第403話


王宮に戻ると、いつになく、スタッフの動きが激しかった。

「うーーん、何か落ち着かないね。居ると邪魔になりそうな気がしてきた。」

と海渡が言うと、


「じゃあ、コーデリアで食べませんか?」

とフェリンシアが提案し、全員大賛成。




格納庫の裏手にゲートで出て、やって来ましたコーデリアの王都。

「今日は食いまくろう!」

と海渡が宣言!


「「「おー!!」」と片手の拳を突き上げる2人と1匹。


「あ、レイアも居たんだね。」

と海渡が言うと、「酷いっす・・・」と呟いていた。



「おっちゃん!久しぶり!!!」

と彼方此方の屋台や露店を総なめして行く3人と1匹。


「おう!爆買い坊主じゃねーか! どうしてたんだい、最近来ないから心配してたんだよ?」

と行く先々で心配の声を掛けられた。



そして・・・

「おいちゃん!ラーメン3杯、バリカタで!!」

と海渡が声を掛けると、


「!!!! 坊主じゃねーか。最近店員しか来ないから、心配してたんだぞ!?」

と豚骨ラーメンのおっちゃん。


「本当は来たかったんだけど、本当に忙しかったんだよ。3ヶ月程、休みなかったし。こき使われてた・・・。」

と遠い目をする3人に、


「そ、そうか・・・よし、美味しい奴作ってやっからなw」

とあっと言う間に3杯出て来た。


「あ~~、やっぱおっちゃんが作ると、自分でやるより、全然美味しく感じるよ!」

と言うと、ちょっとおいちゃんが、涙ぐんでいた。


いや、これって割とマジなんだよね。

同じスープでも、ラーメンの出汁とスープの割合のちょっとした誤差や、麵の水切りの具合で味が劇的にかわるんだよ。


ズズーッと麵を啜り、汁を飲む。

あ・・・顔がニヤけてしまうwww

「これだよ、これ!! 何だろうなぁ。水切りなんだろうか? やっぱり違う。おいちゃん美味しいよ!」

とツイツイ替え玉しちゃう海渡他2名。


代金を払って、次の店へ・・・~~(ry


「いやぁ~食べたねwwww」

と笑いながら、寿司屋を後にし、海渡が、「あっ!」と小さく叫ぶ。


「ん?どうしたん?」

とステファニーさん。


「いや、そろそろウナギなんじゃないかと。」

と言うと、


「あれは、後2,3ヶ月先やな。」

とステファニーさんが無念そうに言う。


「聞いたら、食べたくなっちゃいました。」

とフェリンシアも愕然としている。


「す、すまん。なんかテンション、ダダ下がりな事言ってしまって・・・」

と海渡が謝る。



気分直しにサチーさんのロデム商会へとやって来た。

「お久しぶりです! サチーさん居ます?」

と海渡が番頭さんに言うと、


「ああ!カイト様、お久しぶりです! 建国祭凄かったらしいですね!! 私も行きたかった・・・。」

と。


「来年もやるから、良ければ、是非!」

と言うと、


「いやぁ・・・最近休みが取れなくてね。滅茶滅茶忙しいんですよ。さえじま商会のお陰でww」

と笑っていた。




「お久しぶり・・・と言っても建国記念日以来ですか。ども!!」

と海渡が挨拶。


「ふふふ、相変わらず神出鬼没だよねw 最近どう?」

とサチーさん。


「最近っすか? そうですね。やっと少し手が離れそうかと思いきや・・・

余計な所で余計な物に巻き込まれちゃいましてね。まあ来週までにはきっとカタが着くと思うんですが・・・~~」

と隣の大陸の話と、堕天使改めダメ天使ザイリーの話をした。


「へぇwww 相変わらず、面白い事になってるなwww」

と爆笑するサチーさん。


「そうやって笑ってますが、ザイリーを見たら、確実に驚きますよ?」

と海渡が言う。(ああ、そう言えばステファニーさんにまだ見せてなかったなww)


「ほう!もうその堕天使の居場所まで突き止めているのか! 流石に相変わらず凄い情報収集能力だな。」

と感心するサチーさんに、大陸Aの教会本部の映像を見せ始める。


「ここが、この大陸の中心にある教会本部ですね。下手な城よりデカい建物です。」

と壁の大型ガラスディスプレイの映像を説明する。


「これが、礼拝堂で、おそらくこの像が、ザイリーらしいですね。」

と淡々と説明する。


既にフェリンシアは肩を震わせているが、必死で笑いを堪えている。


「ご覧の様に余りに広いので、かなり苦労したんですが、やっとそれらしい部屋を見つけました。

そしてこれがザイリーです!」

とベッドで横たわり、クチャクチャと寝転んで食べて居るザイリーを紹介ww


「「ブブッーーーーーーwwww」」

とサチーさんとステファニーさんが、飲んで居た紅茶を吹いたwwwww


既に海渡とフェリンシアは待避済みw


「ちょっ!www ブタwwwwww」

「完全ブタやろww ブタ過ぎるやろーーwww」

と腹を抱えて転げ回る2人。


テーブルは既に吹いた紅茶で悲惨な状況だったw



10分以上笑い転げ、やっと平静を取り戻した2人は、涙目で

「カイト君、狙ったろ!!!」

と抗議しつつも、思い出し笑い。


「いや、早朝に確認して見ていて、思わずコーヒー吹いちゃって大変だったんすよ?」

と海渡が言うと、


「そう、その笑い声で起きて映像見たら、私も眠気ぶっ飛びましたwww」

とフェリンシアも思い出して腹を抱えている。


「これ、信者知らないんですよねwwww」

と大笑いする海渡だった。



「で、その大陸Aって、ぶっちゃけ商売としては、どうなの?」

と商人らしいサチーさん。


「まず、文明と言うか、レベルというか・・・幾分低いですね。特に食べ物!!!!」

と海渡が言うと、隣の2名も激しく同意している。


「それに、欲しい!って物が無いんですよ。

ここだって、サルド共和国だって、色々な食材なり取引した物ってあるじゃないですか。それが無いのです。

まあ、冒険者としては、そこそこ面白い依頼もあって、楽しめるんですがね。

ただ、それで稼いでも使い道が無くてねぇwwww しかも物価はこっちの大陸と同じなんですよね。」

と説明した。


「なるほど、売るつもりなら、良いが、持って帰って来る物が無いのか。

つまり、得たお金の換金方法が無い訳ね。」

とサチーさんが納得する。


「まあ、まだ2国しか行ってないんですが、正直、あまり期待はしてないですね。

あ、そうだ。なんなら、今から、小一時間行ってみます?」

と提案してみると、サチーさん大興奮w


「ちょっと行く前に15分だけ待って!!」

とサチーさんが部屋を出て、直ぐにニコニコしながら戻って来た。


「ん?どうしたんですか?」

と海渡が尋ねると、「ふふふ、内緒内緒w」とサチーさん。



そして、10分後に、勢い良くドアが開き、ドロスさん登場wwwww

ああ、なるほどねwwww


「おお!ドロスさん、おひさ!!!w」

と海渡が片手を上げる。


ドアを開けた所で、上半身を屈ませ、片手で待ったを掛けて、ゼイハーゼイハーと深呼吸している。


「さ、メンバー揃ったし、行こうか!」

と息つく間を与えない、鬼畜なサチーさんwww


海渡はゲートをリンドル王国の王都の路地裏に繋ぎ、全員で移動したのだった。

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