第357話


異世界3ヵ月と17日目。


いつもの時間に目覚めた後、ショールームを更に20軒程作成し、全員で朝練を行う。

そして、昨日コーデリアのドラクさんから納品された、オーガ革のジャケット、パンツ、コート一式を弟子ズに渡した。

既に海渡によって付与は付けてある超神話級の装備である。


彼らの要望で、ラルク少年は黒、女性陣は赤色になっている。

ちょっと不思議に思ってしまったのは、獣人のパンツルック時の尻尾の位置だが、ちゃんと、切り込みが入っており、ジャストフィットで出せるらしい。


何故か、それを聞くと、

「ボス・・・それセクハラです・・・。まあ吝かでは無いのですが。出来れば、人の居ない所でお願いします。」

と頬を赤くされてモジモジされた。


そ、そうなのか・・・タブーだったのか!


海渡は焦って、

「あ、忘れて。ごめん。気になったんで・・・」

と目を逸らした。


いや、だって気になるじゃん? 下着とかもどうなってるんだろうか? とかさ。

尾てい骨の位置に尻尾がある訳だから、本来なら隠れている部分だしねぇ。

人族基準だと、半分尻に近い訳で、それってどうなの?とか思う訳ですよ。



まあ、それはさておき、新しい服は好評で、体が軽い 動きが速い 激しく動いても暑く無い と全員が絶賛していた。

そりゃ、そうだよね。その様に付与してるからね。


あと、キャスにスナイパー用のライフル・・・タンクライフルを1セット渡した。

勿論注意事項はキッチリと言い含め、ハンドガン以上に気を付ける様に伝えた。

更に、各自にハチミツ水と、ユグドラシルの実をミキサーに掛けジュースにした物が入っているアンプルを2本ずつ渡した。


これで、後はドリンガさんにお願いしている、ケモ耳ズの新しい武器が出来上がれば、大抵の相手には大丈夫だろう。


その後は普段の訓練をして、朝風呂に入り、大食堂で朝食を取った。


朝食の時に、オスカーさんから、全支店からショールーム設置許可が取れた事の報告があった。

そこで、今日から海渡、フェリンシア、ステファニーさんの3名で手分けして、総合型宿舎への切り替えと、空港側へのショールーム設置を行う事にした。

通達は、オスカーさん、ヨーコさんに任せ、各自、1時間を目安に、8都市を担当し、3日間で72都市の計算である。


「そんなにハイペースで大丈夫ですか?」

とオスカーさんに心配されたが、ややこしい地下施設がない所がばかりだから大丈夫だと思う・・・多分。


タイムスケジュールを組んで貰い、海渡はまず王都のショールームを設置しに行く事にした。

ちなみに、海渡のアイテムボックスに入っている総合型宿舎とショールームであるが、アイテムボックススキル保持者同士であれば、手を繋ぐ事で譲渡出来る。

これはサイズに関係無く可能なので、一々外に出して、入れて・・・を繰り返す必要は無い。

2人に宿舎とショールームを渡し、展示する自動車やトラックバスを収納して貰う。


出かける際に、お手伝いしたいと、弟子ズが懇願するので、海渡は少年少女隊3名、フェリンシアとステファニーさんにはケモ耳ズを各2名同行させる事にした。


海渡だけは、王都に寄る為、1都市多い9都市となるが、宿舎の入れ替えが無いので、15分ぐらいと見積もっている。



3機の飛行機が飛び立ち、それぞれの目的地へと向かった。





海渡ら一行は、午前中のスケジュールの3都市を順調に熟し、開いた時間で機内で昼食つつ移動し、12時に到着した4都市目の宿舎を入れ替えた。

ここは、あの旧エリンガ領である。

現在は新しい領主の元、街も見違える様に活気に溢れ、順調に復興を遂げている。


「兄貴、ここの人達って、かなりの確率で、兄貴に挨拶してくるっすけど、前に来た事あるんすか?」

とラルク少年が不思議そうに聞いて来る。


なので、過去の・・・と言っても2ヶ月ぐらい前か? の出来事を話ながら、店舗へと向かったのだった。


店舗では、店長を含め、忙しく接客中なので、軽く手を上げて合図し、そのまま裏に行って、サクッと宿舎の入れ替えを行う。

店舗の裏のスタッフルームに注意事項等を書いたメモを残し、早々に場外へと出て、ショールームを設置し、車両を配置した。

そして、最後はショールームのガラスディスプレイにCMが映し出されているのを確認して、作業完了である。


午後もこのペースで4都市を廻り、本日の入れ替えは全て終了した。


最後の都市は、作業完了で精神的な余裕が出き、空港までの帰り道、屋台の買い食いを少しだけ楽しむのだった。


そして、トリスターへと戻って来た。


滑走路を見ると、フェリンシアの機体が着陸していて、正に収納する直前であった。


「うー、フェリンシアに負けたな。原因は買い食いかw」

と海渡が悔しがったが、


「え?買い食い? 勿論、全部の都市で楽しみましたよ?」

と余裕の表情で言われ、海渡はガックリしていた。


そこにステファニーさんの機体も戻って来た。

着陸を待って、ステファニーさんに買い食いをしたのかを聞くと目を逸らされたwww


同行したプリシラとミケの報告では、かなりの食いっぷりだったそうだ。

時間に遅れるからと、プリシラとミケが止めて、次の都市へ飛ぶ・・・の連続だったそうで。


爆笑しながら、全員で宿舎へと戻るのだった。



夕食後、風呂に入った後、残りのショールーム20軒を作り、この先作る予定の学校の校舎や、ホテルの構想を小一時間程練ってから、部屋に戻った。

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