第2話 僕と彼女と

俺が作家である事は周囲には知られている。

そして俺の収入の推定金額が発表されているため、学校では男女問わず俺に媚びてくる奴が多い。


「誠君、おはよう〜」

気持ちの悪い様な甘ったるい声で挨拶をしてくる女子を軽く会釈で終わらせて自分の席へ着く。

俺の荷物を持とうとする男女、俺たち友達だよな?とか言いながら金を貰おうとしてくる男がコバエの様にまとわりつくのだが最近来てなかったため居ない。


机には落書きがしてありゴミなどが周囲にばら撒かれていた。

いじめか…


その席の子が来た。

もう慣れてしまったのか、驚くこともせずに片付け始めた。

確か、中澤亜夜だったかな?


「おい…、彼奴にどうしてこんな事してるんだ?」

近くにいた男子に聞いたところ、特に理由は無いらしいが、このクラスの女王的存在の笹倉加奈が「貧乏人にはお似合いね」と言い始めて今に至るらしい。


「おい、中澤」

「何ですか…」

遠目では平然としているように見えても近づくと微かに震えているのが分かった。

「俺はお前を買う」

「何言ってるんですか…」

「だから俺がお前を買う、というか今買った」


我ながら強引だとは思うが、くだらない理由でいじめを受けるのは許せない。


「今から此奴は俺のものだ、今度こうしてみろ?お前らの親の首が飛ぶと思え」


「はぁ?意味わかんないんですけど、ビンボー人に、似合った場所を提供してあげただけなんですけど?むしろ感謝して欲しいしw」


「ア"?テメエいまなんつった?親の金で生きてるクソガキが何を生意気言ってやがる」


見せしめというのは大切だと思う。

実際に行われることにより、効力を示す事ができるからだ。


「俺だ…、このクラスにいる笹倉加奈という奴の親の首を飛ばせ」

『御意…』


「さて、数分もしたら電話がくるんじゃないかな?」

「は?何言ってんの、キッモ」


これからお前は最底辺で頑張ってもらう。


電話の着信音が鳴った。

「でたら?」

「もしもしパパ?」

『もしもし、加奈ごめんな…パパクビになった』

「えっ…」

『これから就職先探してくるから遅くなる』

「パパ…?」


「パパがどうした?」

「アンタがやったのか」


「そうだな、まあ見せしめとなってくれた事に感謝して職場を1つ提供するよ」

電話番号が書かれた紙を渡し、亜夜を引き連れ教室を出た。



「どうして、私なんかに構ったんですか…」

「特に、理由が気に入らなかっただけだ。

それよりお前の家に連れてってくれ」

「どうしてですか…」

「親御さんと話をしたいだけだ、別にこの事に関してじゃないから安心しろ」


ただ給料と借金の返済についての話だ。

「嫌だと言ったら…?」

「勝手にお前の家に居るなぁ…」


「はぁ…、拒否権ないんですね。いつ行くんですか」

「いつなら親御さん居る?」

「午前中は居ると思いますけど…」

午前中は、ね。


「よし、今から行くぞ」

手を引き彼女の家に向かった。


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