閑話 一日の終わりに

警告・BL注意報発令中(ただし、別もいる)




→いつもの人。


「あれえ?久しぶりだねえ?」


アスランが声を掛ける。

ここは中立地帯の宇宙ステーション。


声を掛けられた男は嫌な顔をした。


「…貴様か」

「ハンニバル。しばらくぶりだね?」

カウンターに座っているハンニバルの隣にアスランが座る。

「君の所とも最近は戦ってないねえ?」

「貴様とは戦いたくも無い」

ハンニバルはそう言ってグラスを傾ける。

アスランも酒を頼んで、飲み始めた。


「…そう言えば、貴様は知っているか。パイアールがゴート商会に入ったと言う噂を」

「うん。知ってるよ」

「…何だか若返ったと言う話だが」

「そうらしいね」

「…そんな話が何故出回ってるのだろうな?商会も秘密にするだろうに」

「何でだろうね、不思議だね?」←原因


アスランがポケットから写真を取り出す。

「はい、これ。あげるよ」

「…これは?」

「そのパイアールの写真だよ」

「…よく、持っていたな?」

「まあね。偶然取った奴がいたんだよ」←自撮


「そうか。…本当に若いな」

ハンニバルの言葉に、アスランが歓喜する。

「ね?可愛いよねえ?」

「…可愛い?…普通に子供ではないか?」

「ほんっとうに君はつまらない男だよねえ?」

「…悪いか」


まだ、飲み続けるらしいアスランは酒の追加を頼んだ。

ハンニバルは、それを見て溜め息を吐いた。





通常運航中。次→


→この人はマジやば。



パタン。

読んでいた本を閉じる。

集中が出来ない。


溜め息を吐いて、指でこめかみを押さえた。



(…想像もしていませんでした。

私は彼を守る事が最も重要な役目なのに。


彼の家になり彼の翼になる事こそが私の役目なのに。


…この体の造り主が余分な感情を入れた事は知っていました。

彼を大切に思うようにと。


しかしそれが、こんな感情に変化するとは。

きっと私にその感情を組み込んだ方も、予想をしていなかったでしょう。



私は夢を見ました。

機械も夢を見ると初めて知りました。


しかも、あんな夢を見てしまうなんて。


…あんな事を。

私は望んでいるのでしょうか。

主人たる彼に。




…彼は機械の私にも心があると言いました。

ではこれも、心の形なのでしょうか。


…あんなことをして、喜ぶのも。


彼のあんな顔を見てみたいというのも。


すべて心の成せることなんでしょうか。


もしもそうであるのなら。

確かに私にも心はあります。

彼の言うとおりに)



…溜め息を吐いて、再び本を開いた。

少しでもそこから、気持ちを遠ざけるために。



これが通常運航だったらヤバいし。次→



→この人は。




何処かの空間。

何もかもが音もなく一律でなく。

その無貌の場所に彼女はいた。


白い髪は地に這うように長く、ツインテに縛られて。

大きな瞳は虹色に輝く。


そして手に持っていた長い柄がついたオペラグラスを構える。


すちゃっ。


「ああ。やっばいわ。可愛いじゃないの。…何でそんなに笑ってるのよ?すごく気になっちゃうでしょう?あ。女が絡んでる。いやだな。でも、照れてる顔はいいわ。可愛いもの。う。何をいう事を聞いてんのよ?そんなんだから変なあだ名を付けられちゃうのよ?可愛いからいいけど。…ちょっと、そんな風に、あ、あ、あ。操られてるう?…どうしよう、助けに行こうかな。でも、あんまり行っちゃうといろいろばれそうだしな。ばれるのは恥ずかしいし。ああ。キスをしてる顔ってそんな顔だったんだ?やばい、食べたいぐらい可愛いわ」



オペラグラスを目から離す。


少し眉をひそめる。


…何かを我慢しているようだ。



すちゃっ。


「あ。やっぱり可愛いわ。う。どんな寝方をしているのよ、風邪をひくでしょう?ああ、直してもらってるわ。私的には他の女よりも男に行ってくれた方が良いんだけど。だってそうしたら、女は私だけになるでしょう?あ。こらお前、頑張れもっと行け、その人は押しに弱いんだからいっちゃいなさいよ早く。う。この弱虫。可愛いんだから取られちゃうでしょ?あ。いやん。すごいいい笑顔だわ。傍で見たい、どうしようかな」


オペラグラスを離して深呼吸をする。


何かムズムズするようだ。



すちゃっ。


そしてまた、オペラグラスをかけて、覗きを続ける。




→今日は此処まで。

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