第454話
海渡達11名+1匹(レイアはフェリンシアの頭にドッキング済み)は、旧西門の前にテーブルと椅子を出して、優雅にティータイム。
20分程すると、馬に乗った騎士を先頭に、豪華な王家の馬車がやって来た。
「お待たせしました。えっと、良く理解出来て居ないのですが、何か城壁を作る上で、問題でもあったと言う事でしょうか?」
と、やや焦っているジャールさん御一行。
「あ、いえいえ、城壁は完璧に完成しましたよ?
それで、今度は頂く当方の敷地を確保しようと思ったんですが、ほら、道の幅が判らないと、拙いじゃないですか。
なので、この際、一気に道も作っちゃえば良いかな?とね。」
と海渡が誤解を解く為に、再度説明し直すと、ようやく事態を理解したジャールさん御一行が、
「「「「「えーーー!?」」」」」
と声を揃えて驚いていた。
「もう、完成しちゃったんですか!?
だって、さっき連絡貰った時って、まだ丁度1時間ぐらいでしたよ?」と。
そこで、海渡は、椅子を追加で出して、座らせ、カフェオレを出してやり、落ち着かせる。
そして、大きな紙を取り出して、王都の地図を転写した。
「まず、この地図を見て下さい。現在の位置が、ここ。
そして、新しい城壁が、ここの丸い円周です。
で、新しい城門は、ここと、ここと、ここと、ここの4箇所。
全て、今の城門の延長上にあります。
で、この何もない区間を、デタラメに開発しちゃうと、せっかく作ったスペースが、動線の悪い都市になっちゃいます。
なので、先に明確な道路を・・・まあ出来れば区画整理して、メインストリート以外の道も作るべきだと思います。」
と言って、海渡は、新しい道路プランをその地図の上に重ねて転写した。
「まあ、これにしろ!って言う訳ではないですが、お薦めはこんな感じの配置が良いかと。
あとは、これに伴って、建築関係の職人や出稼ぎで来る人達も増える筈ですので、道路を作った後に、真っ先にやるのは、
人員用の宿舎の建設、人員の募集や入札、後は、城門の管理施設の建築ですね。」
と説明すると、
「カイト様は、本当に凄いお方ですね。なるほど!
言われて見れば、その通りですね。勉強になります!」
と滅茶苦茶感心される海渡。
さて、王となったばかりのジャールだが、海渡に対する気持ちが、譲位の切っ掛けとなった畏怖から、完全に尊敬の対象として昇華していた・・・いや、してしまった。
なんだ、この自分の歳の1/3しか無い筈の少年の知識の広さと深さ、そして圧倒的な武力、桁違いの魔法は?
これで6歳? いや、もうこの際、歳の差とか関係無い。
・・・と、まあ、こんな具合である。
「一応、当方も国中に街道を通したり、他の領地の拡張工事したりと、色々ここ数ヶ月でやったので、ノウハウがあるだけですよ。
まあ、とにかく、無計画にヤルと、後で後悔する事になるので、真っ先に区画整理してある程度の主要道路を作り、その中で小さく区分けするのが良いと思います。」
「ふむふむ。なるほど。で、道路も作って頂けるとか。お幾らぐらいでやって頂けますか?」
と目をキラキラさせるて聞いて来るジャールさん。
「当初はメインストリートだけ、サービスで作っちゃおうかと思ってたんですが、そうですねぇ・・・この私のプラン通りに作るなら・・・黒金貨5枚で如何っすか?」
と海渡が言うと、即決で決定した。
東西南北のメインストリートの幅は、海渡のお薦め通りの30m幅、幹線道路は20m幅に決定し、海渡以外の全員が一斉に散って、道路を作成開始した。
海渡は、バスを出してジャールさん御一行を乗せて、出来上がったメインストリートを、新しい西門へと走らせ、城壁の確認をして貰う。
ジャールさんは、
「これが自動車ですか! 素晴らしいですね!!」
と興奮気味。
更に出来上がったばかりのフラットで凹凸の無い道路にも感動していた。
そして、出来たばかりの城壁を見て、登って、ジャールのその興奮は最高潮へと達していた。
もはや、興奮と尊敬とで、軽く信仰に近い程の傾倒振りである。
城壁の上から見ると、地図にペンで線を描くかの如くに、放射線状の道路と、それを同心円状で結ぶ周回道路が出来て行く様は圧巻だった。
「ああ、カイト様! 本当に凄いです。
ああ、見る見る都市が出来上がって行く・・・。
まるでお伽噺の中に居る様な気分です。
何とお礼を言えば良いのか・・・。 ああ、神よ、本当にありがとうございます!!」
と跪く勢いであった。
余りの豹変振りに、海渡は、「まあまあ」と宥めつつ、苦笑い。
当初はビビられていたのにねぇ~と。
そして、旧西門までの帰り道、
「ジャールさん、ここら辺に取りあえず道を挟んで両側に敷地を頂きたいのですが、良いですかね?」
と聞いてみたら、問題無いとの事で、10分程時間を貰い、目の前で、敷地を塀で囲んで、店舗、カフェ、ラピスの湯、そして総合型宿舎をその塀の中に設置した。
バスの中で、ポカンと口を開けて見ているジャールさんさん達の前を通り、逆サイドに塀を作って敷地を確保し、その一角に、5階建てのホテルを設置した。
残りのスペースは後日に考える予定である。
「お待たせしました。では出発しますね。」
と何事も無いかの如くにバスを走らせる海渡。
走り出して、直ぐにジャールさん御一行が再起動し、
「「「「「建物が生えたー!!」」」」」
と叫んでいた。
まあ、海渡にしてみれば、アイテムボックスのスキルを持っていると言ってあるので、「何を今更?」と言うぐらいの気持ちだったのだが、そんな海渡の常識(非常識)に慣れてない人からすると、「もう貴方が神ですか!」状態なのである。
そして、その結果、益々海渡への信仰心が、より高まる結果になったのだった。
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