所長の改革
時は少し遡り、所長がイエイヌグループのところにやって来たところに戻る。
「ジャパリパークもねぇ、予算がないんだよねえ...」
髭をはやしたいかにも偉そうな壮年の男は来客用のイスに腰掛けて、二人の研究者が頭を下げている。
「はぁ...そうですか。」
「だからねえ、要らない研究はバンバン切ってえ、予算削減しないといけないんだよねえ...」
研究者たちは眉毛をピクりと動かし、返答する。
「そ、そうですよね...所長...」
所長は研究者の一人を指さし、こう言う。
「君たちは、展示用のイエイヌの探索をしているんだったよねえ?ぶっちゃけさあ...適当で良くないかねえ?」
研究者の顔が青くなっていく。
「そんなこと...ないです。吟味が必要です...」
「吟味?もうアンケートとってさ、人気1位の犬種を展示すればいいんじゃないかねぇ?そしたら入場者増えるんじゃないの?私はハスキーに一票ね。」
所長の勝手な発言に研究者は弱々しく答える。
「はあ...でもそれは...学術的に...」
「はあ?学術的?展示用イエイヌの探索のどこが学術的な研究なのさあ?学術的じゃない研究はいらないんじゃないかねぇ?」
所長が声の調子を上げてバカにするように言ったので、たまらず研究者達は口々に反論を始めた。
「それは表向きの理由ですよ!直接経営にかかわる研究でないと予算が下りないから!」
「そうです!本当は同種の動物の形質が、サンドスターによってどのようにフレンズ化に影響を与えるのかのビッグデータを作っているんです!」
つい声を荒げてしまった研究者達。
所長は待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「ふうん。君たちはちゃんと指示通りに研究していないんだ。じゃあもう予算凍結だねえ。展示用のフレンズは私が選ぶから研究用のフレンズ達を見せてよ。」
研究員達の顔は絶望に染まっていった。
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