2-5-3 魔術回路

 その後、新たに魔術回路の設計図を手に入れるため様々な魔道具を探して『鑑定』していった。といっても、得られたのは全て、いわゆる生活魔法である。


 調理場は魔道具の宝庫だった。

 釜戸からは『発火』『躁風』

 流しからは『水流』『洗浄』

 冷凍庫からは『凍結』が、手に入った。この世界には魔石を使った冷凍庫があった。


 生活魔法と中級以上の魔法や攻撃魔法の違いは、魔法の規模は勿論のこと、何もないところからモノを生成できるか、それと、離れた場所で魔力が行使されているかである。


 『発火』は火をつける魔法であるが、触れられるところに、燃える物がなければ火がつかない。

 それに対して、攻撃魔法の『火球』は、何もないところに火の玉をつくり、離れた敵に打ち込むことができる。


 『水流』は触れた水を動かす魔法で、ポンプのようなものである。水を作り出すことはできないから、水がなければ意味がない。水を作り出せるのは、中級魔法の『造水』である。


 ただ、私の場合、生活魔法であってもその威力が桁違いなので、戦いの場面においても、使いどころによっては役に立つだろう。

 『発光』なら目くらましになるし、『水流』でも水さえあれば、大量に高速で射出することにより、相手にダメージを与えることができるだろう。


 ちなみに、発動される魔法の威力は、魔術回路の大きさとは関係ない。流し込む魔力量に左右される。ただし、魔力を過大に流し込むと、魔術回路が焼き切れる。

 魔術回路の最大魔力許容量は、魔術回路の大きさには直接関係ない。


 同じ条件なら大きい方がいいのだが、本質は大きさではない。使用される魔石の量によって変わってくる。

 魔石をケチって薄い魔法顔料を使うと、最大魔力許容量が小さくなる。

 小さい魔術回路でも二度塗り、三度塗りすれば最大魔力許容量も上がるのである。


 それと、手に入れた魔術回路を比較したところ、違う魔法でも、魔術回路に同じ部分があるものもあることがわかってきた。つまり、魔術回路は部分ごとに意味のあるブロックの組み合わせである可能性が出てきた。

 うまくすれば、オリジナルの攻撃魔法を創ることができるかもしれない。そのためにも、もっと魔術回路の設計図を集めなければならない。


 現在所持している魔法カード:『風刃』『発光』『発火』『躁風』『水流』『洗浄』『凍結』


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