第404話


「どうです? ここが大陸Aのグリンドル王国の王都です。」

と全員で肉串を食べながら街を歩く海渡ご一行様。


「な?パッとせえへんやろ?」

とステファニーさんが言うと、頷く2名。


「ところで、この大陸には、エルフって居るの?」

とドロスさんが聞いて来た。


「あ! どうなんでしょうね? そう言えば、聞いた事ないですね。」

と海渡が答えると、


「ギルドで聞いたら?」

とフェリンシアが提案。



と言う事で、連日となるが、王都支部へとやって来た。


「あ!カイト様!今日は依頼受けちゃう感じですか? 依頼受けちゃいますか? それとも依頼やっちゃいますか?」

とまた例の如く、受付嬢が畳みかけるww


「ハハハ、今日はやらないよ? ちょっと聞きたい事あって寄っただけ。」

と海渡が言うと、実に残念そうな顔をしていた。


「で、聞きたい事なんだけどさ、この大陸に、エルフやドワーフや獣人って居るの?」

と聞くと、


「エルフ?? ドワーフ? はて? 獣人は居ますよ? うーん、難しい話なら、ギルドマスターの方が嘘でも詳しいと思うので・・・ちょっと待ってて下さいね!」

とお伺いをたてに走り、直ぐにギルドマスター室へ、案内された。


「おお!カイト君、昨日は色々ありがとうなw あれは良いね!!」

とニコニコ顔のギブソンさん。


なので、早速聞いてみると、なるほど、どうやら世間とは隔絶した状態でエルフもドワーフも居るらしい。

獣人は南の方に多いが、獣人の国家と言うのは無いらしい。この大陸では、特に獣人だから・・・とかの差別も何も無いそうな。

いや、寧ろ獣人の女性は人気あるとの事wwww ケモナーな人が多いんだねwww

エルフは、北の方にある大森林一帯が彼らの領域らしく、但し、一般的には公表されていないらしい。

ドワーフは、その大森林の奥の山岳地帯に居ると言う伝説が有るとの事。


「まあ、そんな訳で、そのエルフもドワーフも、俺はまだ見た事ないんだがなwww」

と豪快に笑ってた。


海渡は思わず、

「いやいやいや、今目の前に3人も見て居るじゃん!w」

と突っ込むと、


「え!? ええ!!!!」

と驚いていた。 


「「「「「気付いてなかったんかい!!ww」」」」」

と爆笑するこちらサイド全員。



「あともう1点、質問なんですが、この王都に一軒家とか買えたりしますかね?」

と聞いてみると、


「ほう!とうとう腰を落ち着ける気になったか?」

とどっかのオヤジの様な発言がw


「いや、何かの際の拠点あると便利かなとね。」

と答えると、受付嬢のおねーさんに指示して、何軒か紹介してくれる事になった。


「やったーーw これで今月は、私、ウハウハ決定ですぅ~♪」

と大喜びのおねーさん。

どうやら、家の売買の中間手数料の歩合が貰えるらしいww


「カイト様、高い奴買っちゃいましょうよ! すんごいのを!!」

と張り切るおねーさん。


「取りあえず、ギルドの周辺から順にご案内しますね。」

と一軒目に案内された。


「うわぁっ、広っ!! しかも荒れ放題www」

と海渡が唸る。


「これ、トリスター本店と同じぐらいの敷地ですよね?」

とフェリンシア。


塀や門は割合とちゃんとしているが、草ボウボウで、ボロボロの建物が奥の方に見える。

「ここなんか、如何っすかね? この広大な敷地、やりたい放題ですよ?」


海渡はマップで、敷地を確認すると・・・あれ?人の反応あるぞ? 子供か?18人居るね。


「なあ、ここは無人になって、どれくらい放置されてたの?」

と聞くと、


「ああ、それ聞いちゃいます? 実は・・・」

とゴースト騒動のある、訳あり物件らしい。


「なので、敷地面積と場所の割には、格安でして・・・。」

と後半モゴモゴと言っていた。


「ふーん、ゴースト付きの訳あり物件ね。幾らなの?」

と聞くと、


「白金貨、20枚なんですが・・・」

と。


「よし、買った!!」

と白金貨20枚を取り出し、おねーさんには、お駄賃のチップとして、金貨1枚を渡した。


おねーさん、大喜びで、踊り出している。


「その変わり、直ぐに手続きして!!」

と言うと、


「判りました!直ぐに手続きして参ります!! 10分程お待ち下さい!!!!!」

と全速力で駆けていった。


そんな海渡を見て、ニヤニヤと笑う4名。

まあ、フェリンシアとステファニーさんは、ゴースト=中の子供達の仕業ってのが判ってる故のニヤニヤ。

さちーさんと、ドロスさんは、ここで何やるつもり? またアレやるの? のニヤニヤ。


待つ事、7分でおねーさんが、身なりの良い、お爺さんを引っ張りながら、走って来た。

「おいおい、死ぬから!!! そんなに走ったら、死んじゃうから!!!!」

とお爺さんが、ゼイハー言っている。


海渡は、軽くヒールをかけてやり、ハチミツ水のコップを2人に手渡した。


「プッハー、凄い美味しいのぉ。何か気のせいか、力が漲る感じがする。」

と爺さんが、腕に力こぶを作る。


「ははは、骨と皮しかあらへんやんww」

と馬鹿ウケするステファニーさん。


「で、お主かのぉ? ここを買うと言う酔狂な奴は。」

とお爺さん。


「まあ、ゴースト出るらしいですが、留守が多いので、ゴーストに留守番させれば良いかな?とねw」

と海渡が言うと、大笑いしていた。


早速その場で手続きを完了し、白金貨20枚で、こちらのゴースト訳あり物件は海渡の物となった。


お爺さんと、おねーさんにお礼を言って、門の所で別れ、敷地の中に入って行く海渡ら一行。


「草が邪魔だな・・・。」


海渡は、一度空中に飛び上がり、敷地の全域を見回した。


「なるほど・・・。」

と地面に降りて、玄関までの草刈りをウインドカッター一発で終わらせ、テクテクと玄関に辿りついた。


そして、玄関の鍵を開けて、玄関にBBQコンロを取り出した。

タンカー・ホエールのステーキ30枚程切り出して、塩胡椒をして焼き始める。

当たりにジューと言う音と共に、肉の焼ける良い匂いが漂い始める。

海渡はその匂いを風魔法で集中的に18名のゴーストの潜む部屋に送り込むwwww


「あーーー、建物の中のゴースト18名につぐ・・・。ちょっと仕事を頼みたいので、出て来てくれるかな?

肉でも食いながら、話をしようか!」

と拡声を使って語りかける。


「ああ、俺は、SSランク冒険者のカイト・サエジマ。ここを買った新しいオーナーだ。

せっかく畑まで作って生活しているゴーストを追い出す気はない。逆に、ここを住み込みで管理する仕事をお願いしたいんだよ。

殆ど留守にするからね。ちゃんと給料も出すよ? さあ、早くしないと、お肉が焦げちゃうから!! おいで?」

と言うと、部屋からコソコソと汚い身なりの子供達が出て来た。


「おお、来てくれたか!! 早く。熱いうちに! 味が落ちるから!!!」

と急かして、テーブルにステーキの肉やサンドイッチを並べて行く。


「いっただきまーーす!」

と先に座ったフェリンシアとステファニーさんが食べ始める。


「はよ、来ないと、全部食べてまうで?」

と言いながらw


子供達が、やって来て、

「本当に食べて言いの?」

と聞いてきた。


「ああ、ちゃんと食べて、お留守番の仕事して貰わないといけないから。栄養つけないとねw」

と言うと、一斉にテーブルに座って食べ始める。


「「「「「「「「おいしーーーー!!!!」」」」」」」」

と子供らの絶叫が響く玄関ホール。


食べさせながら話を聞くと、ここには、26名の子供らが住んでいるらしい。8名は少し歳が上の子達で、何か仕事や食べる物を探しに行っているらしい。


「そうか。全員早めに話したいんだけど、何とか集められないかな?」

と言っていると、1名帰って来た。


状況が飲み込めて居ないようで、口をパクパクさせて、驚いている。

なので、海渡が説明し、ここで生活して良いので、住み込みの仕事として、屋敷を管理して欲しい。給料も全員に出す。

と言うと、驚いていた。


ステーキを1枚急いで食べて、「全員を集めて来ます!」と走って行った。

最初の18名の子らは、久々に満腹になって、うとうととし始めている。全員にクリーンを掛けて、ベッドを幾つか出してやり、休ませた。


サチーさんとドロスさんは、ちょっと街を散策して来ると言うので、お金を両替してあげた。


20分ぐらいすると、8名の少年少女が集まり、彼らに同じ話をしながら、食事を取らせた。

「まさか騙して、後で売り払うつもりじゃないよな?」

と最年長のイースタン君に聞かれたが、


「それなら、こんなまどろっこしい事はしないよ。実力でねじ伏せるよw これでもSSランクの冒険者だからねw」

と言うと、


「判った。すまなかった。」

と言っていた。



そして、建物をもっと良い物に取り替えるから、と納得の上、私物等を出させて、全員が一旦建物の外に避難する。


海渡は超高速アイスカッターで建物を地面から切り離し、収納する。


「「「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

と湧き上がる歓声。


そして今度は全員をバックさせて、ガッチリとした土台を固め、上にトリスター型の5階建てを設置した。


「「「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

と今まで見た事の無い様な建物が現れて、驚く26名の子供達。


「さあ、今日から、ここが君らの家だからね。」

と全員にセキュリティキーのブレスレットを渡し、填めさせた。


「す、すげーー」

と案内する場所場所で驚きの声を上げる子供達。

全ての説明を終えて、


「もし、何か突発的な事があれば、さっき渡した通信機で、俺か、フェリンシアかステファニーさんに連絡して!」

と念を押しておいた。


あと、着替え等の衣服や生活必需品を買うように、お金を渡し、全員分を買って来させ、その間に庭の雑草を排除し、細やかな草に埋もれていた家庭菜園にラピスの泉の水を掛けておいたw

敷地の周りの塀を完全にリニューアルし、門も入れ替えて、集中管理型にした。



何故か、衣服を買いにいった少年少女達が、慌てて帰って来た。

「ん?どうした? 慌てて??」

と聞くと、段々夢だったんじゃ無いかと不安になったらしいwww


「ふふふ、大丈夫。夢ではないからw」

と言うと、笑っていた。


サチーさん達が戻って来るまでに、26名全員に、ドーピングしてから、スキル講習会を行った。

身体強化と身体加速、それに水魔法の属性を生やした。

魔力量を増やす為に、毎日使い切る様に言って、講習会を終了した。


訓練後と言う事で、風呂の入り方を教えて、生まれて初めてのお風呂(しかも温泉)を体験させると、全員が一気に風呂の虜になっていた。


風呂から上がって、冷たいミルクを飲んでいると、やっとサチーさん達が戻ってきた。

取りあえず、楽しんだ様子のサチーさんとは対照的に、ドロスさんは、スッカリ疲れ果てて居たww


子供らに、食事等の取り出し方、必要物を購入する際のお金の場所、困った際の連絡等の念を押して、コーデリアへと戻り、全員で夕食を食べて、王宮へと戻ったのだった。



部屋に戻って、マチルダさんを呼び、問題無いかを聞いたが、全てスケジュール通り、オールグリーンとの回答を貰った。

労を労うと、敬礼して戻って行ったww

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る