第364話
海渡らはノリノリで、上位と思われる貴族の屋敷・・・3人で約100軒の貴族を総ざらいして、約2時間後に0号機へと帰還したのだった。
で、問題の帝都だが、現在蜂の巣を突いた様に、大騒ぎになっていた。
上空から望遠で、モニターに映し出された映像は、面白過ぎた。
宮殿の内部に放ったドローンが面白い映像を次々に、送信して来る。
流石に面白過ぎるので、全て録画してある。
「お、こいつが馬鹿皇帝?」
と玉座に座っている太っちょの糞ガキ? 20歳ぐらいか? を指さす海渡。
「わぁ・・・頭悪そうです。」
「わぁ~、何かキッツイなぁw 滅茶性格も悪そうやん。」
と毒舌をかます3名。
ドン引きの弟子居残り組。
「希望の岬にも行って、一声掛けてやりたいんだけど、これは見逃せないよね。」
と海渡も珍しく腹を抱えて笑っている。
「いやぁ、何かこっちに来て、初めてバカ笑いしちゃったよww」
と海渡が転げ回りながら笑っている。
「敵にまわすと、本当に恐ろしいお方・・・」
とアンが呟く。
「その分、味方だと飛んでもなく安心ですww」
とサニーが呟く。
横でラルク少年がウンウンと頷いている。
「いつまでも見ていたいけど、ちょっと岬に行って来るわ。 お前らも来るか!」
と居残り組に言って、全員で希望の岬へとやって来た。
「あ、お任せしちゃって、申し訳無いです。 ちょっと色々事情があって、救出したので・・・」
とエルフ衆に頭を下げる海渡。
「いんえ、いんえ、お世話になっとるカイト様の頼みでさぁ、こんなことぐれぇ、朝飯前だべ。」
と笑顔で応えるエルフ衆。
宿舎に全員居て、風呂上がりでサッパリしてるとの事。
「あ、お待たせして申し訳ない。 ちょっと悪戯してたんで、遅くなりました。」
と頭を下げる海渡。
「改めて自己紹介しますね。俺は、海渡、こちらはフェリンシア、こっちはステファニーさん。
冒険者ですが、さえじま商会と言う商会をやってます。
後ろの7名はうちの商会で預かっている子供達で、俺の弟子でもあります。
全員、服や靴は足りたかな?
まあ、後でちゃんとしたのを用意するので、今日はそれで、我慢して下さい。
ザッと見た所、全員顔色は良くなってますが、まだ体調の悪い方は居ますか?
これから、昼食にしたいと思うので、その前に調子悪い方が居れば、治しますよ?」
と海渡が言うと、全員大丈夫らしい。
そこで、1人が手を上げる。
「はい、そこの君、ってアルバイン君か、見違えたね!」
「あ、ありがとうございます。お陰様で、一息つかせて貰いました。
で、質問なんですが、おそらく全員同じ事を思っていると思うのですが、私達はこれからどうなるんでしょうか?
今何処に居て、どう言う状況なのでしょう?」
と聞いて来た。
うん、ご尤もだね。
「ああ、そうだよね。いきなりここに連れて来られて、放置されて不安だったよね。ごめんなさい。なんせ、この人数で全てやってたので・・・。
まず、今君らが居る場所、ここはワンスロット王国の最南端にある、『希望の岬』と名付けられた『さえじま商会』の農業開発研究所? です。
ここに連れて来た理由は、単純で、即座に受け入れ可能な所がここしか無かったから。
他は領主様とかがいる領都とかなので、正規に門から入場して貰う必要があるし、その時間が無かったから・・・ と言う理由です。
現状はどう言う状況か?と言う質問ですが、えっと単純にここで暖かく美味しい食事をして、骨休めして貰って、少し体力を戻して貰おう て状況かな。
特に君らを「どうしたい」とか「こうしたい」って事は無いです。単純に攫われて無理矢理隷属の首輪を付けられ、酷い扱いをされていたのが、許せなかっただけです。
ご迷惑だったら、今なら元に戻せますが?」
と言うと、全員が激しく首を横に振っていた。 だよねぇw
「で、これからの事ですが、好きな様にして構わないです。選ぶのは皆さんです。
と言っても漠然としていると思うので、選択肢を上げると、
1)帝国に戻り・・・まあ、これは帝都でなくても良いです。何処かの都市でも
何処でも・・・。
で、ご自分で道を見つけて進む。
この場合、俺達が出来るのは、帝国に送り届ける事と、幾ばくかのお金や食料と
水をお渡しする事ですね。
2)当方の商会で、普通にお給料を貰って、働いて貰う。
この場合、風呂付きの宿舎はありますし、3食の食事も付きます。
週に1度、火曜日はお休みです。
3)ワンスロット王国に亡命し、冒険者や何処か別の所で働いて暮らす。
これも、ワンスロット王国や周囲の領主様にお願いし、正規のルートを
通します。
当方に出来るのは、最初の入国時の口利きと、幾ばくかのお金や食料と水を
お渡しする事ですね。
4)ここの農園を手伝って、農業等をやって暮らす。
この場合、当方で出来るのは、エルフの皆さんへの口利きと、住居や収穫までの
食料等の支援ですね。
まあ、住居はおそらく、この宿舎を使って頂く事になります。
尚、ここで出来た農作物等は、当方の商会で、全て正規の値段で買い取らせて
頂くので、低賃金でこき使われる事もありません。
ここのエルフの皆さんと待遇は同じです。
と以上になりますが・・・1つだけ・・・(1)を選択される場合ですが、その場合、1週間程こちらで待って頂く事となります。
申し訳ありません。
明日になれば判る事なので、先に結果から言うと、ゲルハルト帝国は今夜が最後で、明日には地図からその国が消えます。
勿論住民の方は残りますが、どの様な形になるかは、現在判りません。
皆様方を今回救出したのは、違法に連れ去られ、悪人でないのに隷属されてる方のみを、帝都から救出しました。
流石に明日からの地獄絵図を見せるのは忍びないので。」
と一気にせつめいすると、ザワザワとし始めた。
周囲の人と話し合っている。
「まあ、今すぐ決める必要はないですし、大した物は無いですが、昼食をみんなで食べましょう!」
と言って、弟子ズに昼食を用意させ始めた。
エルフ衆も食堂に集まり、全員で同じ物を食べ始める。
「カイト様ー、さっき聞いたんだけんど、ゲルハルト帝国無くなるってだなw 悪さする相手間違っただなやwww」
と1人のエルフが言うと、ウンダ、ウンダと他のエルフが頷いていた。
「まあ、今回は直接、うちにちょっかい出して来た訳じゃないんですが、うちも間接的に迷惑したんでね。その現況を排除して、スッキリしようと言う事にしました。
大人しく国内から出て来なければ、潰す事は無かったんですけどねぇ。」
と海渡が苦笑い。
「まあ、でも明日と言わず、既に帝国潰れたも同然なんですけどね・・・」
とさっきやってきた事を説明すると、全員ポカンと口を開けて固まった後、救出組を含めた全員が大爆笑。
「わぁ~、それ完全に詰みじゃないですかwww まあでもあの商会のデブっちょが青くなっている様は見たかったなw」
とアルバイン君が言って笑ってた。
「ところで、明日帝国が消えるって、具体的にどう言う事なんですか?」
とアルバイン君が質問してきた。
「えっと、知ってるかと思いますが、今帝国は、ワンスロットとコーデリアに戦争を仕掛けてます。
そして、当初は20日に攻撃開始の予定だったらしいのですが、バカな皇帝が我が儘で5日早め、明日の15日に両方の国境を超えて砦に攻撃を仕掛けて来ます。」
とタブレットの映像を、壁に掛けた大画面のガラスディスプレイに映して表示した。
その詳細な図と情報に全員が驚愕。
「あ、これが現在の帝国軍のリアルタイムな映像ですね。」
と画面を切り替えて、リアルタイムにダレてる最前線の帝国兵を映し出した。
「そして、これが現在の帝都の様子です。」
と宮殿内部や、皇帝が激怒してる様、右往左往する貴族や、青くなってるデブ等を切り替えて映し出す。
「明日、何も知らない帝国軍が国境を越えた瞬間に、こちらの戦力が、主要都市だけでなく全都市の領主館、そして帝都の宮殿を更地にします。」
と地図に切り替え、都市を表す赤い点と海渡のヒラメ君を表す青い▲マークが表示された画面を見せる。
「この赤い●は各都市や宮殿を表し、▲が上空に居る さえじま商会の戦力の一部です。国境を帝国軍が越えた後は、1~2分ぐらいで戦闘は終わる予定です。」
とこの世界に無い(正確には今まで無かった正確な地図や機器による説明に、全員が驚く。
「先ほど(1)を選択した場合、数日待て と言ったのは、この後は自動的に当方の戦力が、治安維持モードに移り、自動的に略奪行為やその他の犯罪を見つけると、自動的に排除します。
それに巻き込まれない様に、治安が落ち着くまで、待機して欲しいと言う意味ですね。」
と説明した。
その淡々とした説明と、戦術、そして緻密な情報量・・・救出組の面々は口をパクパクとして言葉を失うのであった。
「先ほど、宮殿や貴族の屋敷から奪った話をしたと思いますが、それは意趣返しもありますが、明日以降の救援物資の一部になるからです。
瓦礫・・・と言うか更地にしちゃうと、食料とか勿体ないですからね。どうせ国民から搾り取った物でしょうし。国民に分配しないとね。」
とウインクをしたのだった。
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