114話 タメ口を超えていく

「お兄ちゃん!またね!」


「おう」


 お絵かきが終わり、俺たちは帰ることにした。

 ギルバートからは泊まっていってもいいと言われたが、ここは断っておいた。なにかと貸しを作りたくないしな。


「これからどうするの?」


「……俺は明日に会議があるからまだ帰らないけど、みんなはどうする?」


「じゃあ私たちも明日残る」


「元々私はここを拠点としていましたからね」


「了解。じゃあ今日もウルティマのところに泊めてやってくれ」


「分かりました」


 じゃあ俺はいてもの部屋に戻るとしますか……。

 そして王城(メルトリリス)の自分の部屋へと転移した。


 そして翌朝。

 昨日?結局何もせず寝たよ。特にしたいこともなかったし、今日発表するはずの発明品の用意は完了しているからな!

 ……結局あのイカ大王は証拠品としてその場に提出することにした。

 ……俺はこれが嫌だったからカメラで録画しようと思ったんだけどなぁ……。だって臭いじゃん!流石にそれをあの場所では披露したくないでしょ?


「じゃあ行くか……」


 用意が完了したため、俺はいつもの場所へと転移した。


 ……相変わらずエゲツない家……宿だよな~。

 少しこんなサイズの屋敷を見過ぎたせいか、宿を屋敷と見間違えてしまった。……ヤバいこれは重症かもしれないわ……。

 そう思いながら俺は入っていく。


「あ、トオル来たよ」


 一番先にルーナが気づき、俺に声をかけてきた。


「おはよう。それで今日はどこにいくんだっけ?」


「何か会議場みたいな場所だ」


 ……何だったけな……?会議場ということしか覚えてないんだけど……。

 あそこって色々と便利な施設だったよな。今日の会談?が終わったら少し探検するのもいいかもしれないな……。


「ギルバートと待ち合わせしてるから早く行くぞ」


「「「「「は~い」」」」」


 その他大勢の返事が聞こえ、俺はみんなを引き連れて、城へと転移した。


 そして昨日居た、ギルバートの部屋にやってきた。


「やあ、待ってたよトオル君」


「ああ」


 扉を開けると、そこにはギルバートの姿があった。


「じゃあここにもうすぐ娘が来るから、娘と遊んであげてくれないか?」


「は、はい」


 ルーナが緊張した面持ちで受け答えする。

 ……こんな王に緊張なんてしなくていいと思うんだけどなぁ……。しかもルーナって王女だし。


「じゃあ行こうか」


「案内だけ頼む」


「ツレないねぇ……」


「気持ち悪いから引っ込んでろ」


「じゃあ案内は遠慮しておこうか」


「そうか。なら俺は今回の参加は遠慮しておくわ。じゃあ帰るぞ〜」


「冗談だって。早く行こうか」


 ……お前のせいで無駄に時間が食ったんだろ……。何人のせいみたいにしてるんだよ。

 だんだん一国の王に対しての口が悪くなっていく俺。

 前からはこんな関係は考えていなかった。ていうか考えたことがなかった。


「結局馬車で行くのか?」


「当たり前じゃないか。君みたいに誰も彼も空を飛べるわけじゃないんだよ」


「チッ」


「何だいその舌打ちは!?」


「それよりさっさと行くぞ。案内しろや」


「もうソレ完全にタメ口を超えてるよね……」


 いいんだ。ギルバートだから!

 そう思いながら俺たちは外に停めてあるという馬車へと向かった。

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