第345話


異世界3ヵ月と14日目。


コーデリアの宿舎で目覚めた海渡は、ベッドの上でボケーっとして何をやろうかと考えていた。

そこで、ふとガトリングガンの圧倒的破壊力が、素材を全て台無しにしてしまう可能性が高い事を思い出し、なんかもっとスナイパー的なライフルを作るべきか?

と思いつく。


トリスターの地下工房へ降り、精密射撃用の長め銃身を作り、ハンドガンと同じく、冷却用のパイプを巻く。外側には強化TFG製のケースを内臓し、トレントでライフルの用なストックを作った。

マガジンはハンドガンと共通で、弾も9mmとした。


スコープだが、カメラとガラスディスプレイを用いた物を作り、上部のダイヤルで、ズーム・アップ/ダウン出来る用にした。

ライフルと言うか、見た目は、結構ゴツく、対戦車ライフルっぽい渋さ。

銃身の先には、折りたたみ式の足が2本付いている。


「なかなか良いじゃんw」

とほくそ笑み、生産ラインを製造し、取りあえず5丁だけ作ってみた。


「やっぱ、作ったら、試射だよなw」

と最南端のダンジョンの第3階層の海へとやって来た。


階段のある島の丘に陣取り、スコープ越しに海を眺めるが、良い標的が見つからない。


スコープの調節もあるし、まずは堅実に陸の上で、木でも狙った方が良いか? と思い直し、再度別荘の近所に出て、薄暗い遙か2km先の森の木に狙いを付ける。

息を吐き、引き金を絞ると、

バシュ!

と言う発射音と共に狙いを付けた木の左30cm後方の木(直径1mぐらい)に、ポッカリと穴が空いた。

ドライバーで微調節をして、再度撃つ。

今度は10cm右・・・微調節~~(ry


「バッチリだなw」

とほくそ笑む。


更に5丁の対戦車ライフル・・・タンクライフルと名付けよう のスコープも調節した。


調節の終わったタンクライフルで、マガジンのダイヤルを2にセットし、5km先の木に照準を合わせて、トリガーを絞ると、

バシュ!

と言う発射音と同時にスコープの中の木(その後ろの木々も)が倒れた。


「良いね、良いねwww」


どうやら、銃身を長くした事で、電極が長くなり、エネルギーの伝達効率が上がり、結果弾速も上がって、威力が増したようである。


ダイヤル3は、自然破壊が怖かったので自粛したw


そろそろ、いつもの時間なので、部屋でフェリンシアと合流して、こっそりとトリスターの地下訓練場までやって来た。

2人で軽く稽古をしていると、7人の弟子達がやって来た。


「あれ?兄貴達、コーデリアなのでは?」

と一瞬不思議な顔をしていたが、訓練の為だけに戻って来てくれた事を理解して、喜んでいた。


昨日の続きで、海渡はプリシラに魔法の攻撃技等を伝授し、飛行魔法までは何とか使える程度になった。

更に、宿題として、アイテムボックスのスキルを教え、戻って来るまでに生やしておくようにと命じておいた。



弟子達と、地下訓練場で別れ、コーデリアで朝風呂の後、ステファニーさんも起こして、朝食を取った。



ヨーコさんは、もう1日こちらに残り、明日のオープンを見届けてから戻るらしい。

一応、奴隷商も確認し、人員が補充出来そうなら、するつもりとの事。


「一応、昨日あれだけ釘をさしといた大丈夫だとは・・・思いたいが、もし何かあれば、連絡してね。

トドメを刺しに来るからww」

と海渡が言うと、ヨーコさんもスタッフ全員も爆笑していた。


「本当に、コーデリアってさ、食べ物美味しいし、街の人とかは良いんだけどねぇ・・・あのダメエルフ達だきゃぁなぁ・・・。

まあ、憎めない人達なんだけどねwww」

と海渡が苦笑いしながら言うと、ヨーコさんもコクコクと頷いていた。


ステファニーさん曰く、

「まあ、王族や貴族は特に暇を持て余しているんが、原因なんやけどな。人生長すぎて、色んな事に飽きてしもうとるし、カイト君の持って来るもんは、全部刺激的やさかい、無理も無いかなw」

と言っていた。


「つまり、刺激的な暇つぶしさえあれば、問題無いのかな? ふむ・・・思い当たる物はあるな。 今度作ってみるか?」

と顎に手を当て、海渡が首を傾げつつ考える。


まあ、1つは既に考えてある。あのフェリンシアにやらせた射撃ゲーム・・・サバゲーっぽい奴ね。

ただあいつらジジイだからなぁ・・・体動かすのはダメかもな。


もう1つは、レーシングカート。

これなら、ある程度の土地に、コースを土魔法で作れば、簡単にできそうではある。

まあ、海渡がカート本体を作る必要があるのだが、会員制とかにしたり、レンタルにしたり、やりようもあるし、レースとか開催すると、それなりに盛り上がるんじゃないかな?

時間を持て余した奴らなら、ドップリお金を使ってくれそうではあるよなぁ。


と考えながら黒い笑みが漏れる海渡であった。



時刻は午前7時50分・・・まだ早いのだが、街を散策しながら飛行場へ向かう事にする海渡ら3名と1匹。

早い屋台は既に朝食セットや肉串等、出している。

いつもの様に、彼方此方の屋台で買い漁りつつ、南門へと向かう。

久々であっても、既に屋台や露天商の間では、海渡らは有名で、

「おう!坊主達! 久々じゃねーか! ほら、これ新作だ!」

とか、

「今日も買って行くかい?」

とか・・・美味しければ爆買いするのを知っているので、売り込みが激しいww


逆を言えば、「海渡らが爆買いする」と言う事が、1つのミシュランガイド的な★の役目にもなっていた。

まあ、本人らはそんな裏事情は知らないのだが。



かなり寄り道したのだが、飛行場には8時45分に到着してしまった。

時間潰しの為、滑走路でテーブルと椅子を出して、屋台の戦利品を食べつつカフェオレを飲んでいる3名と1匹。


ショールームの前には、かなりの人が群がって、ゴソゴソと話し合ったり、車を覗き込んだりしている。

「CM作ったかいがあったなww」

とその様子を見て喜ぶ海渡。


「うちも、まさかあんなカッコイイ映像になるやなんて、思わんかったでw」

と肉串を頬張るステファニーさん。


すると、レイアが、

「あのぉ~、親分、あっしがあまりカッコ良く写ってないんですが~」

とクレームを付けて来た。


「何言ってるんだよ、お前、撮影中、ずっとフェリンシアの頭の上で寝てたろ!!」

と丁度、フェリンシアらが、砂漠で車から降りるシーンの頭の上を指さす海渡。


「いや、まさかこんな面白い事になるなんて・・・教えてくれれば・・・」

とグチグチ言っていたw


約束の時間3分前にドロスさんと、パイロットの兵士がやって来た。


「あ、おはようございます。」

と海渡。


「あ、カイト君、フェリンシアさん、ステファニー、おはよう!!」

とドロスさん。


「どうしましょうか? そちらも飛行機出すなら、そちらの飛行機に乗って行って、向こうで別れますかね?」

と海渡が言うと、


「ああ、そうだね。その方が良いか。」


と言う事で、兵士が格納庫から出した機体に乗り込み、空港を後にしたのだった。

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