第五編


私のキャンバス

少し白味がかった私の机

まっしろな画用紙


すきとおるほどにしろい



私のキャンバス

好きなものを

描いて

書いて

掻いて



好きなものを

塗って

って

縫って



好きなものを

混ぜて

交ぜて

ぜて



好きなものを

注いで

継いで

いで



私のキャンバス

まっしろな下地をきれいに染める

他人が手を出せば出すほどきれいになって

私はそれがとても羨ましかった



私のキャンバス

まっしろな画用紙はまっかに染まりながら二つに別れた

まんなかには少しの水が流れて滲む

黒い画用紙には真っ白な絵の具を



私のキャンバス

あたりに散らばる銀紙を繋いで繋いで

まっかに染まった画用紙も繋いで繋いで


最後は私とも繋がって




私のキャンバス

いつの間にかまっかはまっくろに染まり果てている





私のキャンバス





大好きなキャンバス

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る