第432話


「もう、何なのよぉ~! ここの魔物ってば!! 出て来る魔物、全部、化け物クラスばっかりじゃない!!」

と叫びながら、『身体強化』、『身体加速』、『クロックアップ』を使い、剣と魔法を駆使して、殲滅中のジャクリーンさん。


後ろでは、ニヤニヤしながら、見守るフェリンシアとステファニーさん。

「ふふふ、まだ愚痴ってられるぐらい余裕あるじゃないですかww」

とフェリンシアが言うと、


「フェリンシアちゃん、余裕ないからね? 私、今、絶体絶命だからね? 魂の炎が消えかかってるから!!」

と言いながらも、殲滅の手を緩めてない。


「もっと魔法も使わな、間に合わんで? もっと早くもっと多くの敵を同時並行して考えるやで?」

とステファニーさんがアドバイスしている。


「あ!何か多重処理Exとかってスキル生えた!! あ、結構色々な敵の対応が、楽になったわ!! キャッホー♪♪」

と更に殲滅ペースが上がるジャクリーンさん。



10分が経過し、オークの集落を1つ完全殲滅したジャクリーンさんが、


「ふぅ~、えらくスパルタな、訓練だったわ・・・」

と四つん這いになって、ゼイゼイと息をしている。


フェリンシアはそっと、ハチミツ水の入ったコップを手渡し、


「どう? 後半かなり良かったわよ? レベルも上がったんじゃない?」

と聞くと、


「ええ。や、やっと2レベル上がったわ・・・。 後半は、自分でも目に見えて動きが良くなった気がしたし・・・。

でもまだまだね、これくらいでゼイゼイ言っているようじゃあ・・・」

と自虐気味のジャクリーンさん。


「まあ、ここの魔物は他に比べると、全部強力やからなぁ~。

でも訓練と、美味しい物をゲット出来る、ナイスな場所やでww

ちなみに、この森に、普通の冒険者は近寄らんけどなww その分、狩り放題なんやw」

とステファニーさんが笑う。


「やあ、ご苦労さん。かなり動き良くなったじゃない。」

と海渡が降りたって、声を掛けると、


「わぁ! ダーリン!! ビックリしたーーー!! もう気配殺して近づくとか、心臓が止まるかとww」

とジャクリーンさんが大袈裟に言う。


「どうする? せっかくここまで来たし、久々にトリスターの方にでも寄って行くか!? ギルドで、少し今のオークを売って上げると喜ばれそうだよな。」

と海渡が言うと、


「ああ!それ良いじゃないですか! 久々にトリスターに行きましょうよ!」

と大乗り気のフェリンシア。


「ええで! うちも大賛成や! あの肉串また買い貯めしてかな、手持ちが少なくなってたんやw」

と違う意味で大乗り気なステファニーさん。(いや、フェリンシアもか?)


「ああ、トリスターと言うと、ワンスロット王国の辺境都市で、ダーリンとフェリンシアちゃんが一番最初に辿り着いた所ね?

私も是非行ってみたいわ!!! ねえ、行きましょうよ!」

とジャクリーンさんも乗り気になっている。


そして、海渡は絶界の森の外・・・トリスターの北門の前の丘へとゲートを繋げたのであった。



トリスターは、現在、絶賛建築ラッシュ中で、丘の上から見ると、拡張された城壁の内側には、沢山の建物が生えている途中である。

「わぁー、久しぶりに見ると、かなり変わったなぁ。 きっと、各地からもかなりの人口流入あるだろうから、オーク高く買い取って貰えるぞ!」

と海渡が言うと、喜ぶジャクリーンさん。


海渡は、自動車を取り出して、ジャクリーンさんに運転を教えながら、北門を目指すのだった。

15分ぐらいでスキルの生えたジャクリーンさんは、スムーズに運転しながら、はしゃいでいる。

「これ、凄いよねーー! 楽しいねーー!! よくこんな物を考えつくよね! 流石はダーリン❤」


「ふふふ、車があるのと無いのとだと、やっぱり大きく違うよね。 まあ作るのは、飛行機以上に大変だったんだけどね。」

と作ってた時の苦労を思い出して笑う海渡。


「そうでしたね、この車を作る為に、タンカー・ホエールを討伐しに行ったんでしたねwww」

とフェリンシアが笑うと、


「え? これを作る為だけにタンカー・ホエール!!」

と驚くジャクリーンさん。


「まあ、でもそのお陰で、美味しいお肉も食べられて、うちとしては、身も心も蕩けてもうたけどなw」

とステファニーさんがニマニマとしている。


「あ!城門が見えて来ました。 どうします?一旦停止して車降りますか?」

とジャクリーンさんが聞いてくる。


「ああ、そのまま城門の所まで行って、ギルドカードを見せたら、このまま車に乗って移動しよう。ギルドまでは、まだまだ遠いから。」

と海渡が指示を出す。


「了解です!」



そして、城門(新しく海渡が作った北門)に辿り着き、


「ども!お久しぶりです!」

と窓を開けて挨拶をしながらギルドカードを提示する。


「おお!カイト君じゃないか! って今はカイト様って言わないとだったね。」

と城門の衛兵のおにーさん。


「あ、別にそこら辺は前のままでお願いしますよw しかし、暫く見ない内に、かなり中の建物が増えましたね。」

と海渡が言うと、


「お陰様でなw でもカイト君が居なくて、ちょっと寂しいぞ?」

とおにーさん。


「すみません、なかなか来る時間が無くて。俺もここの街には特別な想いがあるんで、また時間が出来たら時々寄る様にしますよ!

まあ、本店もありますしねww」

と海渡は締め括って、車を進める様に指示した。



第二の城門(旧城門)はフリーパスで通過した後、車を降りて徒歩に切り替えるのだった。


「いやぁ~、久々に来て、何かテンション上がるよね!♪」

と海渡が言うと、食いしん坊万歳シスターズがウンウンと頷いている。


「お!坊主じゃねーか!!久しぶりだな!! おい、元気にしてたのか?」

と早速屋台のおっちゃんから声を掛けられる海渡御一行様。


「おー!お久しぶりです!! 取りあえず、串焼きあるだけ全部!!」

と初っ端から飛ばす海渡。

見ると、フェリンシアとステファニーさんが、手分けして各屋台から爆買いモード入ってましたw


「お?そのお嬢ちゃんは、初顔だよな?」

とおっちゃんが、ジャクリーンさんに声を掛けると、


「初めまして。今日はダーリンの里帰りに着いて来ました!」

と目をキラキラさせてるジャクリーンさん。


「お、おう・・・。坊主も3人目行くかww すげーなw」

とおっちゃん。


焼けた串を受け取り、4人で食べつつドンドンとストックして行く。


彼方此方の屋台や露店を総なめにしつつ、ギルドへと到着した。


「ちわぁーー! お久しぶりです!」

と開口一番、海渡が入り口で挨拶すると、中からアニーさんがすっ飛んで来た!



「あーーーー!! カイト君!!!! 酷いじゃない! 全然こっちに来てくれないなんて!!」

とアニーさん。


「「「あ!カイトの兄貴だ!!!」」」

「あ、兄貴、チーーーッス!!」

「あ、美人さんが増えてる!!」

「おー!あれが噂のSSSランク、殲滅のカイト様か!」

「わぁ!すっげー、絵に描いた様なハーレムじゃん!!! 羨ましいぞー!」

とロビーの冒険者達が騒ぎ出す。


騒ぎを聞きつけたギルドマスターのアルベルトさんが飛んで降りて来た。

「おお!! カイト君じゃないか! フェリンシアちゃんもステファニーさんも久しぶりだな!!」

と大声で再会を喜んでくれている。


「ん? 1名増えたな?」

とアルベルトがジャクリーンさんを見て呟くと、


「あ、ダーリンの里帰りに着いて来ましたジャスリンです。 あと、買い取りをお願いしたくて、こちらに寄りました。」

と丁寧に挨拶する、超絶美人のジャクリーンさん。


「また、スゲー美人を連れて来たな! おい、カイト君!!! 君、本当にやり手だなww」

とアルベルトさんが笑う。


「いや、そんなんじゃ無いですからね? 今、ジャスリンの戦闘訓練中でして。それで、絶界の森に来たついでに、こちらに寄りました。」

と言うと、アルベルトさんが大喜びしてくれた。


「そうか! わざわざこっちに持って来てくれたのだな? ご配慮感謝するぞ!!」

と。


ちなみに、海渡はあまり把握していなかったのだが、ミケやラルク少年の采配で、弟子ズがここにも出入りしているらしい。

但し、そこの地区の冒険者の食い扶持を減らす行為は行わず、塩漬け案件や、地元の冒険者では達成不可能な案件を、主に受けているそうで。

なので、ワンスロット王国内のギルドでも『カイトの軍団』として評価が高いらしい。


うん、この弟子達の評価は素直に嬉しいね!

これは、後でちゃんと褒めておかないとなww と心に決める海渡だった。


その後は、孤児院に差し入れをして、本店側に寄ってから、王宮へと戻ったのだった。


「あ、ヤベ! アルマーさんの所に挨拶するの忘れてた・・・。 ま、いいかww」

と夜寝る直前に思い出す海渡だった。

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