第5話 夢の中でのできごと
里は焼かれ、私だけ残った、里の長は中央都市の学園の学園長と知り合いで招待状をエルナに渡していた。
「ワシに何かがあった場合は中央都市の学園長を頼りなさい!エルナ」
この頃、エルナは12歳、里が不吉だと言うことで王都から里の焼却が下った。
エルナはガロの魂を自分に宿し、王都の兵士を避けながら里を出た。
「エルナこっち、こっち、私は精霊のサラマンダー貴女のことは赤の里の長から頼まれてたの!まずは私の里まで来てエルナ」
「お祖母様から?昔、外でちらっと見た事があった!お前がサラマンダーか」
サラマンダーの姿は真っ赤なトカゲで炎を纏っていて人の顔、位の大きさで地面が燃えているように見えた。
「今、炎を抑えますね、兵士に見つからないように長老の部屋から抜け道があるのでそこに向かいましょう!」
サラマンダーについて行き長老の部屋までたどり着く
「なぁ!サラマンダー、あんたは長老とどう言う関係だ?」
「私は、精霊界の落ちこぼれだ、サラマンダーの里を黙って出てきたはぐれ精霊さ、さまよっていた私を保護してくれた変わり者さここの長老は」
顔をうつむかせて、嫌な過去をエルナにさらけ出す。
「さぁ長老の部屋に入って、ここには私だけが知っている仕掛けがあるの、早く入って」
サラマンダーは部屋に入ってランタンに火を灯す、すると床に魔法陣が走り、隠し階段が
ゴゴゴゴゴ!と音をたてて出てきた。
「ここの床は魔力の火をランタンに灯すと魔法陣が現れるように造られているの」
得意そうに、サラマンダーは腕を胸元にくみ、威張る。
「ほぇーこんな仕掛けがあるなんて、知らなかった」
エルナは隠し通路のことは知らされていなかったようだ。
「中央都市の紹介状を長老から預かっているから中央都市に向かおう」
どうやら、サラマンダーは中央都市の行き先を知っているらしく、地下通路はサラマンダーの里に繋がっているようだ。
「まずは、私の里に戻り、私の長に会ってもらう、必ず力になって貰えるはずだ」
赤の里は魔族が侵入したと言う名目で、王都の兵士は大義名分の元、エルナの住む赤の里は人が住むことが出来ないまでに燃やされしまう。
赤の里の人々は、殺されはしなかったが、どこかに連れていかれ、エルナ自身、下級サラマンダーとの行動で知る由もなく、命からがら、下級サラマンダーの住む精霊界へと向かうのだった。
「ちっ!エルナと言うガキは見つけられなかったか」
長老の部屋の装置が作動する、前に聴いた、最後の言葉だった。
長老の部屋の装置は一度作動すると、消えてしまい痕跡を探すのは、不可能に近かった。
「エルナここから先は、私は精霊界では落ちこぼれで術は使えない、ただの落ちこぼれで周りから後ろ指を刺されるかもしれないけどね、絶対手を出したらダメだからね!喋ることもしないから、その代わり頭に念を送り会話が出来るようにするから口を聞いちゃダメだからね」
精霊界では、エルナを案内する下級サラマンダーは念と灯りを灯す術しか使えず、周囲からは役ただずの烙印を押されている。
「わかった!じゃあ名前あげるね、サラマンダーだから君の名前はサラでどう?」
頭の中で念を送る、エルナ
「やれば、できるじゃない偉い偉い♪気に入った名前ありがとうね♪」
他わいのない念話で、話してる間に精霊界へと着いてしまった。
サラマンダーの里に着き、精霊界と呼ばれている
がサラマンダーは実体がないので、ゆらゆらと燃える炎の形をした人型ばかりだった。
サラも同じだが、サラの場合は他のサラマンダーとは体格が違い、サラの方が小さかった。
「サラが一番小さいんじゃない?」
エルナはクスッと笑う、サラはそれに念で応える
「そうよ!私は術は念と灯りしか使えないから、一番小さいの、長老様に会いに行くわよエルナ」
「よう!チビ助帰ったのか?後ろにいるのは、人間じゃねえか、何考えてやがる」
念を送ってくる他のサラマンダーたちは、サラ達を囲む、サラは赤の里の長老から預かった、書状を確認させ、納得させる。
「なるほど、赤の里の長老のお孫さんか、失礼致しました、赤の里の長老様とは我々は仲が良いのです、我々の長老様とお会いするお約束があるみたいですねお気おつけて」
サラマンダーの里は赤の里と似ており、火種を扱う物が多かった、火を強くする油や薪そういった
物でエネルギーを摂取するようだ。
エルナは露店で売られていた赤い石を興味津々で見つめていた。
「なぁ、サラこれ綺麗だな」
サラの話だと、この赤い石は精霊石と言って、投げると、炎、身に付けると、炎耐性になるらしく
とても良い物らしい。
「エルナ、ここは、物々交換でお金のやり取りはしないの、ランプの油とかでも交換できるのよ、赤の里の長老様から油を貰ってるから、交換してあげる」
サラは人間の友達ができて楽しそうだった、無論
エルナも楽しかった。
買い物を済ませ、長老の住む、決して消えない炎塔に向かう。
「凄い、威圧感、熱くないけど、どうなってるの?」
塔の壁を触って見るが、熱くなく、暖かく感じ、何故か、懐かしい感じがした。
「ここはね!悪しき、感情を持つものほど辛く感じ、優しいものが触ると懐かしく感じる術が掛けられていて、悪しきものは辛すぎて、やがて感情が死んでしまう、何人も死んでるのを見たわ、貴女は選ばれたようね」
そう言うと、サラは塔の中に入って行く、何故かサラは何とも言えない複雑な顔をしていた。
サラは人一倍、小さく、自分勝手に劣等感を感じて、エルナもそうなんだろうと思い込んでいた。
「長老様、お連れしました、入っても宜しいですか?」
エルナとサラの頭に長老の念が入って来る、何故か、長老は苦虫をかみ潰したように、またかと言う感じだった。
「入りなさい、エルナ赤の里の民よ、赤の長老から聞いています、中央都市の学園に入る、手続きは完了済です、その前に、ガロを迎えに行きなさい、まだ生きてます、この依代を使ってガロを助けなさい」
ガロとは今日会ってなかった、いきなり、王都の兵士が来て建物や家畜を殺し廻っていて、エルナはガロとはぐれていた。
「下級サラマンダー、サラ貴女もエルナを手伝いなさい、良いですね」
「わかりました」
サラは不貞腐れたような、態度で返事をした。
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