第370話
ミケらに頼んで、女性陣の服を揃えて貰い、海渡は食事を用意して、希望の岬の集落の方へと向かった。
希望の岬の集落側では、エルフドやワーフが大半である事から、連れてきたステファニーさんをメインにして説明をして貰い、体調を整える事をメインにして、何日か休養して貰う事にした。
人族の少年少女らは、アルバイン君に一任して置いた。
そしてステファニーさんが、聞いて来た情報を総合すると、攫われた人(エルフやドワーフ)は殆どが軍に所属する兵士か、冒険者らしい。
軍籍のある人のリストを作って貰い、冒険者はパーティー名と所属ギルド名を書いて貰った。
これは娼館から救出した女性達も同じね。
結果、照合すると、同じパーティの冒険者の女性が娼館に連れて行かれてた事が数組判明し、微妙な気持ちになりつつも、集落側に行くかは、後日確認する事にした。
獣人の女性達は、ミケと同じ様にこちらにコーデリアにやって来た冒険者だった。
「あーー、何だろう。全然ムカつきが収まらん!!! 何考えてるだよ? 一番小さい子は、7歳だよ? 本当に鬼畜だな。」
とイライラが止まらない海渡だった。
海渡は、ヨーコさんに連絡して、事情を説明し、ヨーコさんの部下を2名こちらに数日出張して貰う事にした。
「と言う事で、この国全土から隷属の首輪で縛られている娼館の女性を救出したいと思います。そしてマフィアや地下組織の一掃な!」
と海渡が宣言すると、フェリンシアとステファニーさんが、拍手する。
「でもなぁ、カイト君、何処に保護するん?」
とステファニーさん。
うん、それが大問題なんだよね。
智恵子さん情報だと、軽く900名を超えそうなんだよな・・・。
実質問題として、匿うったってなぁ・・・まあ集合型施設2つあれば行けるんだが、食料がな。
材料は提供出来ても厳しいよね。
と葛藤中の海渡。
「すまん、明日の王様との打ち合わせ後に考えるって事で良いかな?」
と海渡がシュンとして言うと、2人から慰められた。
「まあ、取りあえず今日だけで、368名は救い出せた事ですし。」
とフェリンシアが言いつつ、肩をトントンと優しく叩き、ステファニーさんも頭をなでなでしてくれた。
治安維持モードで警戒監視中のヒラメ君の処置状況であるが、帝都が一番多く、2532回処置(処刑)を行っていた。
それも時間を追うごとに回数が減り、小康状態に入っている。
各都市も同様で、現在は小康状態。
意図した通り、見せしめで恐怖による統制は、取れていると考えて良いだろう。
夕方の5時半になったので、別荘横の娼館救出組の為に、ハンバーグ定食を作り、あとはヨーコさんの部下に任せて集落の方でも、同じハンバーグ定食を作って提供した。
救出されたエルフやドワーフや獣人や人族の少年少女らが涙を流して食べていた。
が・・・、お前ら、食い過ぎだろ!!!!!!
「おいおい、涙流しなら、お替わり要求するのかよwww」
と海渡はせっせと人数の4倍の量を作るのだった。
そして、成り行きのついでで、明日の分の食事も用意する事にして、更についでに調理スキル講習会を行う事にした。
ある程度は自分らで出来る様にして貰わないと、アニータさんや調理スタッフが、過労死しちゃうからね。
面倒なので骨粉入りハチミツ水でドーピングして教えた所、30分ぐらいで全員に生えた。
そして、明日の朝の超食分を教えながらやらせている内にLv3まで爆上げし、昼ご飯分のレシピを教えて、自分らで作らせてみた。
40名の新しい料理人に、ここでの調理を任せ、ここに居る間の仕事とした。
他の者達も、
「何か俺らに出来る仕事ないですかね・・・」
と言って来たので、身体強化、身体加速までのスキル講習会を開き、農業の手伝いをするように言っておいた。
そうそう、ゲルハルト帝国出身の人族の少年少女だが、エルフ衆とは特に差別意識も無く、上手くやっているらしい。
下手に差別意識剥き出しで、マウンティングとかしてたら、叩き出すだけだがなw
面倒だったのが、ドワーフ・・・。
「なあ、カイト様よぉ~、俺らにも何か打たせてくれよぉーー」
と半ば禁断症状のジャンキー様に言い寄られ、押し切られる様に、集落の外れに鍛冶場を作らされてしまった。
目の前で、早送りの様にニョキニョキと生えて行く鍛冶工場?に、ドワーフも興味本位で見に来たエルフや人族の少年少女も、唖然としていた。
そして完成した鍛冶工場に遮音のシールドを施し、音が外に響かない様にしておいたw
鍛冶場が出来ても、素材となる鉱石やインゴットが無いと何も出来ないだろうと、大量の鉄、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト、その他のインゴットや鉱石を倉庫に出してやると、目の色を変えてドワーフが食いついて来た。
「何だこの超上質なインゴット・・・それも稀少な物ばかりwwww」
「カイト様よぉ! 最高だぜ!!! あんたは神かww」
「よーし、作って作って作りまくるぞーー!!!」
と狂喜乱舞。
その狂喜乱舞の中、1人のドワーフが、
「なあ、カイト様よぉ! あんたの腰に刺してるその刀・・・凄く気になるだが、一度見せてくれねぇかなぁ? 珍しいよな、刀を使う人族とは。」
と言って来た。
あー、やっぱり気になっちゃう感じっすか・・・。
いやね、チョイチョイ、ドワーフの視線が俺やフェリンシアの腰に集中してる気はしてたんだがな。
「あー、ちょっと恥ずかしいんですが、やっぱり見たいですか・・・。」
と刀を渡すと、奪い取る様に、受け取り、鞘から抜いた。
すると、一気に狂喜乱舞で踊ってたドワーフが、刀に群がり、「うぉーー!」とか「うーーむ。」とかブツブツ全員で廻して見て居る。
「まあ、出来が悪いのは、自覚してるんで。」
と海渡が言うと、
「え? もしかして、自分で打ったのか?」
とドワーフが食いつく。
「ええ、まあお恥ずかしい出来ですが、カネミツさんにお願いしに行くまでの、武器が欲しかったのでね。」
と言うと、
「ほう!その若さで、ここまで出来るのはスゲーじゃないか。まだまだ作りが甘いが、素材は凄いな!」
と褒めてくれた。
そして、そのドワーフは、
「なあ、カネミツなんかに打たせず、俺に打たせてくんねぇかな?」
と言い出した。
「え?刀打てるんすか!?」
と聞くと、
「あったぼうよ! 誰がカネミツに教えたと思ってるんだwwww」
とドワーフが胸を張る。
どうやら、このドワーフ、カネミツさんの師匠でマサムネさんと言うらしい。
今度は海渡が狂喜乱舞wwww
「マジかーーwww これは嬉しい誤算だw 是非お願いします!!!」
と喜び勇んで、刀の製法(骨粉)の事等を一気に話す海渡。
聞いているマサムネさんと他のドワーフは、「「うぉーー」」とか「「マジかぁーー」」とか「「ウヒャヒャ」」とか・・・
端から見ると、気味悪い集団と化していた。
「いやぁ、面白い! 面白いぞ!!! 坊主!!」
と説明を聞き終わったマサムネさんが、大声で笑いながらバシバシと海渡の背中を叩く。
いや、普通に痛いからね?
そして、タンカー・ホエールの骨(骨粉も)、タンカー・ホエールの肝油やワイバーンの骨、牙、爪、鱗、その他使えそうな素材、更にトレント、エルダートレント、ユグドラシルの枝を別の倉庫に出して、使って貰う事とした。
「坊主! 俺、ここに住んで良いか!?」
とマサムネさんと他のドワーフ達が聞いて来た。
「ええ、それは構わないっすけど、国に帰らなくて良いんですか? 別にここでなくても、作って頂ければ、取りに行きますし。
それに、長らく合って無い家族とか居るんじゃ無いですか?」
と言うと、
「いや、最高の仕事が出来そうな場所を離れる馬鹿なドワーフは居ねえよww まあそうだな、じゃあ出来れば女房だけは呼びてぇーかなな・・・ま、どうでも良いけどw 一応手紙書くからよ、届けてくれや!」
とバカ笑いしていた。
結局、ドワーフ全員はここに定住する事になった。
全員分の手紙を預かり、サチーさんに頼んで配達して貰う事としたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます