭ってしまった。



「フジニ、バラーフ国王からの信書と小さな箱を預かって来た」


フジニは渡された信書を開けながら


「あの告知があってから何時来るかドキドキしていたよ」


フジニは信書を読み終わるとため息をついて


「時間と言うものは止まってはくれないらしい・・」


「フジニ何て書いてあったんだ?」


「アルマ王子の代わりにカイルに次期国王になれと・・確かに母は違えどアルマ王子の弟には間違いないからな・・」


フジニはそう言うと小さな箱を開けティードに見せた。


「こ、これは魔心ましんじゃないか?」


「そう未契約のBMの魔心で、本体の場所はティードに託してあると書かれていた」


「国王から託されたBMの場所は知っているが・・ちょっと待てよ・・」


ティードは少し考えて


「なるほどな、国王も考えているじゃないか」


「どう言う事だ?」


「フジニ、通常1体のBMに対し主人1人しか存在しない、更に言うと主人が死亡するとそのBMは機能停止をして2度と動かなくなる」


「普通はそうなるな」


「私の記憶では第1世代のBMには書き換えモードがあり血縁者限定で再起動が可能、もし託されたBMが第1世代だったとしたら・・」


「カイルが血縁者だからセラの再起動が可能だな」


「ただ気になるのは製造された第1世代のBMは全部で4体で全て契約済み、あの消滅事件からいづれも行方不明と言う事だ、俺もアルメットの生き残りとして断言する」


フジニは間を置いて


「BMの事もそうだが、まずはカイルに本当の事を話さないと・・」


「そうだなBMの方はもう一度調べて2,3日後に戻る」


ティードがそう言うと二人歯は席を立ち部屋を出て行った。



翌日の夜、フジニはカイルを呼んで本当の事を話し始めた。


「カイル、今から話す事はお前のこれからと過去に関わるはなしだ」


真面目な顔をしている父親に


「どうしたんだ親父、真面目な顔をして」


フジニは1冊の本を取り出しそれを見ながら説明を始め話が終わるとカイルが。


「まさか、俺が国王の息子でフジニが義父だなんて、そんな事ありえないよ」


「それがお前には証明出来るのか?俺には証明出来るが」


「証明って、父さん・・真面目に言ってるのか?」


「父親と偽っていたことは誤るが本当の事だ」


昔、現国王の妻がアルマ王子を産んで間も無く他界、国王がラーフにいた娘と短い期間だったが恋仲になりその娘との間に生まれたのがカイルだった、しかしその娘は生まれて間もないカイル残し行方不明になってしまう、国王はカイルを現将軍ルフルに預けその弟のフジニの子供として育てることになった。


カイルがフジニがお互い熱くなり一方通行の喧嘩をしているとフジニが何かを思い出したかの様に


「カイル、国王の告知は知っているな?」


「それがどうした親父」


「お前が信じないと言うなら告知通りにやってみろ」


「俺が国王のBMを再起動させられると思うのか?」


「やって出来なければお前は正真正銘わしの息子だ」


フジニはそう言うと魔心を見せながら


「この魔心をお前に渡しておく、数日したらティードと共にある場所に行け」


「ある場所?どこに行けってんだ」


「行けばわかるさカイル」


カイルはフジニから魔心を受け取ると黙ったまま自分の部屋に戻ってしまい、フジニは閉じたドアを見ながら小さな声で


「カイル・・これからお前は本当の道を歩むんだ」



期限まで後5日の夜、ティードが現れフジニ、期限の悪いカイルと3人で話をしていた。


「どうだったティード」


「それらしき場所はあったんだが入り口がみつからなかった」


ティードとフジニがあーでもないこーでもないと悩んでいるとカイルが小さな声で


「魔心を持っていけば何か起きるんじゃないか?」


「なるほど」とティードとフジニが同時に言うとドアをノックされた。


「誰だこんな時間に・・」


フジニがドアの小窓を開けて外を確認すると直ぐに小窓を閉め入り口のドアを開けられない様に背中で抑えながら。


「まずいBMアキだ、ティード!カイルを連れて裏口から逃げろ」


ティードが荷物を手にしてぼさっとしているカイルの腕を引っ張ったところでフジニごとドアが弾き飛ばされ、そしてアキが家に入って来ると家の中の3人を確認をしながら。


「フジニに用事がある・・誰がフジニだ?」


倒れたフジニは立ち上がると「フジニは俺だ」と言いアキの前に出た。


「お前がフジニか・・アルマ王子の所に来てもらう」


アキはそう言うとフジニの服を掴むと強引に家を出ようとした。


「ちょっと待てよ、いくら王子の命令だからって」


カイルがティードの腕を振り払いながらアキに近づこうとすると、アキは魔心ブレードを取り出しカイルに向けながら。


「邪魔をするなら排除する」


剣を向けられたカイルは身動き出来なかった、そしてそれを見たフジニは


「俺は大丈夫だ・・ティード・・カイルを頼んだ」


そう言われたティードはカイルを後ろから引っ張り戻すとアキは魔心ブレードを戻しフジニを強引に連れて行ってしまった。


残されたティードはカイルに


「暴君のアルマ王子にフジニが何かされる前に行くぞ」


そう言われたカイルは黙ってついて行った。

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