122話 医務室の12歳

 医務室の場所が分からないので俺は近くにいたメイドさんに尋ねることにした。


「あのー、すいません。医務室ってどこにあるか分かりますか?」


「はい……背中に背負っていらっしゃるのはもしかして陛下ですか……?」


「ああ、そうだけど。俺と戦ったら気絶してな。休ませたいから医務室へ運ぼうとしたんだが……俺は場所が分からなくてな」


「かしこまりました。案内します。どうぞこちらへ」


 メイドさんは早足で俺を案内した。

 ……別に怪我はもうないんだからそこまで急がなくてもいいのに……。

 まあ彼女は俺たちの戦いを見ていたわけじゃないし、自分のところの国王が見ず知らずの奴の背中に乗せられていたら、早く案内して王の無事を確かめたい気持ちは分かるけど。


「こちらが医務室になります」


 そしてメイドさんは扉を開けた。


「おやおや……こりゃまた珍しい客が来たもんだね」


 そこには幼女がいた。

 だが俺にはわかる。これは絶対にロリババアの領域だと!


「誰がロリババアじゃ!私はまだ12歳じゃ!」


 そして俺は彼女に悲しみの視線を向ける。

 12歳でその身長……ごめんなさい聞いた俺が失礼でした。


「ムキーッ!身長のことは言うな!」


「すまんすまん」


「それ絶対謝る気ないじゃろ!……それで要件は?」


「コイツを休ませてやってくれ」


「お、ギルさんじゃない」


 どうやら二人はお知り合いのようだ。

 まあ彼女が医師であるのだったら王であるコイツとは知り合いじゃなかったら逆におかしいだろ。


「……手酷くやられたようじゃが、外傷は一つもない。もしかしてお前が治したのか?」


「お前って言うなよ……まあそうだが?」


「どうやったの?!」


 いきなりグイグイ来るな……一瞬スゲェ焦ったんですが?


「別に……俺のスキルだよ。回復系のスキル持ってるからな」


 俺が言っているのは事実だ。

 ただその回復系が最高級のパーフェクトヒールだと言うことは言っていないが。

 一々自慢する程でもないだろ?俺自身には超回復があるから使わないし。


「嘘!回復系のスキルだけでギルさんが気絶するほどの一撃を治せるとは思えない。絶対に裏があるはず!」


 くっ……!この12歳、意外としぶといな。

 今の説明でダメなら俺はどうすればいいんだ!


「とにかく!ギルバートは預けたから俺は帰る!」


「あ、ちょっと!?」


 そして俺は転移で楓たちがいるところまで戻った。

 こうして会議の結果は戦う以外のことをする事なく俺以外全員気絶で幕を閉じた。

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