パニック
間一髪。
レトリバーはとっさに身を翻したためサンドスター・ローに当たらずにすんだ。
「石動さん!?なにするんですか!」
「キャアアァァァァ!!」
レトリバーの抗議は後ろの叫びにかき消された。
とっさに後ろを向くレトリバー。
見ると、815番が自分の両の手の平を見て、ぶるぶる震えている
どうやら飛んでいったサンドスター・ローは背後にいたフレンズ、815番に当たってしまったようだ。
815番の身体は虹色に輝き始めると、その形をみるみるうちに球体に変化させていった。やがて球体はその体積を縮ませていき、点のようになった。そのうち点は細く、長く伸びていき、1本の白い毛に変化したのだった。
その様子を目の当たりにしたはいいろと814番は呆然としていた。
814番は変わり果てた815番をゆっくりとつまみ上げ、つぶやく。
「あれに、当たると、こうなって、しまうの?い、嫌あああああぁぁぁ!!!!」
814番はパニックになり叫び始めた。
「う、うわああああ!おうち!おうちかえる!!」
つられたはいいろも同様に叫び、暴れはじめた。
2匹の雑種犬フレンズは檻の中でどったんばったん大騒ぎを始めてしまった。
「くっ。あと、三匹、か。後ろは狙いがつけづらいな...仕方ない。残念だがレトリバー。お前からだ。許してくれ。」
そう言うと石動は再びゴールデンレトリバーに銃を向けた。
レトリバーはこの状況を打破するために頭をフル回転させていた。
そのときふと、飼育場で窓越しに話しかけてきたフレンズ達のことを思い出した。
自分も外に出たい、けれど飼育場から出られないからどうしようもない。と話したとき、そのフレンズ達はこう言っていた。
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『どうしようもないことなんてないのだ!足が動けば前に進めるのだ!』
『冷静に周りを良く見たらー、なにかしら利用できるものはあるはずだよー。まあ、突っ走るのを見るのも好きだけどねー。』
~~~~~
「周りを...良く見る..冷静に..利用...突っ走る...」
レトリバーはそう呟くと秋田犬の方へ駆け出した。
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