4話 冒険者ギルド
「……い、……ください。起きてください!」
「んー、あと5分ー」
「起きてください!!!」
「うわっ!」
メイドさんに大声で起こされのでは寝ぼけていた頭がマジ爽快になりました。
「今日は女王陛下が早速やってもらいたいことがあると仰られていたので早く支度してください」
「ああ、わかった」
……あれ?なんで出ていかないんですかね?
「あのー、なんでここにいるんですか?着替えたいので外にいてもらえると嬉しんですけど」
「お召し替えのお手伝いをさせていただこうと思いまして」
「結構です!」
そう言って俺は勇者自慢のステータスでメイドさんを部屋から追い出した。
着替えが終わると俺はメイドさんに伝えるために部屋の外に出た。
すると見計らっていたかのように朝ごはんが運ばれてきた。
俺はドアの側に立っていたメイドさんに声をかけた。
「あのー、これは?」
「朝食ですが……、あ!何か食べられないものとかありましたか?」
「いや、それは無いんだけど……」
「なら、大丈夫ですね」
この瞬間俺はこのタイミングが良すぎる出来事を王城七不思議の一つに認定しようと思った。
朝食はその後美味しくいただきました。
朝食を食べたら執務室に来いと言われてたのでメイドさんに案内してもらって執務室に行くとそこにはもう先客がいた。
「楓はもう着いてたのか」
「あ、透。おはよう」
「ああ、おはよう。で、今日はどうするんだろうな?」
「分からない。まあ、そのことは女王様が説明してくれるって言ってたし、そんなに緊張しなくてもいいんじゃない?」
「ば、ばか!緊張なんてしてねえよ!」
嘘である。
本当はガッチガチに緊張していた。だって異世界に来てからの初任務だよ!誰だって普通に緊張するわ!多分……。
そんなことをしているうちにメイドさんは執務室をノックしていた。
「どうぞ」
そう言われたので俺と楓は一緒に入った
「あ、勇者様。昨日はぐっすりお休みになられましたか?」
「はい、元の世界とは違いすぎるほど豪華でしたけどしっかり睡眠を取ることが出来ました」
嘘である。
実際はMy武器を作っていたので寝たのは約4時間も寝れていない。
「それは良かったです。早速ですが勇者様たちに紹介したい人がいます。レオン、入りなさい」
「はい、陛下」
そう言って入ってきたのは爽やかな20代後半ぐらいの金髪イケメンであった。
「私はレオンハルト=バーナードと申します。メルトリリス王国騎士団団長をしている。よろしくお願いします」
「俺は金山透。こちらこそよろしくお願いします。レオンハルトさん」
「私は涼川楓です。よろしくお願いします」
「敬語は使わなくていいですよ。名前もレオンで。親しい人はみんなそう呼びますから」
「わかった。レオン」
「了解です。レオンさん」
「さて自己紹介も済んだことだし、本題に移りましょうか」
「本題って?」
「これから魔物討伐などを行なっていただくのですが、その時に必要になってくる冒険者ギルドに登録してもらいたいと思っているのです」
「何故それでレオンさんが呼ばれたんですか?」
「信用のおける人に案内してもらいたかったのですよ。流石に他の貴族の方に頼むわけにも行かないし、それで私と幼馴染のレオンに頼むことになったのですよ」
「ああ、なるほど。というか女王様とレオンって幼馴染だったんだな」
「では早速行ってきてもらっていいですか?登録が終われば何か依頼を受けてもらって構いません。とりあえず今日は登録だけは済ますようにお願いします」
「「わかりました」」
「じゃあ行きましょう」
そして俺たちは初めての異世界での街へ繰り出すのだった。
「「うわー!」」
俺と楓は城下町を見てテンションMAXになっていた。まず何と言っても現代日本ではなかなか見ることが石造建築の家がたくさん並んでいた。ざっと見回していても、木造建築の家は少なく、基本は石造建築の家が多い。
あといろいろな種族が街を歩いていた。
人間だけではなく、エルフやドワーフ、小人族や亜人族などまさにオタクにはある意味聖地といっても過言では無い状況が俺の目の前で起こっていた。
ああ!この一生でエルフ耳やケモ耳が見れるとは。異世界万歳!!
「じゃあギルドに行きましょうか」
そう言ってレオンに付いていくと、しばらくして大きい看板が掲げてあるいかにもテンプレの冒険者ギルドです!っていう感じの雰囲気を漂わせた建物があった。
「ここだよ。じゃあ入ってみようか」
そう言ったレオンと一緒に俺たちは冒険者ギルドに入っていった。
そこはイメージしていたほどあまりうるさくなかった。
ギルドの構造を言えば入り口から真っ直ぐ歩いていったところに受付が、右側に依頼のボードが、左側には食堂と、まさに冒険者ギルドと呼べるような構造であった。
「あ、アイリーンさん。ガルドに話があるから許可取ってもらえる?」
「は、はい!わかりました」
なんだろう?突然の騎士団団長の来訪に驚いたのかな?
「どうして受付の人はあんなに緊張していたんだ?」
小声でレオンに聞いてみた。
「ああ、俺は騎士団長になる前は冒険者でな。一応Sランクまでいって、その腕を見込まれて騎士団長になったというわけだ。まあランクについては後で説明があると思うからちゃんと聞いておくんだぞ」
「わかった」
なるほど。流石騎士団長。国に認められるほど強いとかマジリスペクトっす!
まあ、それはいいとして、さっきレオンの頼みで人を呼びに行った人が戻ってきた。
「お待たせいたしました。ギルドマスターがお呼びです」
「わかった。ありがとう」
礼をして別室に移動しているレオンを追いかけると、意外とギルドマスターの部屋はすぐ着いたようだ。
「入るぞ」
そう言ってレオンは相手の返事を待つことなく躊躇なくドアを開けた。
「まだ入っていいとは行ってないんだけどー……」
「いいだろ別に。どうせお前は暇なんだから」
「相変わらず冷たいなー、もうちょっと優しくしてもいいんじゃ無い?」
「黙れゲスが。それより、勇者様たちを連れてきた。登録して差し上げろ」
レオンさんの目が!目がやばい!あれは完全にゴミを見ている目だ!一体過去に何があったのだろう?
ギルドマスターっぽい人は黒髪の人間でレオンさんと同じぐらいの年齢に見える。
「はいはーい、あなたたちが召喚された勇者様ね。私はガルド=スパード。じゃあとりあえずこのカードに血を一滴垂らしてくれる?あ、ナイフはここにあるから」
俺は言われた通りナイフを使いカードに血を一滴垂らした。思ったより痛い……。回復魔法が欲しい!
〈スキル検索開始……合致スキル1件。表示します〉
安定の検索ツールさんによって出たスキルは普通に〈回復魔法〉のヒールという初級魔法の部類だった。傷口は水に浸かると染みるので回復魔法がどれだけの効果があるのか確かめてみよう。
「〈ヒール〉」
俺がそう唱えるとナイフで切った箇所がみるみるうちに塞がっていった。
俺がカードをガルドさんに渡そうとするとレオンがガルドさんを連れて部屋の隅で話し合いを始めた。
俺のやつが終わったので楓にナイフを渡すと自分の肌を傷つけるのにはやはり躊躇いがあるのか、なかなか行動に移せていない。
ようやく決心がついたのかナイフで血を流した。俺はすかさず楓の手にヒールをかける。
「お疲れ様って言うのはおかしいか?」
「それ普通聞く?」
「ごもっとも。それより2人はさっきから何を話しているんだろう?」
「さあ?あ、戻ってきたみたい」
ようやく話し合いが終わったのか2人が戻ってきた。
「あのー、勇者君。君どうやって回復魔法を使うことができたの?」
「それって言って良いんですか?」
俺は念のためにレオンさんに聞いておく。
「こいつに聞かせるのは癪に触るが、内容は知っておいた方が後々何が出来るのか明確にできるからな」
だから過去に何があったんですか……。
「分かりました。えーっとこの力に気づいたのは昨日の夜なんですけど……」
そうして神様から全スキルをもらったことを話した。
「……それ、マジ?」
「マジ」
おふざけでこんな壮大な話を言うわけないじゃん。
「まあ、規格外っぷりはわかったからとりあえず登録を済ませよう」
「……そうだな」
レオンはまだ現実を受け止められていないようだった。
「じゃあ、言い忘れていたけど冒険者ギルドの説明をするね。ランクはF、E、D、C、B、A、Sの7段階あるんだ。ランクは依頼を積み重ねていくか、そのランクに応じた魔物を討伐するかで上がるよ。依頼に失敗したらもちろん違約金は払ってもらうよ。だいたいこんなものかな?」
「「分かりました」」
「うん、ならカードをもらうよー」
ガルドさんがカードを回収して、何やら呪文を唱えると、カードを渡してきた。
「これがギルドカードだよ。これ1つで身分証明書にもなるし討伐内容もここに記載されるから無くさないでね。もし無くしたらお金を払ってもらうから」
「だいたいこんなもので良いだろ。早く行こう」
「いつでも来ていいよー」
「誰が来るか!行こうか、勇者様」
さっさと出たレオンを追いかけるために俺たちはすぐさま部屋を出た。
こうして俺たちは勇者兼冒険者になった。
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