6話 王都散策
ギルドから出た俺たちはレオンイチオシのお店に向かっていた。
「着きました。ここが私のおすすめのお店〈カカルンド〉という肉料理のお店です」
異世界の肉料理か……。昨日のシチューの鶏肉もよっぽどだったし、これは期待してもいいかも!
扉を開けるとガランガランとベルが鳴った。
「いらっしゃい」
「大将。日替わり定食3人前で」
「あいよ」
レオンさんが大将と呼んでいた人は表情が硬いながらもしっかりこっちを見て挨拶してくれた。きっとこの人は親切な人なんだろうと俺は思う。
「はい、おまち」
俺たちがテーブル席に座ってしばらくすると、白ごはんとステーキ、サラダに味噌汁と美味しそうなものが出てきた。昼からステーキか、と言われそうだがこれは普通に食べられそうだ。
「おお!今日はBセットか」
「Bセットって何?」
「この店は1週間分の日替わり定食があって、出される定食は毎日違うんですよ」
なるほどBセットは客が名付けたということか。それにしても美味そうだなー。
「「「いただきます」」」
「この世界でも挨拶は同じなのか?」
「ああ、これは昔お越しになった勇者様がお伝えになったとされています」
俺たち以外にもいたんだな。勇者って。
「じゃあ食べるか!」
俺はフォークを使いステーキを切り分け、一切れ口の中に入れる。すると、噛んだ瞬間から、口の中に肉汁が溢れる。
「うまい!」
「ほんとだ!美味しいねこれ!」
「喜んでいただけて何よりです。ここの肉は魔物の肉を使われてるので基本美味しいんですよ。大将、今日は何の肉なんですか?」
「今日はヒュージエレファントの肉だよ」
直訳すると巨大象。どんなのか一度見てみたいな。そして狩ってまた、この超美味い肉を食べるんだ!
ご飯が進み、手が止まらず、肉をひょいぱくひょいぱくと口に詰め込んでいってしまう。
異世界最高!マジで転移されてきてよかったと思うわー。こんな料理地球では食べられたかな?
「一つ気になってたんだけどこの世界のお金の価値ってどうなってるんだ?」
「ああ、銀貨とか銅貨とかよね。それ、私も気になる!」
「それはですね……」
長くなったから省略すると。
1セン≒1円ぐらいで。
1セン=石貨
10セン=鉄貨1枚
100セン=銅貨1枚
1000セン=銀貨1枚
10000セン=金貨1枚
100000セン=白金貨1枚
1000000セン=虹金貨1枚
というのがこの世界でのお金の価値ということらしい。
じゃあ結局俺たちが薬草採取で得た金って銀貨125枚って日本円に換算すると約12万5千円稼いでるということになる。
……結構薬草採取だけでも儲かるんだな。
まあ、あそこ結構ゴブリンいたし、命の危険を犯すかしてこその冒険者というものだからな。全部雑魚だったけど。
「ところでレオンってどんだけ強いんだ?」
冒険者Sランクの実力、ぜひ見ておきたい。
「私ですか?そうですね、また今度教えてあげます」
「えー(棒)、まあいいんですけど。〈鑑定〉」
俺はレオンのステータスがどうしても気になったから鑑定使っちまったぜ!
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<名前>レオンハルト=バーナード
<種族>人間 <年齢>28歳
<性別>男
<レベル>256
<体力>S
<物攻>S+
<物防>A+
<魔力>B
<魔攻>B
<魔防>C+
<敏捷>A
<運>B
<スキル>
「火魔法」、「水魔法」、「風魔法」、「剣気上昇」、「魔力操作」、「攻撃上昇」
<称号>
「ドラゴンスレイヤー」、「メルトリリス王国騎士団団長」、「Sランク冒険者」
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〈剣気上昇〉
剣を握っている間気合いが高まり、剣で攻撃する威力と速度が上昇する。剣を持たないときは発動しない。常時発動型スキル。
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〈攻撃上昇〉
攻撃動作の全てに威力上昇がかかる。常時発動型スキル。
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と、ぶっ壊れステータスだったというわけですね!いや、これはエグい。俺が全力だしたとしても絶対に勝てないだろうな。ドラゴンスレイヤーだし。二つのスキルはどっちも攻撃に補正がかかっているし。
これがSランク冒険者の実力か……。異世界恐るべし。
「いやー、さすが騎士団長。ぶっ壊れですね」
「まさか鑑定を使ったんですか?……何でもありですね」
「当たり前だろ」
だって全スキル所有者なんだから。俺の辞書に不可能の2文字は存在しない!
「じゃあ食べ終わった事だしこれからどうする?」
「なら王都を散策するというのはどうでしょう」
「「いいね!」」
「なら決まりですね。あ、大将お会計を。今回は私が持つので勇者様は払わなくていいですよ」
「了解!」
「ゴチになります!」
お会計をレオンが払い、俺たちは店を出た。
「じゃあどこ行く?」
「なら商店エリアを歩きましょうか」
「お任せで。レオンが案内してくれると助かる」
「了解です」
俺たちはまず商店エリアを歩くことになった。まあ、〈カカルンド〉あるところも商店エリアに入っているんだけどな。
歩きながら俺たちはこの王都がどういう構造をしているのか聞いた。
王都は実際には大きく3つの区分に分けられる。さまざまな店が立ち並び、大抵のものはここで揃う商店エリア。貴族や商店の会長などの家があり、そこにはこの国最大の学園がある貴族エリア。滅多に立ち入ることが出来ず、限られた者しか入ることを許されない王城エリアの3つだ。バームクーヘンで例えると真ん中の穴が空いているところが、王城エリアで、そこから貴族エリア、商店エリアと続いている。円形な街なのだ、ここは。
今回のルートは商店エリアを見回って、帰りに貴族エリアの学園を見に行って帰るという流れだ。
「じゃあ散策へレッツゴー!」
楓はすっかり乗り気みたいだな。まあ俺も楽しみだが。
こうして異世界で初めての街を見て回るのだった。
開始から3時間後、俺たちはある程度のところは周り尽くした。はっきり言おう。疲れた!もう帰ってベッドにダイブしたい!俺たちはレオンの案内で商店エリアを約1周した。まあ、いい勉強になったな。また今度機会があれば来てみたいものだ。
というわけで帰路についている俺たちだが、その前に見ていくところがある。そう!国内一とされている学園の見学である、まあ中には入れないから校門のところで見るだけだけど。
「ここが、国内一とされている学園、シュトルフ学園です」
そう言われてレオンが指差したのが、まあとてつもなく敷地面積が広い学園ですね。デカすぎだろ!何あれ?学園ってこんなに大きいもんなの?校舎の天辺が王城並みにあるんだけど……。
「ちょっとデカすぎない?」
「そうでもないですよ。ここは生徒数が10000人を超えてますから」
どんな超マンモス校だよ!人いすぎだろ!何学年あるんだろうな?そんな俺の表情を読んだのか、
「7歳から16歳までの生徒たちがここで学ぶんですよ」
7~16=10世代分やから人学年1000人以上っていうことか。うわー、そんなところ行きたくねえわ。
「楓は行きたいと思うか?」
「うん!なんか楽しそうだし!」
「俺は遠慮しとく」
「えー?なんで?」
楓は気楽でいいよ。学園=勉強しなければならない。せっかく異世界に来て勉強のことは忘れられるかなと思っていたのにわざわざ学園になんて行ってられるか!
発言が引きニートなのはともかく、俺は絶対に行かないだろうな。
「めんどくさい。っていうか異世界に来たんだったらもっと戦闘とかしたい」
「全く、透は戦闘狂なんだから」
失敬な!俺はそこまで狂ってねえぞ!
「はいはい、そうですね。それよりもう帰ろうぜ。……足が死ぬ。ひさびさに長時間歩きすぎた」
「そうですね。では王城に帰りましょうか」
こうして異世界初の散策は終わったのだった。
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