第358話
異世界3ヵ月と18日目・・・8店舗完了。
異世界3ヵ月と19日目・・・8店舗完了。
フェリンシアとステファニーさんは7店舗ずつ完了し、全都市の宿舎の入れ替えが、やっと終了した。
全店舗の宿舎入れ替え完了と言う名目で、ダンジョン椰子ガニ料理が夕食に出て、全店舗で軽い・・・いや結構な宴会になった。
ほんのり甘く濃厚な味わい、あまりの美味さに、宴会前半は全員が無言でプルプル震えながら食べていた。
その後は、堰を切った様に馬鹿騒ぎ。
まあ、お酒の飲めない子供らは早々に退散して、風呂に入ったのだが、大人らは、夜中近くまで盛り上がったらしい。
異世界3ヵ月と20日目。この世界の暦では1月12日。
王都でのオークション開催日である。
と言っても、任せっきりなので、王都に行く予定は無い。
午前中に開催されるらしいので、午後には結果報告を受ける事となる。
まあ、海渡達には不要な物なのだが、世間一般があれにどれだけの価格を付けるのか、興味津々ではある。
ちなみに、フェリンシアとステファニーさんの3人で、価格予想をして、近かった者に一番遠かった者が屋台で奢る事にして掛けていたりする。
海渡は、全部合計で黒金貨1枚にした。(本当は白金貨50枚ぐらいだと思ったのだが、オークションだと調子に乗ってレイズする奴が居そうなのでw)
フェリンシアは、黒金貨3枚。
ステファニーさんだけは、えらく強気な黒金貨25枚。
「いやぁ~ 流石にそれは無いでしょwww」
と一笑に付す海渡だったが、実は内心冷や汗を掻いていた。
海渡<フェリンシア<ステファニー
と言う金額予想であるので、フェリンシアが勝った場合は金額が近い海渡が2位になる確率が高い様に思うが、それ以外だと、海渡が払うかステファニーさんが払うかしか無い。
まさか、ねぇ~? でも嘘でも長年生きてるステファニーさん・・・もしかしたら? と言う冷や汗であり、屋台でバカ食いされる・・・と言う冷や汗でもある。
まあ、バカ食いされたとしても、払えるのだが、気持ち的に・・・ね。
地下工房に降りた海渡は、まずタブレットでゲルハルト帝国軍の進行具合をチェックする。
驚く事に、先頭は、国境まで後ギリギリ2日程度の距離・・・120kmまで近付いていた。
ただ、まとまりが悪く普段の行軍なら、ある程度密集してそうなのだが、密度が薄かったり、間が開いていたりで最後尾は150kmぐらいの位置に居る。
「まあ、結局最後尾に関しては、休む間もなく突撃になるのだろうな。」
と海渡は呟いた。
現在地下工房では、5階建てのホテルを建設中である。
と言っても、外観は総合型宿舎に近い作りとなっている。
内部は、各部屋が大きめで、各部屋にシャワーとトイレを個別に設置している。
上階になればなるほど、部屋を大きくしており、最上階はロイヤルスイートにして、リビングを挟み、大きめのベッドルームが4つ付く。
そして同じく5階には大浴場とバーを設置している。
1階は大ホール、大食堂、そして、フロントとラウンジ。
2階は高級レストランを作り、残りのスペースは、従業員宿舎としている。
また2階の高級レストランへは外部からの直通エスカレーターを設置していて、外部客との会食にも対応する様にした。
当初は安いビジネスホテル等も考えたのだが、そうすると、既存の宿の客を食ってしまう事を恐れ、中層から上層の客を狙う事としたのだ。
1つベースとなるホテルが出来上がると、後は同じ物を作れば良いだけなので、細かく考える必要が無い。
2軒目からはサクサクと作れるだろう。
朝練の時間になったので、フェリンシアと合流し、地下訓練場で訓練を開始する。
弟子ズも合流し、型の稽古、実戦形式の1対多、多対多、先頭シミュレータでの訓練等を行った。
訓練後、弟子ズを集め、
「よし、大体の事は教え終わったな。後は各人精進して日々訓練すれば、大丈夫だろう。」
と言うと、
「「「「「「「えーーー? 見放さないで下さい!!!!」」」」」」」
と弟子ズから、声を揃えて訴えられた。
「いや、見放したりしないが、いつまでも過保護のままで居ると、お前らの為にならないだろ。
現状で、十分過ぎる実力は備えていると思うぞ? あとは持久戦になっても折れない精神力とスタミナを付けて、独自の経験を増やす事が大事だと思うぞ?」
と海渡が言うと、なるほど・・・ と納得する可愛い弟子達。
「それに、お前らの場合、いざとなったら、ゲートや空へ逃げる事が出来るだろ? ヒールも使えるし、多分そこらのSランクより強いぞ?」
と言うと、
そうか!と言う顔をして、
「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」
と頭を下げていた。
「あ、ラルクは、ちゃんとお袋さんに許可を貰ってから、討伐とかに出かけるようにな。」
と海渡が付け加えると、「えーーーー!!」と愕然としていた。
海渡は、弟子達1人1人に、テントや冒険者グッズを渡し、ケモ耳ズに1台、少年少女隊に1台の魔動自動車を与えた。
そして、ケモ耳ズには、ドリンガさん渾身の作である武器を渡した。
「「「「ありがとうございます!!! 大事にします!!!」」」」
と飛び上がって大喜びの4人。
「まあ、大事にしてくれるのは嬉しいが、その武器や物を守る為に、怪我したり命を粗末にはするなよ?」
と釘を刺すのであった。
朝食の後、フェリンシアと共に教会へと向かった。
祭壇の前で跪いて、
「女神様・・・」
「いらっしゃい、海渡さん、フェリンシアさん。今日を含めてあと3日ですね。」
と笑顔の女神様。
「ええ、それで一応決戦前の最後になるかもと、やってきました。」
と海渡。
「海渡さんもご存知の様に、先頭は14日には到着し、1日の休養が出来る位置に居ますが、最後尾は14日ギリギリに合流する事になるでしょう。
もはや、戦闘出来るコンディションじゃないんですけどねぇww」
と冷ややかなご意見。
「やはり、そうですよね。しかもドロップアウト率が多くて、現在行軍開始時の80%を割り込んでますよねw
何処の世界もですが、馬鹿がトップに立つと、本当に困りものですね・・・。」
と海渡。
「ところで海渡さん、戦争後は、本当にゲルハルト帝国を統治しないんですか?」
「ええ、流石にそんな大きな物を抱えるのは、キャパオーバーですよw 今の商会だって、自分のキャパじゃないですからね。」
と海渡が言うと、
「でも、考えてみて下さい、今のワンスロット王やコーデリア王にそこまでの余裕があると思いますか?
実際問題厳しいでしょう? そうなると、何だかんだでワンスロット王もコーデリア王も海渡さんに委譲しようとするんじゃないですかね?
例えば、補佐する人員は出来る限り用意するから・・・とか言って。」
と女神様。
「うん、確かに・・・ あり得そうな気しかしないですね。 えーー!でもそうすると、今の商会とかどうなるんですか? 俺、自由無くなりませんか?」
と嘆く海渡。
「まあ、そこら辺は補佐役次第じゃないですかね。 まあまだ決定でもありませんし、海渡さんが決定的に拒絶すれば、話は一旦は消えるでしょう。
しかし、時間を置くと余計に悪化した状態で関わるハメになるとは思います。」
と余り聞きたくない情報が。
「ううう・・・考えます・・・。」
と海渡が弱々しく答えると、
「まあ、最悪、使徒である事を公開しちゃえば、楽に進むと思うのですがね。
とにかく、15日は前にお願いした様に、徹底的に格の違いを見せつけて、完膚無きまでに心をへし折って下さい。情けは無用ですからね・・・・」
とお気楽な女神様の声が消え、祭壇の前に戻って来た。
海渡は、結構精神的にショックを受けていて、暫く動く気がしなかった。
「海渡大丈夫ですか? そんなに落ち込まないでください。 まあ、私もステファニーさんも、オスカーさんも、ヨーコさんも、それに弟子ズのみんなだって、ちゃんと手伝ってくれますから。」
と肩を優しく撫でるフェリンシア。
「ありがとう・・・。 まあ、なる様にしかならないか。 出たとこ勝負で、判断する事にしよう。一応、最悪の場合の心構えだけはする様にする。」
と言って、立ち上がり、笑顔を見せる海渡だった。
気分直しも兼ねて、孤児院に寄り、子供らと話しをして、物資を支援した。
「少し気分転換になったかなw」
と海渡が言うと、フェリンシアもニコニコしていた。
宿舎に戻って、ステファニーさんと弟子ズを連れて、秘密基地にゲートで飛んだ。
「ん? 何で秘密基地なん?」
とステファニーさんが聞くので、
「ステファニーさんには前に話したと思うけど、いよいよ15日の決戦が確定したので、ヒラメ君を前もって配置しようと思ってます。
「ボス、決戦って何の決戦なんですか?」
と詳細を知らない弟子ズが聞いてきた。
なので、去年から進行している一連のゲルハルト帝国絡みの事件や侵略、ワイバーンを含む魔物を動員した攻撃、そして15日の侵略開始の件を弟子達に説明した。
「なるほど! だからヒラメ君作った訳ですか。」
と納得する弟子ズの面々。
「まあ、これが一番戦線が拡大せず、犠牲も少なくて済む方法だからなぁ・・・。気は乗らないんだけどね。
と言う事で、これから出陣式って感じだな。」
と言って全員で管制タワーに登る。
「じゃあ、行くよ。ポチッとな!」
とタブレットのボタンをクリックすると、
全ての滑走路に出て来たヒラメ君が、飛び上がりつつ姿を消していく。
その数、800機。
結局、インパクトや、終了後の治安維持の為に、数を増やしちゃったんだよね。
内訳は、大都市86箇所は6機で巡回、中規模31箇所は3機 小規模47箇所は2機 合計703機
更に、帝都12機 国境の最前線に各40機、予備5機・・・ 合計800機。
そして、30分近くで全機の離陸が完了した。
暫くの間、管制タワーのレーダーには無数の点が写っていたが、やがて全ての点がレーダーレンジ外へと出て行った。
「よし、これで事前準備は完了。 後は、今日明日はダンジョンに潜って過ごす事にする。一緒に来るか?」
と聞くと、全員が
「「「「「「「イエス・サー」」」」」」」
と笑顔で答えた。
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