第398話


「よし、これで、依頼は完了っと。 じゃあ、後はこの階層を探索して、18階層行くよーww」

と宣言し、林の中のフォレスト・ウルフの群れや、フォレスト・ボア、シャドー・スパイダー、トレント等を撃破して行く。

高速で移動しながら、グルリと17階層の魔物を適当に間引きし、グレート・サーペントは更に3匹確保した。


そして、半周以上廻った所で、崖の小高い所に、第18階層への階段を見つけた。


海渡は一応、これら全てを第17階層の地図に書き込んでおいた。

そして、前人未踏の第18階層へ突入する。




第18階層は、月明かりが照らすだけの暗い、岩山のフィールドで、反応は、お馴染みのバジリスク、それにゴーレムだった。



「前々から不思議におもってるんだけどさ、生物的な魔物は判るんだよ。だけどゴーレムって誰かが作らないと出来ないんじゃないの?

生まれるのとは違う気がするんだよね。生物じゃないし。」

とゴーレムを付与した刀で切り刻みながら海渡が言うと、


「そう言えば、そうやなぁ。どうやって生まれるんやろか?」

とステファニーさんも頭を捻りながら、アイスカッターで集ってくるゴーレムを殲滅しつつ呟く。


「気にしたら、負けですよ?www」

と二刀流で舞う様に殲滅するフェリンシアが笑う。


「「それもそうか(やな)ww」」

と同意する他2名。



バジリスク、ゴーレムを殲滅しつつ、全域を周り、一番大きな赤い点の場所へと到着した。


大剣を持つ、ロック・リザードマンが8匹とロック・リザードマン・ジェネラルである。


せっかく大剣を持って居るので、こちらも刀で行く事にした。

が、ステファニーさんは、サクッとハンドガンを出して、

「狙い撃つぜ!」

と叫びながら3匹瞬殺。

頭を撃ち抜かれた胴体が、ピクピクしていた。


「情緒がないなぁ・・・」

とぼやきつつ、ジェネラルを含む残り6匹をフェリンシアと2人で反撃も許さずに瞬殺した。

そして、彼らの居た場所の奥に、第19階層への階段があった。



「このペースなら、第20階層を超えられそうだな。午後4時に引き上げるとしよう。」

と海渡が提案し、それまでは、出来る限り深く潜る方向で、意見が一致する。


第19階層は、また洞窟エリアで、ゾンビ、スケルトン、リビング・アーマー、リッチ・ロードが出て来た。

リッチ・ロードは魔法を使うのだが、結局は聖魔法の浄化でサクッと捻りも無く討伐出来た。


第20階層は、湖のあるエリアで、よりLvの上がったフォレスト・ウルフや、フォレスト・コング、スナイプ・モンキー等が湖の周りの森林から攻撃して来た。

ある程度、向かって来る魔物を殲滅しつつ、湖に到達すると、湖からは、半漁人の水魔法攻撃を一斉に受ける。

面倒なので、湖に向かい、強めの電撃を撃つと、広範囲で半漁人が浮いて来たwwww

浮いて来た半漁人を回収して、湖の真ん中の島へ飛んで着地。

直径200m程の小さい島の真ん中に階段がありそうなのだが、この島にも島を守るかの如くに、グレート・サーペントの上位種のデュアルヘッド・サーペントが居た。

まあ、頭は2つあってもヤル事は変わらないので、サクッと凍らせて、2つの頭を切断して終わり。



第21階層は、海と島のフィールド。


「うっはーーーw また無理ゲーなw」

と海フィールドを避けてきた海渡が笑う。


海の中には、シー・サーペントや、クラーケン等が居る。


「この際、行くか・・・」

と光魔法のシールドを展開しつつ、飛行魔法を使いながら水中に潜る3名。


初っ端からシー・サーペントが噛みついて来るも、避けるが、水の抵抗が思った以上に大きく、動きは空中に比べ重い。

海渡はシー・サーペントを回避しながら、口から胴体に掛けて、刀ですれ違い様に切り裂いた。

大量の血が噴き出し、視界を悪化させる。

やったシー・サーペントを回収しつつ、その場から移動し、視界を確保すると、今度はクラーケンがシー・サーペントの3倍以上の速度でやってくる。

その速度は水中の巨大なジェット機の様だった。

水中では、アイスランスを撃っても余り効き目が無く、少し表面に傷が入った程度。

クラーケンの初撃をギリギリで、回避した海渡達であったが、すれ違い様に墨を吐き、視界を奪われてしまった。

しかも、攻撃が多彩で、電撃を放ったらしく、光シールドが、電撃でバチバチと光った。


『思った以上に厄介だな。』

と伝心で呟くと、


『結構、動きが速いから、一旦上空に逃げませんか?』

とフェリンシアが打診。


2人は同意して、上空へと上昇し、海面から空中にホバリングする。


海中から、触手が捕まえようと伸びてくる。


空中なら、水の中の様な抵抗もないので、捕まる訳が無いのだがwww


「イカの分際で!! 舐めたらあかんでぇ!!」

とステファニーさんが、ハンドガンを乱射wwww


「バ、バ、バ、バシュー」と4発が水面に当たり、強烈な水柱を上げる。


どうやら、今のが当たったらしく、黒い水に薄緑の血液が混じる。


今度は水中から、ウォーター・レーザー(細い強烈な水流の攻撃)が飛んで来る。


そこで、海渡は、時空間斬をウォーター・レーザーの発射地点へ放つと、ウォーター・レーザーが止み、プカリと2枚降ろしになったクラーケンが浮いて来たのだった。


「ふっふっふ・・・素早い芸達者なイカだったなwww」

と笑いながら、クラーケンを収納し、点在する島を確認して行く。

各島にも魔物が居て、特に階段がある島だけを守っている訳では無いらしい。

一番反応が大きい島に、期待して行ったのだが、スカだったwww


そして、15個ある島のうち、最後の15個目でやっとヒット。

まあ、そのお陰で、ダンジョン椰子ガニを何匹もゲット出来たのだが。

ちなみに、オアシスでなくても、ヘブン・ココナッツが有れば居るのかもしれないね。



そして第22階層・・・ここは、また砂漠フィールド。

お馴染みのサンド・ワーム、デス・スコーピオン、サンド・バードが居る。

ちなみに、初お目見えのサンド・バードだが、こいつは、空を飛ばない。ランナー・バードと同じで、砂漠を凄いスピードで走り回るのである。


比較的広い砂漠空間であるが、休憩の間に偵察ドローンを飛ばし、周囲を確認すると、階段の出口の反対側・・・6時方向に石で出来た建造物を発見した。


空を飛びながら、サンド・ワーム、デス・スコーピオン、サンド・バードを狩り進む。

サンド・バードも美味しいらしいので、後で、焼き鳥決定だw

ちなみに、このフィールドにもオアシスは無かった。


21階層の島の中には、滝のある島があったので、長期に渡る攻略組は、あそこで水を仕入れるか、海渡の商会で水筒を買うしか、水の補給は難しいだろう。



そして、石で出来た建造物の入り口の中に入ると、階段を発見したのだった。

午後4時まで、残り50分程。


急いで第23階層に降りると、洞窟エリアで、彼方此方にモンスターハウスがある。

この階層の魔物は、主にオーク・・・しかもソルジャー、ウィザード、アーチャー、ジェネラル、そしてキングまで居る。


「ほう、食材の宝庫だな。」

とほくそ笑みつつ、正解のルートを撃破しつつ進む。

オークの集団が多いと言え、通常の通路だと、5mぐらいの円形の空間なので、一気に囲まれる事は無い。


ただ、連携でも取ってるかの如く、前後から挟み撃ちにして来る。

しかも、曲がりくねった道なので、射線が悪く、瞬時に殲滅しても、後から後から沸いて出るのである。

「なるほど、良く考えられてるな・・・と言うか、いい加減効率が悪いね。」

とぼやく海渡達。


殲滅しては、収納を繰り返し、通路から、ホールへ行くと、ホールに繋がっている道から、ドンドンと沸いて出るオーク。


普通の冒険者であれば、周囲をオークや、その上位種に取り囲まれると、走馬灯を見るのだが、海渡らは、広い空間で一気に殲滅出来ると喜ぶ。

広めのホールに87匹のオークと、ジェネラルや、ソルジャー、アーチャー、ウィザードまで、勢揃いである。


「超高速回転のアイスカッターをグルリと廻しておしまいw 超簡単なお仕事ですw」


ちなみに、残りのオーク・キングを含む上位種の反応はこの先の進路ではなく、別のルートのため、遭遇しないで、階段に到着した。



ここまでで、午後3時45分。

階段を降りて、第24階層へ到着。


ここは、好物のジャングルエリア。

智恵子さんに確認すると、美味しい果物が沢山見つかった。

すぐに3人で手分けして、果物狩りを始める海渡達。


勿論魔物も居るのであるが、果物の前には、居ないも同然ww

今まで以上にスキル全開で、残り少ない時間で、ドンドンと食べ頃の実を採取する。

狂喜乱舞しながら、午後4時を迎え、23階層からの階段前に集合した。


「ふぅ~、今日はここまでにするか。」


「そうですねぇ。結構沢山頂きましたしww」


「やっぱ、ダンジョンのフルーツは堪りまへんなぁwww」


と3人がニンマリ。


「途中で合った、冒険者に激励で、フルーツでも分けてやるかw」

と海渡が言うと、


「ああ、あの乙女なwwww」

とステファニーさんとフェリンシアが、爆笑する。



そして、海渡は17層~24階層の地図を転写で4部作成してから、16階層へとゲートで出た。


「ちわぁ~、通りすがりの果物売りですが、新鮮な果物如何っすかー!」

と『乙女の知恵袋』の前にやって来る海渡達。

首から引っかけた、木の大きなトレイ(駅弁売り風)を態々装備している3名wwww


「ちょっ、あんたたちwww」

と爆笑する乙女の面々。


「何やってんの?ww 態々そんな小道具まで用意してw 17階層に行くんじゃなかったの?」

とアンジュさん。


「ああ、ちゃんと行きましたよ。今日は元々午後4時までと言う制限を設けていたので。日帰りだって言ったでしょ?」

と海渡が言うと、


「え?第17階層行ったの!?」

と驚いていたので、ウンウンと頷く海渡達3名。


「で、帰り道にちょっと陣中見舞いでやって来ました。ああ、これは下の階層で採れたてのフルーツですよ。美容効果抜群! 要りませんか?」

と海渡が聞くと、15名が、


「「「「「「「「ほしいーーー!」」」」」」」」

と声を揃える。


「あ、でもそんなにお金は持ってないよ? この遠征の為に殆ど空っ穴だから。」

と悲し気なアンジュさん。


「ふふふ、冗談ですよ、分けてあげるつもりで寄ったんですから。態々、さっきこのトレイ作ったんですよ?このために。良いでしょwトレント製です!!」

と胸を張る海渡達ww


「あーー、本当だ!トレントっぽい。マジかぁ・・・あんたら、何者?と言うか名前聞いてなかったね。」

と言われ、ああそう言えば・・・と気付く海渡。


「ああ、それは失礼しました。俺は、カイト・サエジマ、こっちはフェリンシア、こちらはステファニー・ヨハンソンさん。 パーティ名はまだ付けてないんです。大募集中ですw」

と自己紹介。


「ちなみに、まだ途中ですけど、完全番の地図欲しいですか?」

と聞くと、ガッと食いつく乙女の面々。


「ふふふ、16階層までは持ってるんでしょ? 17階層からのがこれです。」

と24階層までの地図を渡した。


「良いの貰っちゃって・・・。まさか、この乙女の体で払えと?」

と何か違う方向に持って行こうとする気配を感じ、


「あー、それは結構です。間に合ってますので。しかも、俺まだ6歳ですからね?」

と怯えた風を装う海渡。


「あれ?17,18,19?,20,21,22,23,24!!!!! あんた達、24階層まで行ったの!?」

と絶叫するアンジュさん。


「はい、本当はキリの良い25階層まで行きたかったんですが、24階層が意外に強敵で・・・。」

と海渡が目を伏せる。


「え?どんなのが居たの?」

と興味津々な乙女達。


「ピーチ、バナナ、マンゴー、アップル、オレンジ、パイン、ブドウ・・・もう採りきれない程に・・・。

残念ながら、時間切れで、2/3程取りこぼしてしまいました。」

と凄く残念そうな顔をする海渡ら3名。


「ちょっwww それ魔物ちゃうしw」

と爆笑。


「まあ、でもマジな話、18階層からですが、結構鬼畜なダンジョン構成ですよ。普通にやるのでは、多分無理に近いかと。」

と海渡が言う。


再度、地図をマジマジと見て、海や湖、砂漠を見つけ、ガーーンとする乙女達。


「ねえ、あんた達、これどうやって渡ったの? 船持って行ったの?」

と聞くので、


「いえ、船だとクラーケンの餌食になると思いますよ。我々は、魔法で空飛べますから。大丈夫でしたけど。

普通に歩きや泳ぎは難しいと思いますね。」

と言うと、


「そうか、魔法って便利だな・・・私ら、魔法使えないし。そっかー・・・」

と落ち込む。


「これも何かの縁だし、触り部分で良ければ、教えましょうか?」

と聞くと、ガバッと、両肩を掴まれ、前後に揺らしながら、詰め寄られた。


「ちょっ!判りましたからwww」

と言う事で、ドーピングして、身体強化、身体加速の取得までを伝授した。


「何これ!! 体が滅茶軽いんですけど?」

とピョンピョン跳びはねたり、走り廻ったり、素振りしたりする、乙女達。


「とにかく、魔力量を日々使い切って上げて行かないと、逆に戦闘途中で、魔力枯渇で動けなくなるので、注意して下さいね。

剣術の訓練と同じで、毎日やる事が大切です。そうすれば、レベルアップの際に更にステータスが伸びますから。」


と言うと、元気よく返事していた。


「続きは、また機会があれば・・・。どうせ一気には魔力不足で難しいですから。死にそうな怪我をしたら、さっきのアンプル、迷わず使って切り抜けて下さいよ? じゃあ、また!」

と海渡達は、ゲートで1階層まで戻り、ダンジョンを出て来たのであった。


さっき地図を買ったおじさん?おにーさん?を見つけ、

「17階層の完全番の地図あるよーーwww」

と話掛けると、凄く食いついて来た。


「ぼ、坊主!! もしかして第17階層走破したのか!!」

と。


「ええ、24階層の途中まで行きました。」

と答えると、


「いやいや・・・大人をからかっちゃダメだぞ、坊主! そんなに早く行ける訳が無いし、第一、それを1日で帰って来れる訳が無い。思わず本気にしちゃったぞ!?」

とおじさん。


「ああ、俺達ほら、空も飛べるし、時空間魔法で移動出来るんですよ。」

と空を軽く飛び、ゲートを王宮の屋上に繋いで見せた。


アングリと口を開けて、呆然とするおじさん。


暫くして復活すると、

「じゃあ・・・本当に行ったのか!!!」

と叫ぶ。


「ふふふ、嘘言ってもしょうがないでしょw」

と海渡が言うと、それがそうでもないらしい。

「え?どうして?」

と言うと、名声と、ギルドからの報償が貰えるからだそうで。


「なるほどね。それは知らなかった。」

と海渡。


「ちなみに、坊主、先にギルドに報告しないと、ダメだぞ? じゃないと、拙い事になるからな!」

とおじさんが教えてくれた。


「え?そうなの? 全然ギルドのおねーさん、何も言ってなかったな・・・。」

と言うと、


「それは、ギルド側の手落ちだな。俺も一緒に着いて行ってやる。」

とおじさん。


で、報告の後に地図データを売ってくれw と。


なので、4人でギルドの支部に行くと、午後5時過ぎと言う事で、既に結構な数の冒険者が居た。

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