第379話


そして、山の中腹を目指していると、ミノタウロスの集落の側まで来ました。

ここのミノさん、とってもデカくて、ほぼLv79~70台後半ばかり。


しかも、何体かは、ギガ・ミノタウロスと言う1.5倍くらいのサイズの亜種も混じっている。

100mぐらい手前の岩陰から集落を見下ろして居たのだが・・・


「なあ、これさ、弟子達にやらせた方が良くない? おそらく、リポップ? 同じくらいのレベルが揃うまでに時間掛かりそうだし、ちょっと勿体ない気がして来たんだけど。」

と海渡が言うと、「「あぁーー!」」って2人も納得。


『おーい、可愛い弟子ズの諸君、元気かーー!?』


『『『『『『『あ、兄貴!(ボス)』』』』』』』


『お前達、今何処? まだ第5階層だよね?』


『はい・・・え? 兄貴達、もしかして第6階層行っちゃいました?』


『うん、今第6階層なんだけどさ、Lv70台後半の美味しいミノタウロスがウジャウジャ居る所。勿体ないから声掛けてみたんだけど?』


『『『『『『『やりたいです!!!!』』』』』』』


『じゃあ、第5階層の階段前に集合な!』

と伝心を終え、迎えに行った。


第5階層の階段前から第6階層に降りる、階段のある洞窟前に出て、階段の場所を弟子達に教え、階段を降りて、第6階層に入り、一望させて、状況を把握させた後、


「あの山の中腹にあるから!」

とゲートで2人の待つさっきの場所へとやってきた。


人差し指で『しー』と静かにする様に促し、指を指す。

全員が、頷き、弟子達は暫し相談していたが、ウンウンと頷き、スキルを全開で、武器に付与を掛けて、一斉に動き出した。

身長差のあるミノタウロスの足を横薙ぎに切断して、落ちて来た体から首を返す刀で切り離す。

まるで流れ作業の様に殲滅していく。


「ブモー!ギューァー!!」

とミノタウロスの怒号とも悲鳴とも思える鳴き声の中、圧倒的なスピード差で、一度の反撃も許さない戦いっぷり。

身長4m後半のギガ・ミノタウロスが2mを超える大剣を横薙ぎに振り抜こうとしたその大剣を足場にし、顔の前まで飛び上がって、逆に横薙ぎに一閃首、首を切り離した。


「頼もしくなったなw」

と弟子達の危な気のない殲滅っぷりを見て、ニコニコとする海渡。




約7分間で亜種を含めた82体のミノタウロスの手足や首チョンパ胴体が散乱していた。

「いや、本当にお前ら強くなったな。」

と絶賛する海渡。


「「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」」

と嬉しそうに言う弟子ズ。



すると、上空が騒がしくなってくるマップで気付いては居たが、山頂方面からブラック・バードの群れが急降下で迫って来る。

「ほう、あれがブラック・バードか」

海渡が急降下してくるブラックバードを暢気に眺めながら呟く。


ブラック・バード・・・ 見た目はカラスの超巨大バージョン。

黒い体に、黄色の鋭い嘴、鋭いかぎ爪を持ち、羽は鋭いカミソリの様な切れ味を持つ。

見かけはカラスって事で、若干食欲が落ちるのだが、これも美味いらしいwww


「やっぱ、これも焼き鳥要員かなぁ?」

と海渡が言うと、ジュルリ と海渡の両隣から涎を啜る音が聞こえるww


「塩か、タレか、悩むところですね・・・」

とフェリンシア。


「ネギ挟むんやったら、塩やな。 皮はカリカリに焼いてタレが一押しやでw」

とタンクガンを構えるステファニーさん。


バシュッと言う音と共に1匹の頭が吹っ飛んで落ちてくる。

そして、飛ぶ力を無くした胴体が、放物線状に地面に凄い勢いで衝突し、バシャーと嫌な音を響かせた。


「あ!・・・」

と涙目になるステファニーさん。

落ちた胴体は、飛散で悲惨な状態。


「これ、空中キャッチせなあかんなぁ・・・」

とステファニーさん。


仲間が1匹攻撃を受けてビビったのか、一時的に急降下を中止して、再度高度を取るブラック・バード。


そこで、海渡が提案する。

「電撃食らわせて、一度麻痺して落ちて来たのを触手でキャッチして、首を刎ねるとか?

まあ、楽しむのなら、空中戦だけど、あいつら結構早いよね。逆に集中砲火を受けたりしてwww」


「なるほど、空中戦かぁ・・・」

と弟子ズが、ニヤニヤしているwwww


「ラルク、いきまーーーす!」

と叫び飛んでいったw

続けて、残り6名も

「あ!ズルい!!」

と次々に。


頭上では、派手な空中戦が繰り広げられていて、中々観戦するのは疲れるw(主に首が)


ちゃんと、首を刎ねた後は、すかさずキャッチして収納している様で、希に頭だけで落下して来るww

当たると痛い所のサイズではないので、チョイチョイ避けている。



「何か、この位置だと、見るの疲れますね。」

「そやな、ちょっと移動しようか?」

と3人は300m程、待避したのだった。


しかし、残り1/4ぐらいになると、ブラック・バードが逃げ始めたのだが、容赦無い7人が追撃し、ドッグファイトを仕掛け、更に3分程で、殲滅を完了した。


遣りきったぜ! と言うスッキリ顔の弟子ズに1匹出して貰い、その場で血抜きをして、羽を毟りって、解体を始める。

解体した肉に、竹串を刺し、色々な部位の焼き鳥準備に入る海渡。

それをみた残り9名も、率先してお手伝いし、1匹で大量の串が出来上がった。


「いやぁ~、1匹でここまで作れると、お得感あるよねw」


と炭に火を起こしながらタレと塩とで、各部位10本ずつ焼いて行く。

周囲には、焼き鳥の堪らない匂いが漂っている。


「うーー、この匂い、やっぱり堪らないねぇww あ!そうだ!!」

と海渡は、更にオークのバラ肉を出して、厚み4mmぐらいにスライスして串に肉玉葱肉玉葱と刺して行く。

そう、古墳の発掘で、九州の福岡に行った際、焼き鳥屋に行って食べて以来、ハマった通称『バラ』と呼ばれる串である。


「これは、塩だけなんだよなw」

とそれらも網に乗せて岩塩を振りかけ、焼いて行く。


最初の方に乗せたタレが焼き上がり、全員が串を持って、いただきまーーす!


「「「「うっまーー!」」」」

「「「「「「おいしーーー!」」」」」」

と10人の叫びが木霊する。


それからは、バクバク食って、焼いて食っての繰り返し。


更に『バラ』も焼き上がって、パクリ。


「「「「これも、うっまーー!」」」」

「「「「「「これも、おいしーーー!」」」」」」




「いやぁ、ちょっとしたおやつのつもりが、止まらなかったねwww」

と苦笑いしながら、少し反省する海渡。

他の面々は、思い残す事無いです~♪ と言う顔で地面に腹を出して座っている。


食後のお茶を飲んで、ノンビリしながら、弟子達から10匹のブラック・バードを譲り受け、変わりに10匹のランナー・バードを渡しておいた。

「あ、そうだった、本当はランナー・バードも試食しようと思ってたんだったな・・・ まあ次回にするか。」

とお腹をさすりながら、諦めるのであった。



久々のダンジョンを満喫した海渡らは、探査用ドローンの回収プレートを収納して、スッキリした顔で宮殿へとゲートで戻った。


ちなみに、この第6階層だが、半径約700km・・・直径1400kmである事が判明した。

今日、海渡らの舞台となった山だが、階段から55~70kmぐらいの場所である。


「ふっふっふ。思った以上に楽しめそうじゃないかww」

と海渡がほくそ笑む。


海渡が宮殿に戻ると、頬を膨らませたフェスちゃんが、待ち受けて居た。


「カイ兄たま、ズルイです! プリシラちゃんもズルイです! フェスだけ置いてきぼりなんてー!」

とプンプンしてらっしゃるw


「だって、フェス、弱いだろ? 連れて行けるぐらいに強くならないと、一緒には行動出来ないぞ?

プリシラだって、一緒に行動出来る様にと、凄い訓練を毎日やってるんだぞ?

それだけ頑張ってる人に対して、ズルイはないと思うなぁ?」

と海渡が窘めると、シュンとウサ耳が半分垂れ下がり、して謝っていた。

思わず、垂れ下がる耳を支えそうになって、慌てて手を後ろに組む海渡www あぶねーww


「フェスも明日から訓練します!」と。


「まあ、半年もすれば、多少は付いて来れる様になるんじゃないか?」

と楽観的な感想を述べる海渡に、フェスのウサ耳は立った!


「頑張りましゅ!!」

と握り拳を顔の前に作っていた。 可愛いなww

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