第344話
緊急事態?で来たとは言え、せっかく来たのだから楽しい食事を楽しまない手は無いと、殆どやる事を部下に引き継いだヨーコさんも含め夕食に行く事にした。
さて、なにを食べようか? とみんなの意見を聞いて、寿司に決定。
サチーさんも参加すると言うので、チラリとドロスさんを見ると、
「是非ご馳走させて下さい!」
と頭を下げられたwwww
「いや、何か無理矢理奢らせるようで、虐めみたいじゃないですか。 そんな無理しなくても・・・」
と海渡が言うと、
「大丈夫です。ちゃんと奴らから回収しますから! 少しでも美味しい料理を食べて貰って、『ああ、こんな美味しい料理のあるコーデリアを滅ぼすと勿体ない』って思って貰わないとねw」
とドロスさん。
「ふふふ、いや、元々コーデリアの料理は故郷の料理に近いから、大好きですし、ここの人達も好きですよ? 滅ぼすなんてwww 局地的にやるぐらいですから。
まあ他に被害出ないようにするが、結構加減とか色々難しいんですがね。そんな人を魔王みたいに言われちゃうと、僕、泣いちゃいますよ?」
と泣く真似をすると、ドロスさん以外が大笑いしていた。
いつもの寿司屋に入ると、
「おう!坊主!! 持ち帰り分、結構出来てるぜw」
とニカッと笑う大将が迎えてくれた。
「どうも。今日は、少々大人数ですが、大丈夫ですかね?」
と聞くと、奥の座敷(と言っても掘り炬燵形式なのだが)に通してくれて、全員で寿司を堪能する。
海渡も先日見た海の魚のせいで、火が付いていたので、3人前をペロリと食べ、現在4人前目に突入している。
容赦無くハイペースで飛ばすフェリンシアとステファニーさんは5人前を食べている。
味が分かるのか、微妙なレイアも、
「レア加減最高っすねw」
と微妙なコメントを残しつつ、4人前を食べた。(一応、海渡がストップを掛けた)
ヨーコさんも、
「これが本場のお寿司なんですね!」
と嬉し気に2人前を。
サチーさんも、
「やっぱり、ドロスの奢りの飯は美味いぜ!」
と2人前をペロリ。
「大丈夫・・・回収するから・・・回収するから・・・」
と呪文の様に呟く、小食なドロスさんは、1人前で良いらしい。
食事が一段落した所で、海渡が質問する。
「ところで、ドロスさん。 前にお願いした、稲作の講師の件と醤油味噌の講師の件、決まりましたか?」
と聞くと、既に決まっていて、王都の方に来る話になっているらしい。
「じゃあ、せっかく無理言って来て頂くのだから、こっちから迎えに行きましょうか?」
と打診すると、
「ああ、その方が全然早いよね。」
とドロスさん。
早速通信機で先方に連絡していた。
迎えに行く日時を聞くと、明日でも良いよ? との事だった。
場所を聞くと、ここから500kmの場所で、10家族、28名だそうだ。
なので、明日の午前10時頃飛行機で迎えに行く事を伝えて貰う。
更に、海渡はテリラス領のジャックさんに連絡し、稲作と醤油味噌の件を伝えると、講師用の住宅も準備済みで、いつでもオッケーとの事だった。
「お陰様で、テリラスは今、もの凄く活気に溢れているよ!」
とお礼を言われ、照れる海渡であった。
宣言通り、寿司屋はドロスさんが、おご馳走してくれた。
「「「「「「「ご馳走様でした」」」」」」」
と声を揃えて、お礼を言うと、
「大丈夫・・・回収するから・・・回収するから・・・」
と呪文の様に言っていたwww
寿司屋を出る前に、大将から呼び止められ、ストックしておいたお持ち帰り用の寿司を80食分受け取り、またお金を渡して、次回までの分をお願いした。
ドロスさんは、明日着いてくると言っていたのだが、
「え?でも帰りどうします? ここまで送らないですよ? 直接テリラス領まで行っちゃいますから。」
と言うと、
「え?そうなの? うーん、判った。 じゃあ、こっちも飛行機出して先導するよ。」
と言うので、朝の9時に飛行場で待ち合わせする事になったのだった。
海渡は、その後何軒か回って、ストックして貰っている食料を回収し、お金を払っていく。
一緒に着いて来ていたヨーコさんが、
「なるほど、カイト様のあの異常な食料ストックの理由が理解出来た気がしますw」
と笑っていた。
「って言うか、ヨーコさんだって、今ならお気に入りの物を収納出来るじゃん?」
と言うと、ハッとした表情になり、
「あ!そうでした!!!」
と真剣に何を買うか考えている風だったw
コーデリアの宿舎に戻り、全員にお土産のお寿司を渡しす。
久々のコーデリアのお寿司に、喜ぶスタッフ達。
「あ、サチーさんにお土産渡し忘れた!!」
と思い出して、慌ててフェリンシアとステファニーさんの3人で、向かう。
「ん? 何忘れたん?」
とステファニーさん。
「ああ、餅米を追加購入するのと、餅米の籾だねを分けてもらおうと思ってまして。 ついでに、サンド・ワームの肉とユグドラシルの実を置いてこようかと・・・」
と海渡が言うと、
「そら、おもろいなww」
とステファニーさんが察したらしく、悪い顔で笑っていた。
それから15分後、海渡ら3人はロデム商会の店先で、番頭さんにお伺いをたてていた。
「すみません、ちょっと忘れ物あって、サチーさんお願いしたいんですが。」
番頭さんが、一度奥へ引っ込んで、直ぐにサチーさんの書斎へと通された。
ソファーに座るなり、
「すみませんね、さっきは色々あって、すっかり忘れてしまってました。ちょっと面白い物が手に入りましてね。」
とサンド・ワームの肉ブロック30kgをドンとテーブルの上に出してみる。
サチーさんは肉の塊を食い入るように視て、鑑定しているらしい。
「え? え?? これは・・・サンド・ワームの肉!? あの伝説のグルメ魔物!?」
とアウアウしている。
「なぁ!なぁ! 売ってくれるか! 売って!! まさかあの伝説のグルメ魔物を食べられる日が来るとは・・・」
とガッツク、ガッツクww
「ふふふ、あとね、かなりレアな物も手に入りましてね。」
とその横に100切れぐらい取れそうな、ユグドラシルの実のを切った物を出してみた。
更に食い入る様に見るサチーさん。
ワナワナしながら、ブツブツ言っている。
「え? 何? いやまさか・・・。でも・・・え? ホントに??? お伽噺の中だけじゃなかったのか!?」
とハーハーと息が荒くなって来た。
「ええ、ユグドラシルの実ですよ。実がなるのは500年に1度らしいですね。いやぁ~この時代に生まれてラッキーでしたw」
と海渡が笑いながら言う。
すると、サチーさんは、ガバッと椅子から身を乗り出して、
「なあ、頼む!!! 売ってくれ! 何が欲しい!? この店か!? この店全部か? 私の体も欲しいなら、吝かでは無いぞ!!」
と壊れかけているし。
「まぁまぁ、落ち着いて下さいよ。店も体も要りませんからwww」
と宥める海渡。
「元々お世話になっている方に、お裾分けする予定でしたから。
ただ、このユグドラシルの実は・・・そうですねぇ、サチーさんの大事な方だけに食べさせて上げて下さい。」
と言うと、
「なぁ、サチー、そのユグドラシルの実って、ホンマ凄いでぇ~。メッチャ美味いんや。しかもな、ほんの一欠片で、満腹になるわ、ステータスは上がるわ、賢くはなるわ、状態異常も治るし、更に部位欠損も修復するんやで?」
とステファニーさんが、追撃情報を投げる。
「だから、差し上げますけど、オークションとかに出して売ったりする事は止めて欲しいです。」
と海渡が言うと、
「判った。ありがとう!! ああ、夢のようだ!」
と号泣しだしたwww
やっと一頻り嬉し泣きして、落ち着きを取り戻したサチーさんに、
「あ、サンド・ワームの肉は店の皆さんで食べて良いですからねw これは沢山ありますしw
あと、欲しい物がありまして、餅米と、餅米の種籾を分けて頂きたいんですが、ありますかね?」
と聞くと、「判った!」と直ぐに番頭さんを呼んで、指示を飛ばした。
どうやら、出来るだけ集めてくれるらしい・・・タダでwww
「他は?」
と聞くので、醤油や味噌の麹が欲しいと言ってみると、それも用意してくれるらしい。
「他に何か無いか? 出来る事なら何でも言ってくれ!」
と言うので・・・
「じゃあ、せっかくなので、そのサンド・ワームの肉やユグドラシルの実の感想を、せいぜい王様に自慢してやって下さいよwwww」
と海渡が言うと、意図を理解したらしく、爆笑するサチーさん。
海渡の横でフェリンシアとステファニーさんも腹を抱えて笑っていた。
そうして、大変実りのある取引を終えて宿舎へ戻り、風呂に入って寝るのであった。
ちなみに、オスカーさん→ヨーコさんからの報告だが・・・、
CMの反響がもの凄く、自動車やトラック、バスに対する問い合わせで各店舗が大変だったらしい。
結果、初日だけで、約200台の自動車と、約300台のトラックが売れた。バスは各地の領主様からの注文で約130台程売れたらしい。
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