第414話


異世界7ヵ月と7日目。


邪教殲滅作戦から一夜明け、早朝の内に、一旦王宮の地下工房へ戻り、棟梁の仕上げた建築物を収納したり、新しい物を作って差し替えたりする。

棟梁達が我が国日本へ移住してくれた事で、非常に助かった。

今では、建設部門の長官?チーフ?となり、棟梁達も海渡同様に土魔法や光魔法その他諸々を代行してくれる存在となった。

これは本当に大助かり。


現在、棟梁達には、教会本部の建物や、孤児院の建物を優先して作って貰っている。

せめて各国の首都には早々に教会を設置して置きたい。

鉄は熱いうちに打て! であるww



宿舎へ戻って、朝の訓練・・・子供らや救出組の希望者も合同で朝練 し、彼らに各魔法属性を生やした。

訓練後には、朝風呂に入り、湯船でのんびりと街を眺めていると、


「カイト様! 俺、カイト様の所に来れて、本当に幸せです!!」

とか、


「カイト様! 何時までも、我々の道を照らす道しるべであって欲しいです!」

とか、


「カイト様! この命、いつでも、如何様にもお遣い下さい!」

とか、


「カイト様達をお使わし担った女神ジーナ様に、信仰と忠誠を誓います!!」

とか・・・


後半は何かもう、半分ヤバい。


「あー、ありがたいのだが、信仰するなら、女神ジーナ様だぞ? 俺は普通の人間だからね?」

と言っても、


「「「「「「ええ、判っております!!」」」」」」

と何か判ってない雰囲気が混じっている。

作戦終了後の昨日のパーティー辺りから、まあこんな感じが続いているのではあるが・・・。





朝食の後、弟子ズと共にワンスロット王国の空港へ飛び、久々にワンスロットの王都へ入る。

「いやぁ~、久々だな、ここに来るのもw」

と色々な屋台を巡りつつ、教会本部へと向かう。


意外と覚えてくれている屋台や露店の店主が多くて驚いてしまったww



そして久々の教会本部の礼拝堂で、


『女神様・・・』



「海渡さん、フェリンシアさん、ステファニーさん、そして皆さんもお疲れ様でした。」

と女神様。


慌てて海渡が見回すと、どうやら弟子達もこっちに呼ばれていたww


「「「「「「「ええーーーーー!!!」」」」」」」

と驚く弟子ズの面々。


「あらあら、驚かなくて大丈夫ですよ? 私は女神ジーナです。皆さんの活躍いつも拝見してますよ?

今回は私の願いを聞いて下さり、ありがとうございました。」

と頭を下げる女神様。


「あ、あわ、わ・・・ そんな頭なんて下げないでください。」

「そうです。私達はボス・・・カイト様の配下ですから、お手伝いさせて頂いて当然なのです。」

と慌てる弟子ズ。


「お弟子さん皆様には大した事は出来ませんが、せめて私の加護を授けますね。」

と女神様が、弟子達へ片手を振った。


弟子達の姿?が一瞬光り、どうやら加護が付いたようだ。


「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」

と歓声を上げる弟子の面々。


「女神様、弟子達にありがとうございます。ところで、あんな感じで宜しかったでしょうか?」

と海渡が聞くと、


「ええ、最高のシナリオでしたよ? 私のカメラ写り・・・インスタ映え?しましたでしょうか?」

うーーん、インスタ映えとはまた違うんだけどねw


「ええ、最高の写りだったと思います。」

と海渡が言うと、照れていたww


そして、暫く歓談した後、礼拝堂へと戻って来た。



「あ、戻った!」

とラルク少年が呟き、立ち上がるも・・・・


「「「「「「「兄貴!(ボス!)」」」」」」」

今度は海渡に向かってキラキラした目をして跪く弟子ズ・・・


「ん?」

と戸惑っていると、何やら気配を感じ、後ろを振り返ると・・・


「使徒・・・海渡様・・・ようこそおいで下さいました。」

と跪くセイジさんと30名のシスターやブラザーが・・・。


「いやいや、そんな跪かないで下さいよ!!!」

と慌てて、セイジさんを引き起こしに掛かるが、なかなか立ち上がってくれなかった・・・。


その様子を含み、キラキラした目で見つめる弟子ズ。

弟子ズの視線が熱い・・・。




「では、そろそろ出発しますが、準備は如何でしょうか?」

と聞くと、


「ええ、こちらは既に準備完了しております。」

とセイジさん。


礼拝堂を出て、教会の前に約100名のシスターやブラザーが並んでいた。

今回、この100名と礼拝堂にいたセイジさんを含む31名、合計131名が第一隊として大陸Aへと渡る。

セイジさんは、軌道に乗ったのを確認後、こちらに戻るらしい。


バス3台に分乗し、王都の空港へと出発した。


ここワンスロットの王都でも乗合馬車から乗り合いバスに移行が進んでおり、街中をバスが走る事に対する違和感は無い。

これに併せて、ワンスロット王曰く、近々に、道を広くしたい・・・と言っていた。


尚、面倒になるから、今回ワンスロット王への面会はしないwwww

だって、絶対に面倒になるからね!?


そして、順調にバスは進み、南門から王都の空港へと到着!


と思ったら・・・

「えーー!? 何故王様が、ここに??」

と思わず叫ぶ海渡。


してやったり、とニヤリと笑うワンスロット王w


「もう~、カイト君水くさいのぉ~ せっかくこっちまで来たのに、素通りとはなw 衛兵から連絡貰って、すっ飛んで来たわいwww」

と王様。


項垂れる海渡。

後ろで爆笑するフェリンシアとステファニーさん。


王様も、昨日の邪教殲滅作戦の様子をセイジさんらと一緒に見ていたらしい。

で、今日迎えに来る事も知っていて、門番の衛兵に通達し、網を張っていたと・・・胸を張って言っていた。


「まあ、事情と予定はお察しの通りなんで、今回は王宮へお邪魔する時間なくてですね・・・。」

と弁解する海渡。


「良いなぁ~、カイト君だけ自由に他の大陸とか行けちゃって・・・ 良いなぁ~」

と駄々っ子の様に言う良い歳の王様www


「駄々っ子ですかwww えー?王様も彼方此方遊び・・・いえ視察に行けば良いじゃないですか!」

と言うと、横からワリス大臣が、凄い目で海渡を睨んで・・・いや、哀願に近い目か?、首を横に振っていたwww

察してくれよ!変な事言って火を点けるなよ!? って感じかw




「ところで、話は変わるのじゃが、、カイト君の所にうちの娘、留学させてくれぬか?」

と魔法学校の開校の話を聞きつけてお願いされた。


「ああ、魔法学校ですか? 良いですよ? 待遇は一般と同じになって良いならば・・・ですがw」

と言うと、


「勿論、構わん!」

と仰っていた。


「じゃあ、近々にそっちに娘を送るから宜しくねぇ~♪」

と軽い感じで帰っていった。


ドッと疲れが出た海渡だが、気を取り直し、面倒なので、ヒラメ君0号機を取り出して、全員を乗せて、王都を飛び立ったのだった。


流石に、真面目に飛ぶと時間掛かってしょうがないので、途中ショートカットを入れて、20分掛けずにザインバッファ王国の王宮前広場へと到着した。


途中で連絡を入れた為、ザインバッファ王が着陸と同時に駆けつけた。

そして、リヤハッチから降りた海渡へ、ザインバッファ王を先頭に、大臣、近衛騎士団長、近衛騎士団隊員が、ザッと跪いた。手を合わせながら・・・。

「カイト様、この度はありがとうございます。 これまでのご無礼大変申し訳ありませんでした! 神罰を与えるのであれば、せめて国民だけは・・・」

と。

うん、それ既にお祈りのポーズだよね?



「え??? どうしたんですか? そんな跪かないでくださいよ? 驚くじゃないですかww」

と直ぐに立たせようとするのだが、なかなか立たないんだな・・・これが。


「何卒!何卒!! これまでの無礼、平にご容赦を!!」

とか言いながら・・・。



「やだなぁw 何で俺が神罰を皆さんに? それに祈るのは、主神である女神ジーナ様であって、俺じゃないですからね?

特にこの国は悪い事をしている訳でも無いでしょ??」

と海渡が言うと、


「ははぁーーー、ありがたきお言葉を! ではザインバッファには神罰は無いのでしょうか?」

と目に涙を溜めながらザインバッファ王が見上げて来た。


「ええ、特には無いですね。」

と海渡が言うと、


「「「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

と王様も後ろの大臣~近衛騎士までが叫びながら、喜んでいた。


うーーん、なんでこんな反応になるのか、今一つ理解出来ん。



気を取り直し、海渡がセージさんらを紹介する。

そして、全員で教会本部予定地へ向かい、海渡が作成した教会本部と孤児院をそこに設置した。

海渡が出来るのは、ここまで。


後は、プロのセイジさんらにお任せである。

一応、活動資金として、海渡はセイジさんに、この大陸のお金で白金貨200枚を渡し、足り無くなったら、知らせてねと伝えた。


そして、各国の首都へ送り込む予定の10名・・・12組をヒラメ君0号機に乗せて次の国へと飛び立ったのだった。

この大陸Aには、大小13の王国が存在しており、各王都(又は首都)へ教会建設の旅へでる事となる。

ちなみに、ザインバッファ王国は中規模の国となる。


そして、夕方まで掛かり、日暮れギリギリに、やっと12カ国全ての教会を設置し終わったのだった。

しかし、何処の国に行っても同じ様な感じだったので纏めると、


王宮の城外のスペースに着陸→王様駆けつけ土下座→誤解を解く→神罰回避を哀願→邪教跡地へバスで移動→教会と孤児院を設置→拝まれる→冒険者ギルドカードを見せつつ再度誤解を解く→滞在を哀願→説き伏せ出発


とまあ、そんな感じ。

酷い所だと、直ぐに娘(王女)を差し出そうとしてきたり・・・orz

娘(王女)自らがキラキラした目で跪いて、縋って来たり・・・orz

そんな様子を見つめる弟子ズの視線が更にヒートアップ・・・


各王国の王様には、ちゃんと、ギルドカードを見せて、普通の少年である事をアピールしたのだがなぁ・・・。

「はっ!了解であります、使徒様!!」

と・・・意味ありげに微笑み、丁寧なお辞儀をして来て・・・まるで理解してる様子がなかった。




「はぁ~・・・疲れた。」

と王宮に戻り、ベッドへと倒れ込む海渡。


「ふふふ・・・お疲れ様でした。」

そんな海渡の隣に座り、優しく髪の毛を撫でてくれるフェリンシア。


うぅ~・・・癒やされるわぁ。

い、いかん・・・このままでは眠ってしまうーーー!

そして、何とかベッドがあら這い出し、風呂に入ってから眠りにつくのであった。

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