第359話


ゲートで第4階層の階段の前に出て、残る3つの目標を決めるのだが、次は南にあるマヤ文明型のピラミッドを目指す事にした。

海渡の予感では、外れなのだがww


前回同様、2台に分乗して出発するが、今回は弟子達に順番で運転させる事にした。

海渡はノンビリと最後尾座席に座り、何も考えずに砂漠を眺めている。


そして幾度かのサンド・ワームの襲撃の後、1つ目のオアシスに到着した。

うん・・・何も当たりが無かった。


そのまま、直ぐに出発し、2つ目のオアシスへと向かう。

幾度も襲撃を流れ作業の様に熟す、頼もしい弟子達。


どうやら、最終アタックは順番に行う感じにしているらしい。

つまり、サンド・ワームやデス・スコーピオン程度は1人で十分と言う事だろう。

「成長したなw」と弟子達の躍進を喜ぶ海渡だった。


2つ目のオアシスは当たりで、ダンジョン椰子ガニ1匹をゲットし、ヘブン・ココナッツも採取した。

3つ目のオアシスは外れ・・・4つ目も外れ。

昼食を挟み、マヤ文明型ピラミッドに到着。

何故か、ピラミッドの周辺は草原になっていて、砂に埋もれては居なかった。

入り口はどうやら一番上の最上階にあるようなので、最上階まで駆け上がる。


最上階の祭壇の奥に、らせん状の階段の入り口を発見し、喜びながら降りると、またしても迷路型の通路。

但し、ここは罠よりも、魔物による襲撃頻度が高く、出て来る魔物もゴーレムとかではなく、生身の・・・と言っても昆虫系がメインだった。


「うへぇーー、昆虫系かよ。」

と顔を顰めつつ、後ろを付いて行く海渡、フェリンシア、ステファニーの3名。


完全に口を出さない付き添い状態。

そして、4階階段を降りた所で、霊安室みたいな場所になり、終了。


多くの魔物の素材をゲットしたが、前回の様なお宝は無かった。


「ハッハッハ、外れも外れたりだなwww」

と爆笑する海渡一行だった。



振り出しの階段地点にゲートで戻り、東の前方後円墳へと向かう。

海渡の予感では、ここが当たりなのではないかと思っている。


順調にオアシスを目指し、1つ目のオアシスに到着した。


「さて、ここでタイムアップなんだが、どうする? こっちで泊まる覚悟で行くなら、あと2つぐらい行けるけど、オークション結果もあるから、素直に帰るか?」

と言うと、


どうやら、全員オークションの事を忘れていたらしく、素直にゲートで戻る事になった。


宿舎に帰り付いた海渡一行は、ワクワクの表情でオスカーさんを探し、結果を尋ねる。


ニヤニヤするオスカーさんを前に、海渡が、

「では発表をお願いします!」

と言うと、


「ジャカジャカジャカジャカ♪」

とドラムの音を口で言うノリノリのオスカーさん。


「余計なの要らないから!!ww」と笑いながら突っ込む海渡。


ニヤリと笑い、

「では、発表します。本日王都で行われたオークションに出品した物ですが、全て無事に落札されました。

えーー・・・オホン、気になるでしょうから、総額から申します。

総額は・・・黒金貨20枚、白金貨、88枚、金貨82枚となりました。」

と発表された。


海渡は負けが決定し、orz状態。ステファニーさんが、嬉し気に変な踊りを踊っている。


「あら?カイト様、どうしました? 予想より低かったですか?」

とオスカーさん。


「いや、その逆!! なんでそんなに高いの!?」

とキレ気味に食いつくと、


「いやいや、そもそもカイト様の設定金額が安すぎるんですよ? 普通に神話級とかの付与とか出来ませんし、出回りませんからね。

だからこそ、あの金額の防具一式が飛ぶように売れるんですよ?」

と諭された。


「判ったよ・・・俺が悪かったよ・・・。明日ダンジョン行く前にステファニーさんに屋台奢るよ・・・」

と泣き真似をする海渡だった。


「まあ、しかし、オークション手数料が1割引かれますから、取り分は、黒金貨18枚、白金貨79枚、金貨93枚、銀貨80枚になりますね。」

との事だった。


「つまり、10人で割ると、一人頭、黒金貨1枚、白金貨87枚、金貨99枚、銀貨38枚か。 お前達、大事に使えよ?」

と言うと、弟子ズが卒倒していた。



10分ぐらい放置していると、弟子達が目覚めた。


「あれ、おいら何してたんだっけ?」

とラルク少年が、目をこすりながら欠伸をする。

ケモ耳ズ、少女達も目覚め、一部がガクブルし、一部はヘラヘラしている。


「おい、大金は大金だが、こんな端な金で、人生を狂わせるなよ? これで一生楽して暮らせるから、努力はもう良いやw なんて思ったら、俺は容赦無く見捨てる。

それは覚えておけよ。あと、喜びの余り、人に触れ回ったりするなよな? 余計なトラブルしか回って来ないからな。」

と海渡が言うと、


「だ、大丈夫です。大金過ぎて、全く使える気がしません。 逆に怖いです・・・。」

とアンが、か細い声で言う。


「私も、同じです。現金では持っていたくないです。」

とサニーも同意する。


全員同じ気持ちらしい。

なので、各自のギルドカードの口座へ商会から振り込む事で、決着した。


「まあ、何かどうしても必要になった際の保険と思っていれば大丈夫だよ。どうせ普通にしていても、冒険者やっていれば、それくらいの金はアッと言う間に貯まるからww」

と言うと、オスカーさんが苦笑いしていた。


海渡は、オスカーさんに耳打ちし、海渡の分は教会本部に寄付してくれるようにお願いしておいた。


「(了解しました)」

と小声で頷き解散となった。


夕食の時間となり、大食堂で食べた訳だが、ちょっと離れたテーブルに居る弟子ズの面々が妙に静かに食べていたwww


風呂に入った後は、地下工房に降りて、ホテルを3軒建設した。


取りあえず、これでトリスターの分はOKだな。

あとは、学校か・・・。


どれくらいの子供が集まるかを一度聞かないと、難しいよな・・・。

この国の出生率とか、人口って把握してるんだろうか?


と首を傾げる海渡であった。



実際の所、元の世界の様に、厳密なデータは収集しておらず、従って戸籍の様なデータベースも無い。

その大きな原因は、領主自身にそう言う知識も、必要性も感じておらず、税収が全てで、人頭税ではなく、商取引等による消費税的な物や、入場税、農民には農作物に対する税、冒険者には、ギルド経由で依頼達成税等がある程度だった。


そして、領主が集めた税金の一部が国に納められるシステムになっている。

現代の社会と対比してしまうと、ワンスロット王国は良くも悪くも緩いといえる。



まあ、そんな訳で、ある程度の就学児童の人数が予測出来ないと、始まらない訳である。


海渡の構想では、領都に学校を設置し、最低3ヶ月~半年レベルで教育を行う小学校レベルの所と、冒険者を育成する冒険者学校を作ろうかと考えていた。

また、領都から遠い集落の子供は全寮制で泊まれる施設にして、一定期間預かる感じにすれば良いかと思っている。

その際、各集落へはスクールバスを出して、送迎するなどの方法を考えていた。


その子らが育って大人になれば、更に発展し、良い国になるのではないかと考えるのであった。

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