第510話

「やあ! 何か新しいアトラクションがあるんだって?」


まだまだ遊び倒してやるぜ!と言う雰囲気のサチーさんが、何か疲れ切ったドロスさんと共にやって来た。


「ふふふ、お疲れ様です。どうですか、楽しんで貰えてますか?」

と聞くと、良い笑顔でサチーさんが頷いていた。


 ドロスさんは・・・何か日曜日に家庭サービスで子供を連れて来たお父さんの様に、割とボロボロだけど、楽しんでは居るらしい。


 そこで、まずはゴーカートに乗せてみた。

 すると、1周回った後は、ドロスさんがかなり復活し、


「カイト君!これは面白いよ!!

 こんな小さい自動車も作れる物なんだねぇ~」

と欲しそうにしていた。


 サチーさんも、フェリンシアも、ステファニーさんも、ジャクリーンも、

「ちょっと、スピード感が足り無い」

と不完全燃焼の様な表情をしている。


「まあ、これは自動車を初めて乗る人が安全に楽しめる事をコンセプトにしてるから、スピードは出ないよね。危ないし。」

と趣旨を話すと納得していた。


 次にスリックカートへ連れて行くと、

「これは、さっきのゴーカートとどう違うのかな? コースは違うようだけど。」

と不思議そうな5名。


「まあ、良いから乗ってみて。」

と言って、全員でコースイン。


 ピットスタートでコースに出て走り始めると、

「「「「「うひょーー! 滑る!!!」」」」」

と叫ぶ他の5名。


 しかし、少しは知ると、自然とカウンターを当ててドリフトでコーナーからコーナーを切り返す様になった。


「これは楽しい!!!」

とドロスさんが叫ぶ。


 海渡は5周してピットインしたが、他の者達は、更に10周程回っていた。


 やっとピットに戻って来た5名は口を揃えて、絶賛していた。


 曰く、「スピードは出て無いけど、楽しい」

 曰く、「真横を向いてドリフト?するのが楽しい」

 と全員が満足してくれたらしい。


 そして、次はピーターパン的なエアー・アドベンチャーを体験して貰った。

 これもなかなかに好評で、

「飛行機に乗った事が無い人なら、大人でも十分に楽しいんじゃないかな。

 そこそこスリルもあるし、ワイバーンも凄かったし。」と。


 そして本日出来たてホヤホヤのダンジョン・アドベンチャーへとやって来た。

 これは、海渡も含み、2隻に3人ずつに別れ、試乗して貰った。


 第一階層に降りるまでの行程で、説明が流れるのだが、座席横の銃で狙い撃つと聞いて、皆さん本気モードになっていた。

 そして、下層へ滑り落ちる所で、ドロスさんの悲鳴が木霊していて思わず笑ってしまうのであった。


 徐々に強烈な魔物の出現で、結構本気で焦るドロスさん。

 サチーさんは、ワクワクしながら、銃を連射している。

 ドロスさんは、結構外していて、魔物からの攻撃で、船が揺れると、

「うわぁっ!」

と叫んでいた。


 更に、最後の第三階層では、スケルトン人形相手にビビっていて、声が裏返ったりしてて、なかなか楽しませてくれた。


 そして、1周を終えて、終着点で降りて集まり、感想を聞くと、サンド・ワームやサンド・スコーピオンの動きがリアルだったとか、色々良い点を挙げつつ全員が高評価だった。


「何か改良点とか気になる点は?」

と聞くと、


「無傷でクリアした際に、記念のピンバッチとかの景品があると良いかもです。」

との事。


 なるほど、クリアの記念品か。

「よし、それ採用!」

と言う事で、ピンバッチを景品に出す事にした。


 そして、最後にゲートで北門側のカートコースへとやって来た。


「ん?ここは、さっきのゴーカートとはまた違うのかな?」

とドロスさん。


「ふふふ、あそこが子供の遊び場とするなら、ここは大人の本気の遊び場ですよ。」

と言って、海渡が悪い笑みを浮かべつつ、レーシングカートを見せた。


「お!?これはさっきのゴーカートとは、かなり外観からして違うよね?」

とドロスさん。


 そして、海渡はレーシングカートについてを語り出す。

 特に自分の運転に合ったセッティングを色々と試せる事等を説明すると、


「ほぉー!これはなかなかに奥が深いみたいだね。これも試乗出来るのかな?」

と言う事で、6台用意して、ヘルメットを被らせて、全員で走り出す。


 最初の2周は海渡の後ろに着いて、コースを覚える様にして貰い、3周目から海渡がペースを徐々に上げて行く。


 そして、5周目から全開走行に移ると、見る見る引き離して行き、10周目には、周回遅れが出始める。

 海渡は早々にピットインして、みんなが走るのを見ていたが、全員が結構本気でバトルしていた。


 午後5時を過ぎて、徐々に日が沈んで来ているのだが、5人は絶賛デッドヒート中。

 ソロソロ30周になるので、チェッカーフラッグを振って、強制的に終了させたのだった。


 カートから降りたドロスさんが、興奮気味に

「カイト君、これヤバいよ!面白いよ!」

と大絶賛し、後日コーデリア王も招待する事になってしまった。


 となると、どうせワンスロット王や、獣王も来たがるだろうな・・・と後からバレると五月蠅いし、バラバラに日にちをズラされると面倒なので、周辺国全部に、招待状を送り、一気に遊んで貰う事になったのだった。


「まあ、レーシングカートの良い宣伝になるかなw」と。

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