第460話
異世界7ヵ月と27日目。
おかしい・・・昨夜は寝静まった後だったので、ベッドの隅の方に寝ていた筈なのだが、何故か、真ん中のいつもの位置で目覚めた。
そして、いつもの様に雁字搦めにホールドされている。
怖い・・・この状態に馴れてしまっている自分が。
何だかんだで遅くなり、4時間程しか寝てないのだが、目覚めは悪く無い。
朝練の際、
「当初は今日発つ予定だったけど、屋台の件があるから、もう少し延長して良い?」
と聞いたら、
「ふふふ、そんな気がしてましたw」
と笑顔のフェリンシア。
ミケやラルク少年達も、
「ボスのお気に召すままに!」
と跪いて片腕を胸に抱き、頭を垂れている。
不思議なのは、弟子ズ達がチョイチョイこう言う教えてもない受け返しを混ぜて来るんだよな。
何処でこう言う小ネタを仕入れてくるだろうか? と全く関係無い事を考えていると、昨日最初に話掛けた子供5人組の1人と、他に6人が庭へと降りて来た。
「あ、ボス!おはようございます!」
「あ、おはよう! よく眠れたかい?」
と聞くと、
「うん、本当にありがとな!」
と良い笑顔で、返して来た。
この7名は昨日話をしてみると、強くなりたいと言っていた7名の少年少女達。
なので、彼らには、基本的な身体強化や剣術や槍の型を教える事になったのだった。
ますは、骨粉入りハチミツ水でドーピング後、ステファニー先生による魔力感知~身体強化までの特訓コースとなった。
「さあ、みんな!うちの特訓コースは厳しいでーー! しっかり着いてきいや!」
と朝から張り切るステファニー先生。
その間に海渡とフェリンシアは久々に1期生全員と総当たり稽古を行った。
合間にジャクリーンさんも総当たりで稽古させたのだが、知らぬ間に身体強化や身体加速が劇的に進歩していて驚いた。
「ジャクリーン、凄いじゃないか! かなり訓練したんだろ? 最初に比べると2倍以上のスピードとパワーだな。」
と海渡が褒めると、
顔を真っ赤にしながら、モジモジと照れていた。
何これ、可愛いww 口には出せないけどなw
「しかし、強くなったと言えば、1期生全員、本当に強くなったな。
もう、全員単独でヒュドラやブラック・ワイバーン辺りは確実に行けるんじゃないか?」
と海渡が褒めると、感極まって、
「「「「「「「ボス(兄貴)、ありがとうございます!!」」」」」」」
とお礼を言われた。
「まあ、でもあいつらを斬る際は、普通じゃ斬れないから、もっと付与魔法を訓練して、即座に重ね掛け出来る様にならないとな。
強いて挙げるなら、そこら辺が課題だろう。」
と言うと、
「「「「「「「イエス・マイ・ロード」」」」」」」
と一斉に胸に手を抱き、跪いていた。
ププッ・・・だから、何処のネタだよ!それはw と内心馬鹿ウケして突っ込みを入れ、肩を震わせる海渡。
怖いのは、こいつらはネタでやってるかも知れないけど、他の奴がドンドン真似して広がっちゃうんだよなぁ・・・。
しかし、絶対こいつら、何処かで全員でネタ合わせやってるよな? とネタ合わせの場を想像する海渡だった。
1時間に及ぶ、ステファニー先生の扱き・・・・いや特訓で、朝からお腹タポタポにしながらも、何とか、身体加速までを習得した7名の少年少女達は、グッタリしていたが、顔は笑顔だった。
食後はフェリンシアとラルク少年達が、剣術や、槍術、弓術の型を教えて、基本の訓練を行うらしい。
早めに朝食を取り、昨夜特訓した12名とケモ耳ズを乗せて、新しく作った移動販売車両で、市場を目指す。
食後、宿舎前のロータリーで12名に車両を見せた時のテンションは、海渡が予想した以上に凄かった。
「「うぉー!!」」
「「「「わぁ~!!! すっげー!!!」」」」
とかかなり良いリアクションを頂きましたw
おっちゃんには、運転を覚えて貰う必要があるので、まずは自動車を出して、再度ドーピングを行い、パイロットスキル講習会を行った。
特におっちゃんがメインと言うか、この移動販売車両班のリーダーなので、念入りに運転をマスターさせ、バックや車庫入れを含め、安全に運転出来る様に教えた。
15分でスキルが生えたので、移動販売車両を運転させる事にしたが、
「え? ボス、俺がいきなりこれ運転するんですか? いやちょっと・・・デカいっすよ?」
とかなりビビっていた。
「まあでも、馴れないと、いつまでも運転出来ないですよ?
まあ、ユックリ行きましょうよ。どうせ、旧西門までは距離もあるし。」
と海渡が言うと、諦めていた。
他の子供らにも一応全員スキルは取らせたので、時間のある時に練習する様にと伝えておいた。
そして、おっちゃんドライブの移動販売車両は、今朝も何故か混雑している門から脱出し、旧西門を目指すのであった。
突然、誰も居ない門が自動で開き、中から出て来た移動販売車両を目にした見物客や立ち止まって眺めていたギャラリーから、
「「「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」」
と言う歓声が沸き起こっていたw
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