2-2-2 エンド鑑定1年目

 シリーとも相談した結果、余りMPを溜め込み過ぎるのも、周囲に影響が出る可能性が有るかもしれないので、一年ごとにエンディングの鑑定を行うことにした。


 うん、分かっていた、悪役令嬢の最後なんてこんなもんだよね。


 1年間溜め込んだMPで、エンディング時に私が置かれている状態を、鑑定することが8回できた。

 どれも悲惨な状態で、もう開き直って諦めたくなる。8分の7で死亡である。生き残って場合も真っ暗闇の中に監禁状態、これ駄目だよね。


 転生するときシリーに、刺されて死なないようにしてもらったはずだが、死亡理由に刺殺が2件有った。シリーに確かめたところ、神同士の加護がぶつかった場合、与えた神の階級が高い方が勝つそうで、この世界を作った神はシリーより階級が上らしく、イベント強制力の方が強いようだ。

 その際シリーが「本当なら私の方が...」とぶつくさ言っていたが聞かなかったことにしておいた。シリー使えない娘。


 こうなってくると残りも期待薄、エンジェルポイントは兎も角、まず生き延びることを考える必要がありそうだ。


 今回鑑定したのは、第一王子、第二王子、騎士団長の息子、枢機卿の孫、それぞれのエンディング二パターンずつ。


 第一王子ハッピーエンド、ヒロインが第一王子と結ばれた場合。悪役令嬢は第二王子と一緒にギロチン台だった。つまり死亡。

 第一王子バッドエンド、ヒロインが第一王子と結ばれなかった場合。悪役令嬢は何故か第一王子の妃となっていてハッピーエンドかと思いきや、精神に異常をきたし自殺、よほど強いストレスを受けたのだろう。これも死亡。

 第二王子ハッピーエンド。悪役令嬢は縛り首にされていた。理由はヒロインへの殺人未遂。死亡。

 第二王子バッドエンド。悪役令嬢は第二王子の妃となるも、側室の嫉妬により刺されて死亡。

 騎士団長の息子ハッピーエンド。悪役令嬢は騎士団長の息子に切られて死亡。

 騎士団長の息子バッドエンド。悪役令嬢は騎士団長の息子と迷宮に潜り、魔物に襲われ死亡。

 枢機卿の孫ハッピーエンド。悪役令嬢の能力を恐れた教会により、どこか地下奥深く光の届かないところに監禁される。

 枢機卿の孫バッドエンド。悪役令嬢は狂信的信者となったヒロインに刺されて死亡。


 ヒロイン探しは思ったより順調だ。父に聞いてみたら、ランドレースの家名も持つ娘が見つかった。王都に有るランドレース商会の会頭の孫娘だそうだ。まだヒロインであるかの確定は取れてないが、王都に行く機会が有れば鑑定で確認してみる予定だ。


 父に、何でそんなことを聞くのか不審がられてしまった。予め用意していた言い訳「孤児院の子供たちが、ランドレースという名の女の子を見ると幸せになれると噂していた」でごまかしたが、あれは納得していない様子だった。

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