121話 天聖剣
「「ハァァァァッ!」」
お互いの全力がぶつかる。
やはりトルリオンを使うときの俺のステータスはエグいことになっているからか、若干俺が押している。
そこで俺は小手調べにガルバドメスを一瞬で装填、照準を合わせ、発砲する。
だがギルバートの持っている神刀によって弾はギルバートに届く前に消滅する。
「凄えな、その刀」
「これは私の一族に伝わる由緒正しき神器、神刀:風桜。王家の血筋のみ使用可能でタルサ王国の最終兵器だよ」
おいおい……そんな最終兵器をこんな戦いに持ってきて良いのかよ……。
まあ俺も神剣持ちだから武器性能は五分五分と言えるだろうな。
多分ギルバートの持ってる剣は風の効果を加えた分、ステータスにかかる効果を減らしているんだと思う。
「風が厄介だな……」
風桜が発する風圧はどうやら調節可能で、俺がガルバドメスを撃った時はものすごい風圧で弾の軌道を変えていた。
その風を攻略しないとまともに近づけない可能性があるから、風からなんとかしたいんだけどなぁ……。
ゴリ押しで通っても良いけど、それだと俺の身体能力が著しく制限されるからあんまりやりたくないんだよなぁ。
「どうしたのかな?来ないならこちらから行くよ!」
頭を回していた俺に痺れを切らしたのか、ギルバートは攻勢に移ってきた。
そして俺は振り下ろして来た刀をトルリオンで受け止めるが、その瞬間に超風圧を発生させられ、俺は500メートルぐらい後方に吹っ飛ぶ。
「くっ……!」
厄介な相手だな……。まともに打ち合う事が出来ない。
だが、対処が出来ないわけでもない。
「“烈風よ”!」
俺は言霊を用いて、大気中の風の主導権を握る。これを使ってギルバートの風と打ち消しあう算段だ。
これによって少しは軽減しながら戦えるだろう。
「面白い術を使うね」
「まあこれもスキルだがな。行くぞ!」
「その力、見せてもらうよ!」
ギルバートはこちらへ向けて突進してくる。
そして俺は集めた風をトルリオンへと纏わせ風桜に合わせる。
すると、風圧と風圧がぶつかり、そこには台風以上の風が吹き荒れた。
「「ぐっ……!」」
お互いものすごい衝撃に今にも吹き飛んでしまいそうな状況になってしまう。
「そろそろ決めるぞ。これが俺の全力だ!」
俺は自身にかけられる魔法を全て付与した。
先ほどまでとは目に見えて異なるほど上昇していく魔力。
「この一撃を受け止めてみろ!〈天聖剣 アシュラスト〉ッ!!」
トルリオンから天へと届く極光が生まれ、それを叩きつけるようにギルバートへ斬りつけた。
「ぐっ……!うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
ギルバートは全力で防御に回ったが、威力に耐える事が出来ずに重傷を負い気絶した。
「ふぅ……」
俺が戦ってきた中で1、2を争う強さだったな。まさか天聖剣を出すとは思ってなかったわ……。
「〈パーフェクトヒール〉」
俺は傷ついたギルバートを全快状態にした。
「久しぶりに楽しかったぜ」
俺は空間を解除し、ギルバートを医務室へと運ぶのだった。
……医務室の場所どこだっけ?まあ他の人に聞けば分かるか。
楽観した思いで俺はギルバートを背負い向かった。
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