30話 遭遇
そして翌日。
今日はエルは乗ってきていなかった。
流石に意識して乗ってこなかったんだろう。
エルはここにはおらず外にいるようだった。
「おはよう」
「あ、おはよう!ご主人様」
「今日は入ってこなかったな」
「だから茶化さないでよ!」
「ははっ、ごめんごめん」
「ふん!それよりご飯できてるよ」
「ああ」
言い忘れていたが俺が食材を出していないのはエルとアイテムボックスを共有化したからだ。
そっちの方が何かと便利だろう。
俺は使うことなくてもエルが使うものがあるかもしれないしな。
「「いただきます」」
今日の朝ごはんは白飯に味噌汁、卵焼き、サラダとこれまた和風な朝ごはんだった。
こんな感じの朝ごはん食べるの久しぶりだな。いつもは洋風な感じのご飯しか出てこなかったからな。なんだか懐かしい。
そういや奏音と天谷は元気かな?
俺が異世界に召喚されたって知ってるのかな?
あ、説明しておこう。
奏音は俺の妹で、天谷は俺の親友で奏音と付き合っているそうだ。
そうだと確信していないのは天谷と奏音に聞いていないからだ。
そりゃそうだろ!実の兄が妹に親友と付き合っているのかと聞くのは聞き辛いだろ!
まあ、心配していなかったらいいけど。
……俺たちってどんな感じになってるんだろう?やっぱり行方不明とか?
今考えても仕方ないか。
「「ごちそうさまでした」」
朝ごはんが終わり、着替える。
え?俺に予備の服なんてあったのかって?
買い物した時についでに10着ぐらい買ってきたわ!流石に同じ服を着れる自信はない。
まあ、エルには防具を作ったが、俺には今は必要ないだろう。
実際危ないシーンはあっても俺には傷なんて付いてないんだから。
まあ、用心に越したことはないんだけど、今はまだ大丈夫かな。
なるべく早くこのダンジョンを攻略したいし。
用意ができたので俺たちは51階層を後にしし、61階層のセーフティゾーンねと向かうのだった。
52階層は渓谷だった。
橋はなく、断崖絶壁のこの崖を降りて向こうに向かわないといけないようだ。
まあ相変わらずだが、俺たちには関係ないけどな。飛翔がある。
……このダンジョンに来てから飛翔の使用頻度がめっちゃ高いと思うのは俺だけか?
密林ステージでは密林を通らず空を飛び、海ステージでは海を泳がず空を飛び、沼地ステージでは沼に入らなかったし。
……やっぱり使用頻度多いじゃん!
まあ、これからもお世話になるだろう。その時はよろしくお願いします!
早速飛翔を使い、俺は向こう側へと飛ぶ。
……下が結構深いな。50メートル以上はあるぞ。
流石にこれを降りて行くのは骨が折れるぞ。
俺には関係ないけどな!
そして向かい側にたどり着くと、扉が普通にあった。
やっぱり、このダンジョンって深いんだろうけど、各階層の広さが狭いんだろうな。
結局誰とも(魔物とも)遭遇しなかったな。
扉を開け、階段をさらに降っていった。
55階層へ問題なく着いた。
やっぱりガルバドメスは便利だよな。
途中でいくつかの魔物とエンカウントしたけれど、全部一撃で倒すことができた。
これでボス以外の周回速度が比較的上がるな。
実際、ここに来るまでにかかった時間は1時間?ぐらいだからな。
単純作業だな。
安定のごとく、55階層はボス部屋になっており、俺は扉を開ける。
ボスはサソリだった。ただ、とてもでかい。
なんかでかいシリーズが多くないか?このダンジョン。
なんでもでかくしたらいいってもんじゃないぞ。
これはガルバドメスでは倒せそうにないな。
仮に倒せたとしてもどれだけ撃てばいいのか分からない。
というわけでトルリオンでいくことにした。
ダーインスレイブは血が出なかった時めんどくさいからな。
……そういやダーインスレイブの特殊効果の血壊魔法使ってねぇな。まあ、使う機会はあるだろう。
硬さを確かめるためにガルバドメスを撃ってみるか。
パンッ!
とこ気味いい音を立てて、水の魔弾は飛んで行った。
水は貫通力が強いからな。硬度検査にはちょうどいい。
俺の予想通り、魔弾はサソリの甲殻に弾かれた。
「やっぱり、な!」
サソリが自身の鋏角を使い、俺に攻撃を仕掛けてきた。
流石65階層ボス。動きが俊敏だな。
硬くて、早い。他の人なら苦労はしそうだな。
というわけで本気出します!
俺はとりあえずトルリオンをぶん投げる。
「はあああぁぁぁ!」
俺は全力で床を蹴り、トルリオンを抜き、サソリも抜いて、こっちに来たトルリオンを掴んだ。
急だったことにサソリは俺が目の前から消えたように感じただろう。
俺は背中が、がら空きのサソリに向かって思いっきり上段から振り下ろした。
剣はザクッとサソリの尻尾から腹ぐらいまでを両断し、飛び出た斬撃がサソリを真っ二つにした。
やっぱり今回も1発か。
あ、トルリオンを使ってたらね。
ガルバドメスの最初のやつは実験ということにしてもらえるとありがたいです。
それより戦利品を拾うとするか。
えーっと、デーモンスコーピオンの素材だった。
使わないだろうなー。
……ていうか毒の素材があったんだけど、毒を使う攻撃があったのかな?
なら可哀想なことしたな。使わせずに終わらせちゃったんだから。
「じゃあ次行くか」
「そうだね」
素材を集め終わりいつものように降りていった。
57階層。
「大丈夫!?」
「ああ!俺はまだいける!」
「危なくなったら下がってね!」
そこには2人の男女がいた。
この前のように崖を降りて、登ると、そこにはジャイアントアントの群れが巣食っており、次の階層に行くにはこの群れを突破しなくてはいけない状態だった。
2人の男女は決死の覚悟でその群れに挑んだ。
男の方は剣士で、女の方は魔法使いと僧侶という役割だった。
その役割が功を期したのか、ヒットアンドアウェイをすることが出来ていた。
「クソッ!数が多すぎる!これじゃいつまでたっても……」
「頑張って!今倒せなくても、あとで来れるから!限界まで削って!」
「おう!」
男が気合を入れ直し、ジャイアントアントの群れに再度アタックを仕掛ける。
数匹は倒すものの、傷は増えていく。
このままだったらジリ貧なのは目に見えている。
「クソッ!俺に力があれば……。だれか助けてくれよ……」
そう思わずにはいられない男だった。
56階層。
「ん?エルが呼んだのか?」
「私は何も呼んでないけど?」
「そうか……。誰かに呼ばれた気がしたんだけどな」
「気のせいじゃない?私にも聞こえなかったし」
「やっぱりそうか……」
俺にはそうは思わないけどな……。
とりあえず今は先に進むしかないな。
そして俺たちは進むのだった。
そして57階層に着いた。
「ご主人様、あれって……?」
「ああ、完全に押し負けているよな」
俺たちが扉をくぐると向こうの扉の前に人と、でかい蟻たちが戦っているのが見えた。蟻はざっと50体ほどといったところか。
あの程度じゃガルバドメスで一撃だな。
あ、一体ずつな。流石に全部はトルリオン使わないと無理。
だけど、人の方は苦戦しているようだ。
しゃあない。助けに行くか。
「〈飛翔〉」
俺は一気に蟻のところまで行き、ガルバドメスを乱射しまくる。
やっぱり必中って便利だわー。
基本向けていたら全部敵の方向に自動で向かってくれるんだから。
俺の予想通り、でかい蟻は1発で死んでいった。
……6発っていうのがちょっと殲滅型じゃないよな。
今度アサルトライフルとか作ってみるか。
そんなことを考えているうちに、蟻どもを殲滅することができた。
「おい、大丈夫か?」
俺は後ろを振り返り、不利だった人を見る。
「……は?」
そこには俺の妹の奏音と親友の天谷がいた。
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