第七編


浜辺でオカリナを吹く

私が私の人生において唯一続けている習慣


使い古された群青のオカリナ



キミに出会ったのはとある雪の日

凪いだ風で小さな音が奏でられる


砂で薄汚れたキレイな群青のオカリナ



一番大きな穴に挿し込まれたビニールの塊

取り出して開くとそこには白い紙



『誰かに吹かれて、いつまでも美しい音色を奏でていて欲しいと願う。』



手で砂を払い、口にくわえると少ししょっぱい

それでも私は、誰かの想いと願いを叶えたいと思ってしまったのだ




それから四年

私は毎週浜辺に足を運ぶ

私は少しでもオカリナが上手になったであろうか


私の音は少しでもあの人に届いているのだろうか



空へ昇る音色はオカリナと同じ綺麗な群青色


空と海とオカリナと私

全てが群青に包まれた世界で



オカリナを拾った時の私にも届け

この二度とない私だけのオカリナの唄

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