加奈からの返事はすぐに返ってきた。

 実家に届いた加奈の手紙を文はすぐに自分の部屋で読み始めた。手紙の内容自体は、ごく普通のもので、加奈の周囲の状況や、住んでいる街の話や、通っている公立学校の話、(驚いたことに男女共学である)それから自分の今の気持ちや、文に会いたいという気持ちが、可愛らしくて細かい、見慣れた加奈の字で、うさぎの顔が描かれている便箋一枚の中にびっしりと、詰め込まれて書かれていた。

 その手紙を読んでいる間、文は思わず涙を流してしまった。


 それから文は涙を拭うと早速加奈に返事の手紙を書き始めた。

 自分の今の生活や、小学校時代の友達のこと、それから学園での出会いや、毎日が充実していること。でも、やっぱり加奈がいないことがすごく寂しいこと。そして、私も加奈にすっごく会いたいと、文は自分の正直な気持ちを猫の顔が書かれた便箋一枚の上にびっしりと書いて、それを手紙に入れて、すぐに実家の近くにある赤色のポストの中に投函した。

 手紙を手放す瞬間まで、文は加奈のことをずっと思っていた。

 でも私たちはお互いに前を向かなくてはいけないんだ。そんな気持ちも、確かに文は感じていた。だから文は手紙をポストに入れると、気持ちを切り替えて、自分の今の生活のことを考えようとした。

 自分の今の生活とは、つまり加奈のいない、生活のことだった。

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