第365話
昼食が終わり、海渡は救出組に、話掛ける。
「まあ、今日は気持ちの整理やなんかで大変だと思いますから、ノンビリしていて下さい。
聞きたい事とかあるでしょうし、数時間弟子達を残して行くので、うちの商会の事とか聞いてみて下さい。
じゃあ、ミケ、何かあったら応えてあげて。 あとトリスターに戻る前に、一度連絡頂戴ね。
あ、エルフのみなさん、申し訳無いですが、引き続き、数日宜しくお願い致します。
良かったら、明日とかにでもここを案内して上げて下さい。」
と頭を下げてお願いし、ゲートで0号機へと戻った。
国境の帝国軍の動きを見ると、ワンスロット側は、最後尾の兵が合流した。
コーデリア側は、あと5kmで合流と言う所。
ちなみに、もし皇帝が今攻撃中止命令を出したとしても、最前線に伝わるのは、数日後。
つまり、確実に明日開戦となる。
海渡らは、ソファーとローテーブルを出して、食後のカフェオレを飲みながら寛いでいる。
「なあ、大都市が86箇所だっけ? 領主館の食料庫押さえて置いた方が良くないかな?」
と気になっている事を話すと、
「あーー、それはあるかもしれんなぁ。中規模31箇所と小規模47箇所はまあしょうが無いとしてもなぁ・・・」
とステファニーさんも同意。
「そうすると、1人約29箇所か。食料庫、武器庫、まあ出来れば金庫もかな。ヤル?」
と聞くと、2人も同意し、各地点で待機中のヒラメ君の魔動波ビーコンに合わせゲートを開いて散開した。
2時間程が経過し、大都市の食料庫、武器庫、金庫を空にして帰って来た。
「大都市の領主館って、城になってましたよ!」
とフェリンシアが言うと、海渡とステファニーさんも頷く。
「そう言えば、小さい国を侵略して現在に至るから、大都市って元々は小さい国だったのかも知れないね。」
と海渡が説明すると、「なるほどね。」と納得していた。
現在午後3時。
「あと1時間頑張れば、中規模31箇所もイケそうだよな?」
と言うとフェリンシアもステファニーさんも頷く。
「じゃあ、やっちゃうかw」
とまた散開した。
「中規模都市完了ーー!」
と海渡が戻って来たが、誰も居なくて、どうやら1番乗りの様子。
そこに
「あーー、疲れたでぇ~」とステファニーさんが2番手。
最後はフェリンシアが戻って来た。
「お疲れ様♪ どうだった?」
と聞くとみんなニヤリと笑い、親指を立てていた。
ソファーに座り、ハチミツ水を飲んで一服する3人は帝都の様子を見て居た。
食料庫が空になった事で、怒った皇帝の命かは不明だが、近衛騎士団?の護衛の下、食料が続々と運び込まれている。
「わぁ~補給しちゃうんだ。なるほどね。 何か長い夜になりそうだな・・・」
と海渡が言うと、
「勿論、あれもやるんやろ?www」
とステファニーさん。
「勿論ww」
と海渡が笑う。
海渡は運び込まれる先を確認する為、ドローン数機に追跡させる。
「ほう、一応、3箇所で良いのかな?振り分けするみたいだな。」
と海渡が呟く。
「近衛騎士団?が凄く警戒してますねw」
とフェリンシア。
「まあ、でもまさか連続で全部やられるとは思わないよねwww」
と悪い顔で笑う海渡だった。
物資の搬入はそれから2時間程続き、午後7時ぐらいにやっと終わったのだった。
「さてと、何時頃にやろうか? 余り早い時間だと、また騒ぎ出すよねぇ。」
「うーん、確かに。じゃあ、いっその事、宮殿全体に昏睡魔法を掛けちゃうとか?」
とフェリンシア。
「ふむ・・・それはそれで、面白いかもな。 どっちみち、やるなら夜中の12時までにやってしまおう。
国境の兵が12時過ぎに夜襲をかけないとも限らないし。」
と海渡が言うと2人が頷いていた。
夜の10時過ぎ、宮殿内の警備は厳重で、新しい倉庫3箇所の入り口には近衛騎士団が5名が張り付いている。
しかし、扉を開けるのが警備上嫌なのか、中身までは確認していない。
幸い3箇所の倉庫の中には、ドローンが1機ずつ入り込んで居るので、その魔動波ビーコンを辿れば、中にゲートで繋ぐ事が可能である。
「よし、一気に行くか。」
と海渡が号令を掛け、3人で手分けしてそれぞれの倉庫にゲートを繋ぐ。
倉庫に入り、闇魔法のネットを使って一気に在庫品を頂いた。
0号機に戻った海渡ら3名は、その後の様子を確認すると、全く異変を感知してない様子。
「ふっふっふ」「うふふ」「へへへ」
と三者三様に笑い合う。
女性陣から順番に風呂に入る事にして、海渡はコーヒーを飲みつつ、宮殿や帝都、国境の軍の様子を監視している。
国境の軍にも動きが無く、今夜は見張りを残して大人しく寝るらしい。
海渡が風呂から上がる頃には午後11時になっていた。
「どう? 何か動きあった?」
と聞いたが、どちらも動きは無いとの事。
「じゃあ、明日に備えて、そろそろ寝ようよ! どうせ、国境を越えたら、警報鳴るから。」
「色々おもろい一日やったわw」
とステファニーさんが楽し気な笑顔を見せていた。(しかし眠そう)
ベッドを倒して展開し、3人は眠りに着くのだった。
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