第366話


異世界3ヵ月と23日目・・・1月15日。


結局夜中に警報は鳴らなかった。


いつもの様に目覚めて時刻を見ると、午前5時過ぎで、若干遅めに目が覚めたようだった。


ベッドをソッと片付け、コーヒーを取り出して飲みながらキャンピングカーから降りて、ソファーへと移動して、各モニターを確認する。


帝都内にはまだ動きが無く、通りには人っ子一人居ない。

宮殿内は・・・近衛騎士団が5名がそれぞれ空の倉庫を警備している。


ふふふ、乙!! と言って肩を叩きたくなるなw


おっと、国境の軍の方は・・・、お!起床したらしいな。

と言うか、一般の歩兵は可哀想だな。 テント無しかよ。 青い顔してるじゃないか。

早速火を点けようと、枯れ木を集めてるね。


本陣らしい立派なテント群にも動きが出てて、朝ご飯の準備を始めているらしい。


「おはよう、海渡。よく眠れましたか?」

とフェリンシアが起きて来た。

ステファニーさんはまだ寝てるらしい。


「うん、お陰様でグッスリねw 普段より遅く起きちゃったよww」


「どうやら、夜中には動き無かったようですね。」


「うん、近衛騎士団はまだ空の倉庫を見張ってるよwww 国境の軍はみんな目覚めて、朝食の準備らしいね。この分だと明るくなってからの攻撃っぽいな。」

と報告し、海渡も朝食の準備に入る。


と言っても、アニータさんから貰っているお弁当シリーズの朝食用を食べるだけなんだがなw


「じゃあ、ステファニーさん起こして来ますね。」

とフェリンシアがキャンピングカーに消えて行く。


それから1分ぐらいすると、ステファニーさんの「ウヒャヒャヒャ 降参やぁ~」と言う悲鳴に近い声が漏れて来た。

そして、2分ぐらいすると、ボケボケのステファニーさんが、フェリンシアと共に登場したw


なるほど、フェリンシアが起こしに行くと、毎回ああ言う愉しげな事があるんだなw

美女を擽るのは吝かではないぞwww ハードル高過ぎて、やった事は無いけどな!!


「おはようさん。動きないらしいな。」

とステファニーさんがカフェオレをフーフーしながら聞いて来る。


「ええ、まだ全然ですね。」

と答えつつ、いただきます。



美味しい朝ご飯を食べて、ダンジョンで採取して冷やした桃を剥き、食後のデザートで頂く。

これから戦地になると言うのに、実に優雅だw


「ああ、冷えてて美味しい!! それに引き換え、国境の兵士達の可哀想な食事・・・」

と海渡が言うと、

「いや、普通の兵士の遠征中の食事ってあんなんやで? カイト君の様にアイテムボックスやマジックバッグなんて普通あらへんもん。」

とステファニーさん。


「だって、スープ? お湯?? それに堅パン? 一欠片の干し肉っすよ! あれ絶対ステファニーさん暴れますってww」

と海渡が言うと、

「まあ確かに、暴れる自信はあるでw」

と胸を張っていた。


「あ、私も暴れるかもww 海渡の食事に慣れちゃったからw」

とフェリンシア。


「うちもやぁ~。カイト君に胃袋掴まれてもうたしぃ~」

とステファニーさんがしな垂れかかって来た。


「あ、司令官か? 本陣の方の食事は、朝からゴージャスだぞ!」

とスルーして指摘する海渡。

まあ、味までは分からないんだけどね。


「あ、宮殿に動きが!」

とフェリンシア。


近衛騎士団が5名の交代らしいが、後ろに白い制服のコック?がカゴを抱えて着いて来ている。

「お!面白くなりそうじゃないかwwww」

と海渡が盛り上がる。


3人の目線は倉庫のモニターに釘付けだw


「扉を開けたーー!! あ! 固まってる固まってるwww あ? あれって何? 何か部屋の真ん中においてあるね。」

と海渡が言うと、


「あ、あそこは私の担当した倉庫だw」

と爆笑するフェリンシア。


「え?何? 何置いてきたの??」

とワクワクする海渡とステファニーさん。


「ふふふ・・・」

と笑ってるフェリンシア。


「あ、騎士が拾い上げたな。 何だろう? アップにしよう。」

と操作して摘まみ上げた手元をアップにすると、


「リンゴの芯かーーーwwwww」

と大爆笑する3名。


また芯の向こうに写ってる騎士の顔が良いwww


「あ!怒って唯一の食料投げたーーー!!」

と叫ぶと、また3人が腹を抱えて笑い転げる。


「フェリンシア君、君・・・GJだ!!」

と親指を立てる海渡とステファニーさん。


「光栄であります!」

と敬礼するフェリンシア。


朝まで見張ってた騎士が殴られてる・・・。

「あーー痛そう!」


「あ、1名は泣いてるで!」


そして、騎士の1名は走って伝令に出たっぽい。


「あーー、騎士もコックも放心状態だ。 カオスだなww」


「おっと、他の倉庫にも騎士が駆けつけて、鍵を開けたぞ!」


「あ、何か拾ってるぞ! 何だ何だ?」


「あ、それうちの行った倉庫やw」


「あーー!! バナナの皮だーーーwwww もう、朝からドッと疲れるからww」

と笑い転げる3名。


涙を拭きながらハーハーと肩で息をして、息も絶え絶え。


すると海渡の倉庫の扉が開かれた。


「ん?何か落ちてる?」

とフェリンシアが言うので、


「ああ、俺は全然気が回ってなかったから、大した物は置いて来なかったよ?」

と海渡が言うと、


「でも何か拾い上げてますよね?」

とフェリンシア。


「あ!!! 鼠の死体!?」


「そうそう、居たなぁ、鼠w 一応昏睡魔法掛けておいたんだよね。」

と言うと、


「あ、鼠起きて、思いっきり噛んどるで!! あ!逃げた!!!」

とまた3人でバカ笑い。


伝令からの報告を受けた、執事が慌てて皇帝を起こしに行ったぞ!!!



「あ!国境の軍に動きです! 集合掛けてますね。」


「お!本当だ。 演説始めるっぽいね。」


「この司令官?将軍? 何だかな・・・5分も演説してるぜ! 士気が駄々下がりじゃん!!!」


「を! 進軍開始するっぽいな。 あ、コーデリア側が先に進軍開始したな。」


「あ、皇帝が起きて早々に激怒してるぜ! 怒鳴り散らしてるぞwww」


「ウーー♪ ウーー♪ ウーー♪ ウーー♪・・・」


「あ!警報鳴った!!! コーデリア側が国境を越えたな!!」


「あ、ワンスロット側も国境越えましたね。」


「どうするん? 何時開始するん?」


「今は・・・っと、朝の7時か・・・。日の出は過ぎたなぁ。」


「あ、各国の飛行機出発したで!!!」


「じゃあ、飛行機が到着して、からにするか。」


「あ、コーデリアの砦に帝国軍が接近! 距離500mぐらいです。」


「あ、ワンスロット側の砦にも帝国軍来たーー!」


「おお!気が早いなぁ、もう仕掛けるのか!! 初っ端は魔法部隊か?」


「よし、良いだろう。パティーを始めようぜ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る