第2話 2人で買い物
メモにはこう書いてある。
(夜光虫のコア、木ネジ、サラダ油、
木車輪小)
夜光虫は森の何処にでもおり、コアを取り出すのは相当な技術がいる。
「なぁ婆さんあの2人で夜光虫のコアを取り出すのは難しいんじゃないか?」
小屋で2人になったヤナギとセレナ婆さんヤナギが恐る恐る聞く。
「そうさねぇ魔力を調整して捕まえて取り出すのは相当な技術がいるからねぇこれは魔力の調整を覚えるいい機会なんじゃよ。」
「ガロは全力で魔力を使いすぐに使いものにならなくなる。エルナは魔力を使い無さすぎ
浄化の炎の使い方を理解してないときた」
セレナはエルナの身体の調整を行いながら喋る。
「ほれ、これと同じことをその隣の人形でやってみなっ!」
隣の作業台の上には紅い狼の人形が用意されていてセレナはヤナギに指示を出す
(この婆さん何者なんだ?人形の知識といい、魔法の知識といい詳しすぎる)
ヤナギは見様見真似でセレナのやってることをして見るが上手く出来ない。
「仕方ないねぇゆっくり作業をして見せるからよく観て勉強しな!」
そう言うとセレナはエルナの腕の動力部を開き鉤爪の様な針で魔力ケーブルが痛んでる場所を探して新しく魔力ケーブルを取り替える
ヤナギは良く見ていたが、魔力ケーブルの古くなっているケーブルを見つけることができない。
「ほら、そこ右下のコードが古くなってるだろ」
セレナは指摘する!言われて行動するのはまだまだ半人前、しかし人形の表面のコーティングされてる傷を修復する技術は大した物だった。
一方その頃エルナ達は買える物は買ってある
後は夜光虫のコアのみ、1匹じゃ足りないのは
わかりきっているので虫籠を持って生きたまま持ち帰る作戦だ。
本来なら1度コアを取り出したのだが全然、上手く行かない。取れたとしてもあっちこち傷が付き使いものにならない!
ガロが捕まえると力任せに捕まえるので潰したり、魔法で捕まえるがカ加減が分からず全て焼け死んでしまう。
エルナは捕まえるのは得意だが解体してがド下手、魔法で捕まえると直ぐに魔力を察知されて逃げていく。
「なるほどな!あの婆さん魔力調整を行いながらコアのみを取り出せとの事か。」
ガロは全力で落胆する、エルナは捕まえると
ガロに渡し人差し指だけに炎を纏わせ徐々に
調整させていく。
「おい!エルナ流石に魔力が持たないんだけど。」
「そのまま続けて、もしかしてあのやり方ならイケるかも!」
人差し指に浄化の炎を纏わせピンと夜光虫をデコピンの容量で弾いてみる。
ジュッ!と音がして紅い虫マークの飴玉状の玉が転がる。
「よし!取れた多分10個あれば充分だろう」
エルナはガロの様子を見に行くと涙目になり
腹減ったと言っていたので、オークの群れを浄化した肉マークのコアを取り出してその辺にある石で2つに割る
「あぁ〜勿体ね〜俺だったら1人で食べれるのに!」
「うるさい!私だってお腹空いてるの我慢して」
マジックソルトで味付けして食べるとまたこれが堪らなく美味しいのだ。
「なぁエルナ、マジックソースないのか?
俺アレが好き!」
小屋の中ではサラがセレナ婆さんと揉めていた。
チョーカーからサラの声が聞こえたのでセレナ婆さんは空いている人形に取り付けサラを召喚した。
「さっきから聞いてれば、エルナのどこが未熟者なんだよ!あんなに頑張っているのに。」
腕を組んでサラは宙に舞いセレナを見下していた。
「全てにおいてまだまだと言ったじゃろうが!」
ずっと側で見ていたサラの言うことはわからなくはなかった。
「も〜怒ったぞ!1度勝負しろセレナ」
「話しにならん!相手をしておやりイヴ。」
人形なしで召喚した精霊は上位精霊のイフリート、有り得ない人間が精霊に言う事を聞かせるのはほぼ不可能なはずだ。
同じ精霊同士なら上下関係で命令を聞くが、
ましてや人間が精霊召喚をする事が出来ても
言う事を聞かないはずだった。
「ハイ〜ハイ〜これはセレナ様お久しぶりですね。コイツを黙らせれば良いのですね!」
赤いポニーテールの髪をした女の子でまるで御伽話しに出てくる服装をしていた。
アラジンに出てくるような服装の女の子は
イヴと呼ばれて嬉しそうにしていた。
「な、何者なんなんだ。あり得ないあり得ないんだけど!」
サラは声を荒げセレナに罵倒する。
「セレナさま〜こんな雑魚無視しちゃえば良いのに〜外でちょっと遊んで来ます〜そうそう報酬は貰えますか〜?」
イヴはワクワクしながらセレナの返答を待つ
「報酬かぇ報酬はマグマ鉱石でどうじゃ?」
「あーん!わかってらっしゃる〜では外で遊んで来ますね〜」
イヴとサラは外に出て行ってしまう。
「おい、おい大丈夫なのか。あの精霊2人出て行って?」
ヤナギは村に被害が出ないか心配になりセレナ婆さんに聴く。
「何、大丈夫じゃてイヴはそんなヘマはせんからのう。」
セレナはイヴに絶大な信頼を寄せている。
外ではイヴが炎障壁でサラを囲み中でイヴとサラが炎障壁から出られないでいる。
「ふふ〜ん!やっぱりこの程度なんじゃない弱っちいの。」
(セレナ様はこの精霊に何を期待しているのかしらね〜)
イヴはサラを挑発する。
サラは混乱していた。
精霊が人間に様付けで喋って嬉しそうにしてるなんて信じられなかった。
(あり得ない!あり得ない?エルナは特別だけどセレナは普通の魔女しかも私たち精霊が
本気を出せば魔女でも敵わないのになんでしたがつかるの?しかも上位精霊イフリート)
「あんた!セレナ様の偉大さが解らないのね〜可哀想に。」
「解るわけないじゃない!なんでイフリートあんたが従ってるの?」
(まさか、私達精霊を越える上位精霊とか)
(ふふ!戸惑っておるわい、ワシらの存在は知られる訳にわいけないワシが気に入った者だけがワシの正体を明かす)
「やっぱり〜エルナもそんなんじゃ私が代わってあげよかなぁアンタを殺してふふ」
(う〜んまだ足りないガロの死体を蜃気楼魔法で生成してみるかなぁ?)
「ガロのチョーカー壊すとどうなるか知りたくない?ここにあるんだけど。」
精霊は何か依り代が必要で壊されたらその場で留まるしかなくエネルギーを消費する
つまり、ガロは幼女のまま固定される可能性がある。
(ふっふっん、ダミーだけどね)
イヴは躊躇なくチョーカーを壊す。
「次はキミのチョーカーを壊そうかな」
イヴはもう一つ持って来たチョーカーを壊そうとする。
(これはサラのチョーカー本物、こいつを壊せば恐らく上手く行くはず)
サラは自分のチョーカーは魔力の残念が感じ取れるので自分の物だとすぐにわかった。
「やめろ!やめてくれ、私はまだエルナについて行きたいんだ。」
「駄目だね!壊しちゃうもんね。」
(さて、どんな反応を見せるかな?)
イヴは躊躇なくサラのチョーカーを跡形も残らず燃やす。
サラは苦虫を噛み潰したような顔してイヴを睨みつける。
「あははは!その顔を見たかったんだよね」
(来るかな?)
「ぐっ!ぐあああ許さない。許さない。」
サラは自分の力を制御出来ずに姿が変わって行く炎を纏ったトカゲに翼が生えている
(やっと二段階目の姿になったか!ここから大変だぞ力でねじ伏せて従えなきゃ)
買い物から戻ってきたガロとエルナは火炎の渦の中にドラゴンとイヴを目の当たりにする
「おいおい!なんじゃこりゃ〜イヴは何と戦ってる?」
ガロは小さくなった身体で一応戦闘体制をとる。
「待て!ガロあのドラゴンはサラだ魂の楔は外れてるけどどう言うことだイヴ」
「ワタシ〜は弱いサラを連れて行ってもらいたくないだけよ〜貴女に相応しくないあの子じゃね!」
「どうして?こうなったイヴ!」
エルナは鬼の形相でイヴを睨み付ける
「サラが楽しすぎてるから、ちょっとだけ挑発した!」
悪びれる事もせずイヴは淡々と話す。
「あの子はね、精霊を導くに値しない見習い精霊エルナ貴女は何をサラから教わった?
本来なら上位精霊だったら見習い精霊を導く義務がある!それをしないならここで朽ち果てれば良い」
イヴの言う通りだけど、エルナの為に魔物と戦うときはエルナにトドメを刺す様に動くことが多い、全くエルナの事を考えない訳じゃない。
「私は消えたくない!エルナの役に立つんだ
‼︎小さな頃から私はエルナを見守っていたんだそれを見ず知らずの精霊に殺されてたまるか!」
そう、サラはエルナの里の近くに住んでいて
手はださなかったが、ずっと遠くから見守っていた。
走馬灯のようにサラの記憶が蘇る、成長する
「あははは!見てみなよ。もう長くないよ、あのままだと魔力の暴走して自滅して終わるだけどエルナどうするの?」
魔力を相当消費しているのか。サラはうなだれて、息も絶え絶えしい観ててこちらが辛くなる。
「確かに、私はサラから何も精霊のことを教わってない!けどイヴやりすぎだろ、私が再契約する。」
予備のチョーカーがない状況でどう再契約する
「ふん、助けてあげても良いわよ!マグマ鉱石10個くらいは貰わないとね。」
(このまま、放っておいても暴走するだけ、セレナ様に迷惑になる前に止めるか!)
さっきセレナから貰ったばかりで、催促してくる。
「わかった10個を特別ブレンドしたマグマ鉱石を作ってあげる。それでいいか?イヴ」
「仕方ないわね!それで手を打ちましょう」
(あの子は精霊の食べる物を作れるから、まだ使い道はあるようね)
「まずは、想いが強い精霊ほど暴走するの
走馬灯のように感情が流れて想いが強くて
何も考えられなくなる。なるべく距離をとって接するのが精霊の基本なのあの子は距離が近すぎたよほどエルナに執着心があるようね」
イヴが言うには下手な感情を持つと暴走し手がつけられなくなるそうだ。
「けど!おかしいじゃないかイヴお前はセレナ婆さまに執着心があってサラのように暴走しないじゃないか?」
「私は特別なの主人が違えば精霊も変わるのよ!サラマンダーなんて下級精霊なんて私にはどうでも良い存在なの」
トゲのある言い方でイヴはエルナを挑発する
周囲は気温や湿度が上がりサラは今にも暴走しそうだ。
「私はねサラマンダーが妬ましいのセレナさまの孫であるエルナ貴女にべったりで見ていてイライラするのだからあんな弱い精霊は消そうと思ったのセレナさまの凄さがわからない貴女たちはじゃまなのよ」
「まったく!逆恨みもほどほどにしとけよイヴ、オレはお前のような陰キャラが大嫌いなんだよ協力するのかしないのかはっきり決めろ!」
「ふん!アンタは精霊じゃないのになぜ?エルナに協力してるのよ。」
「確かにオレは獣人族だが婆さんにエルナを頼むと言われて魂の契約を結んだサラは里の近くにいて存在は知っていた。助けない義理はないぜ」
「そろそろ、サラマンダーのブレスが来るみんな気おつけて!」
「みんなしてわたしを無視してイヴ、アンタは許さない!グォオオ‼︎」
イヴを目掛けてブレスを放って来る。
「見掛け倒しね!ブレスの味はどうかしら?
やっぱり甘い!刺激が足りないわ〜」
ブレスを受け止め両手で高熱圧縮してブレスの玉のようになり口に含むイヴ
「な!なんだ今のブレスが飴玉のように小さくなり食べやがった炎同士 属性が同じなら上位精霊イフリートに
炎はあっさりと吸収してしまう。
(まだこの程度では私は変身する必要がないわね)
「エルナ、次ブレスが来た時に脚元に浄化魔法をガロはエルナが浄化魔法を使っている間に土属性の檻魔法をお願いね〜」
「なっ!俺が土属性使えると知ってやがった
」
獣人族は大地の加護を受けて育つので本来なら土属性が使えるのが当たり前だがガロの場合は種族が真っ赤な狼なので2種類の加護を受けて育っている、その為2種類の魔法を所持していてもおかしくはないとイヴは判断したようだ。
(俺は腹が減っているから一発勝負になりそうだなこりゃしかも魔力制限がかかっているこの身体じゃ外した時点で俺らの負けだな)
「ヘイヘイわかりましたよ。空に逃げられたら終わりじゃね?」
「いや!イヴに挑発されてイヴばかり狙ってるからそれはないよガロ、私もこの身体じゃ1度しか使えないからタイミング合わせてね」
そうこうしているうちにサラは空に飛んでイヴに体当りをかませてくる。
くる。
「物理攻撃は苦手なんだけどね」
両腕をクロスにさせてガード姿勢になるイヴ
サラのスピードが段々と落ちて行き絶好のチャンスになる。
「自分で張った火炎の壁で死ね〜」
サラはイヴにダメージを与えられるものと思い体当たりをかます。
「だから!何度も言うけど私には炎は無効なのよエルナ今!浄化の魔法、脚元狙いなさいガロもタイミングよく合わせて!」
「了解!脚元に浄化魔法と尻尾まで入れた方が良いよなぁ?」
(何で脚元なんだろう?脚元から頭まで包むようなイメージでやってみるか。)
(エルナの浄化魔法の後に土属性のアスースウォール成る程ねやるじゃねえかイヴ)
エルナの浄化魔法が脚元から頭まで包みこむ
サラは一瞬混乱しその場を離れようとするが
イヴが腕を掴んで離さない。
同時にガロの土属性魔法アースウォールが2人の精霊を閉じ込める。
「土で作った檻で反省しな!サラ」
土で作られた檻は弱ったサラには壊せず中で暴れるサラ
(あー終わった私死ぬのかな?魔力切れなんて初めてだしな)
「グォォォォ」
サラの雄叫びを上げる声がまるで悲しくて泣いているように聴こえた。
「忘れてねえかサラ私の魔法は誰も殺せない浄化魔法その怒りや憎しみを浄化するのが私の役目」
サラの姿が段々と元の姿に戻っていく
「ほら!エルナ渡しなさいよ予備のチョーカー契約済みのチョーカー作ってるんでしょう
」
イヴはエルナに言われチョーカーをイヴに渡す。
「そうそう!所々綻びがあったから作って置いたんだよ。言うの忘れてた。ごめんサラ」
魔力が切れたサラはチョーカーの中で眠りに落ちた。
土の檻でイヴは1人残された状態になる。
「ガロもういいわ魔法解いて炎の精霊は土属性に弱いの知ってるでしょ」
「ちっしょうがねえなぁ!もう俺も魔力ねえから少し離れてな!」
土魔法で作ったブレードを手に纏わせておもいっきり切り裂くスパっと切れて中からイヴが出てくる。
2人の買い物はサラのチョーカーも含まれておりイヴはボソッと貴女たち甘いのよと言って幕が降りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます