31話 運命の再会

 俺の目にはバテている奏音と天谷がいた。

 あれ?俺の目もとうとう壊れたか?


「お前ら……、奏音と天谷か?」


 念のために聞いておく。


「……もしかして透……なの?」


「なんでそこで自信なさそうにするんだよ」


「そうだな。俺の名前と外見を知ってるのは王様とお前達ぐらいしかいないもんな」


 どうやら天谷たちも異世界に召喚されたっぽいな。

 しかも別の国で。

 メルトリリス王国だったら、少なくとも勇者の俺の耳には入ってるはずだからな。


「それにしても、お前らこんなところで何してるんだ?」


「王様からこのダンジョンで特訓して来いって言われて」


「お前、まさかそのまま鵜呑みにしたのか?」


「うん」


「はあ、ちょっとお前らのステータスを見たいからそのままにしてろ」


 俺はそう言って2人の体に触れ、鑑定を発動させた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <名前>天谷和樹 <種族>人間

 <性別>男

 <年齢>16歳

 <レベル>131

 <体力>C

 <物攻>B+

 <物防>B

 <魔力>D

 <魔攻>D

 <魔防>C

 <敏捷>A

 <運>A


 <スキル>

「聖剣召喚」、「光魔法」、「剣術」


 <称号>

「男の娘」、「聖剣を持つもの」、「異世界の勇者」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <聖剣召喚>


 過去にあった聖剣を呼び出すことができる。聖剣を実際に自分で作ることも可能。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <名前>金山奏音 <種族>人間

 <性別>女性

 <年齢>15歳

 <レベル>131

 <体力>C

 <物攻>D

 <物防>D

 <魔力>A

 <魔攻>A

 <魔防>B

 <敏捷>C

 <運>A


 <スキル>

「聖杖召喚」、「光魔法」、「火魔法」、「水魔法」、「風魔法」、「土魔法」、「魔力向上」、「魔力精度上昇」


 <称号>

「魔導師」、「聖杖を持つのもの」、「異世界の勇者」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <魔力精度上昇>


 魔法を敵に当たる精度が上昇し、魔力自体の質も上げることができる。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 これだとレオンより普通に弱いぞ。

 勇者が一王国の騎士団長より弱いとはどうなんだ?

 まあ、来てからそこまで日が経ってないかもしれないからだと思うけれど。


「……はっきり言うけど、このステータスじゃ絶対このあと勝てないと思うぞ」


「そんな……、僕たち勇者なのに。なら透のステータスはどうなんだよ!」


 どうだったけな?

 最近鑑定とかしてなかったし、レベルによってステータスが上がるのかという面は気になる。

 俺は簡単な紙と鉛筆を作り、自身に鑑定し、その内容を紙に綴る。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <名前>金山透 <種族>半人半神

 <性別>男

 <年齢>16歳

 <レベル>872

 <体力>SS

 <物攻>EX

 <物防>SSS

 <魔力>EX

 <魔攻>SSS

 <魔防>SS

 <敏捷>EX

 <運>S


 <スキル>

「スキルリスト」、「検索ツール」


 <称号>

「神に選ばれしもの」、「異世界の勇者」、「引きこもりマスター」、「絵画神」、「半分神になりしもの」、「ドラゴンスレイヤー」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「「……」」」


 あまりのステータスの変動に俺までも黙ってしまった。

 俺のレベル上がりすぎだろ!何!?872って!?

 レオンの3倍以上は軽くいってるぞ!

 しかもなんか半分神になってるし!

 やっぱりレベルが上がりすぎたからか?

 そう思った俺は半人半神のところをさらに鑑定した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <半人半神>


 半分神になった証。創造スキルを使うところで取得できる。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 思ったより最近だった!

 どうりでドラゴンスレイヤーより早く表記されていると思った。


「……これが本物の勇者。凄すぎて何も言えないよ」


 大丈夫!俺もこんなに上がってること自体を引いてるから。


「本当にね。私達とは格が違うもん」


「そうだな……、それで楓は?」


「ああ、楓は今はメルトリリス王国にいるぞ」


「え!?お兄ちゃんと楓さんって別行動してるの?」


「そうだな」


 そして俺は今までの経緯を全て天谷と奏音に話した。


「……なるほど。ようやく付き合うことになったか」


「まだだけどな」


「それでも大きな進歩だよ!」


「それもそうだけど透は転移結晶は準備してこっちに来たのか?」


「え?何それ?」


「あれ?ギルドの聞いてないの?この転移結晶があれば各階層の位置を記憶させればいつでもそこの階層に行けるんだよ」


「は!?」


 何それ!?それこそ聞いてないぞ!

 なんて言う便利道具!

 これがあればわざわざこんなに食材を買うこともなかったじゃん!

 ギルドの人よ!ちゃんと説明しておけ!


「その様子を見ると聞いていないようだね。はぁ、ギルドの人は何やってるんだろう」


 天谷から話を聞くと、ダンジョンに行く冒険者にはギルドで転移結晶は配られているらしい。

 俺には全然そんなことなかったのにな。

 まあ、別にそこまで転移結晶があってもそこまで変わらないと思うから良いんだけど。

 でもあったほうがいいよね。


「とりあえず俺たちはまだ進むけどどうする?」


「……付いて行ってもいいかい?」


「何でだ?」


 別に付いてきたいんだったら付いてきたらいいんだろうけど、しっかり理由を知っておきたい。


「僕たちはここで頑張っていてもそこまでだと思ってる。それなら透の強さをこの目で見たいって思う」


「わかった。結構早いペースで行くからちゃんと付いて来いよ」


「うん!ありがとう!」


 天谷は地味に女性っぽいから気が狂うな。

 ……もちろん!そっち系の趣味は俺にはない!

 フリじゃないからな!


「じゃあ今日中に61階層に行くから」


「え!?もうそんなに行くの?」


「だってここにいるやつら強くないし」


「ジャイアントアントはだいぶ強いほうだと思うけど……」


「一応言っておくが、天谷と奏音はメルトリリス王国の騎士団長より弱いぞ」


「……なんか急に自信なくなってきた」


「……そうだね」


「まあ、勇者として成長していくと思うから当面の目的はレベル上げだな。ていうかそれしかスキルが無いのだったらレベルを上げないと話にならない」


「そうだね!僕頑張るよ!」


「私も!」


「その意気だ。じゃあいくぞ」


「「「うん!」」」


 こうして俺は地球の親友と妹との出会いを果たした。


 そして58階層の渓谷に着くと、これからどうするのかという話になった。

 渓谷を越えるのに、俺はいつも飛翔で空を飛んでいるって言ったけど、それでいいのか?

 もし途中で落ちたらシャレにならない。

 そう思った俺は叡智で何かいいスキルはあるか調べることにした。

 すると、〈重力魔法〉というスキルがあることがわかった。

 他人の重力と重さを操ることができる魔法なのだとか。

 というわけで早速天谷と奏音の重さをを極限まで無くす。

 そして俺がエルを背負って飛翔で空を飛び、天谷と奏音を引っ張って対岸まで向かった。

 幸い飛んでいるときは何も襲われることはなかった。


「うわー!」


「凄いね!」


 両方とも空を飛ぶことに特に不安はないらしい。

 これは飛んでいるのか?と思うがそこはいいんだよ。

 それを繰り返して、たどり着いた60階層。

 未到達のボスはどんななのか気になる。

 扉を開けると、そこにはデカイドラゴンがいた。だけど翼を持っていない。


「……これ何か分かるか?」


「多分ドラゴンの類だと思うんだけど、種類が分からないよ」


「そうだよなー」


「この階層から察するに属性的に土だと思うんだよな。とりあえず水の魔法で攻撃するか」


「そうだね。僕は水の魔法を使えないから奏音に頼んだ」


「任せといて!」


 こういう時の奏音には期待しとかない方がいいだろう。フラグとか立てそうだし。

 俺はとりあえず水の魔弾で攻撃する。


「〈水魔法〉アクアトルネード!」


 俺の水の魔弾がドラゴンを貫いて、奏音の水の竜巻がドラゴンに襲いかかる。


「やった!?」


「「「……」」」


 俺とエルと天谷は全員察してしまった。

 完全にフラグ立てたと。

 そこにはほぼ無傷のドラゴンが突っ立っていた。


「なるほど防御は硬いか……」


「何呑気なこと言ってるの!これからどうするの?」


「まあ、俺に任せとけ」


 俺はそういうとすぐにトルリオンとダーインスレイブを取り出した。


「はあああぁぁぁああ!!!」


 とりあえず俺は二つの剣を同時に全力で投げつけた。

 狙い通りに、二つの剣は飛び、ドラゴンの皮膚を貫通させていった。

 だけどこれではまだ死んでいない。

 そこからさらに走り、トルリオンたちを追い越して、剣を取り、さらに背後から投げつけた。

 サソリの時と似ているな。

 ズサッ!と地面に突き刺さる音がしてドラゴンはドロップアイテムを残して消えた。


「……やったの?」


「……そうみたいだね。相変わらずお兄ちゃんはキチガイだよ」


 妹よ。俺もそう思ってるから安心しろ。

 すぐさまドロップアイテムを回収し終えた俺たちはすぐさま下層へ目指すのだった。

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