第342話


暫く、遙か向こうで荒れ狂う竜巻を眺めていたが、当分終わりそうも無いので、本日はこれで終了にする事とした。

第4階層を出る前に、海渡にとってはお宝である砂漠の砂を、大量に持って帰る事は忘れ無かった。




取りあえず、別荘に一旦戻ってお茶をのみ、反省会をする海渡とフェリンシア。

「いやぁ~、なんか今回は余計な事やって半端な所で中止になってしまって、ごめんなさい。」

と素直に頭を下げる海渡。


「うーん、でも逆にそう言う効果も考えないとダメと言う事が判ったので、ダンジョンの中でラッキーだったんじゃないですかね?

少なくとも、自然でそう言う現象が起きると判ったので、私には非常にプラスでした。

あれの逆バージョンのダウンバーストですか? それもどれ位なのか、是非体感してみたいですwww」

と物騒な事を仰ってます。


「うむ・・・俺も、誇張された映画のシーンで見ただけだから、実際にどれくらい凄いのかは判らないんだけどね。

とにかく、上空に超低温の空気又は氷を置けば行けるんじゃないか?程度しか判らん。」


「映画? それは何ですか?」

と言う事で、映画って物を説明する海渡。



「つまり作り物・・・わざわざそれっぽく見せる為の映像で、本とかのお話を再現したような物なんですね? それは面白そうですねw」

と興味津々。


「まあ、いきなり映画は無理だけど、CMは撮ろうと思ってるんだよね。自動車のCM。あ、CMってのはコマーシャル・・・その映像見ると、製品の特徴が判って、『ああ、これ欲しい!!』って思わせる様な映像ね。」

と説明した。


「わぁ~ 楽しそう♪」

と目を輝かせるフェリンシア。


作りたいけど、問題は・・・動画編集やBGMだよなw

パソコンあったらなぁ~ 色々楽しい事出来るんだけどなぁ。

魔動CPUは作ったけど、元の世界ではZ80をアセンブラで動かしている様なレベルだしなぁ・・・。

OSを作る所から始めるのは流石にキツいし、判らんなww




休憩と反省会を終え、海渡はフェリンシアを連れて、1km離れたガトリングガンの試射場跡へとやって来た。


「わぁ~綺麗!!!」

とお花畑で、キャッキャウフフしている美少女フェリンシア。


海渡はそんなフェリンシアを横目に、先日刈ったばかりのサトウキビを見て驚いていた。


「スゲーな。もう生えそろってる。驚きの成長力。 流石はラピスの泉の水だな。」

と感嘆しながら、ホクホクと刈り入れを行うw

そして、最後にまたラピスの泉の水を撒いて、飛行機で飛び立つのであった。




ゲートで飛行機ごとショートカットしてトリスターへと帰還し、宿舎へと戻って来た海渡は、地下工房へと降りて行き、キャンピングカーのベースとなる、ドン空ボディの製造ラインを作成。


そして、紙にキッチンやテーブル、椅子、ベッド、バスルーム、トイレ等の配置を色々考える。

色々と考えた結果、最後尾の左右にバスルーム(脱衣所付き)とトイレを振り分け、トイレの隣(前側)に洗面所を配置。

更にその並びでキッチン、その通路の反対側には収納型のテーブルと椅子、そして空いた空間の両壁に展開式の3段ベッドを配置。

最大で12人が眠れる様にした。

ベッドを展開しない場合は、床からポップアップ式のベンチシートを引き出せる様にしている。

その他、時空間倉庫型の収納等を配置してレイアウト図は完成。


更にもう1つレイアウト図を作成する。

今度のは、展示ルーム用の物で、ゴージャスな物にする。

最後尾に、クィーンサイズのベッド、その前にバスルームとトイレ+洗面所、キッチン、そしてテーブルとソファー、従者用の3段ベッドを2つ、従者用のトイレとシャワー。

展示用のレイアウト図も完成し、出来上がったキャンピングカーのベースを3台取り出した。



ホクホクしながら、棟梁の所へとやって来た。

「棟梁! お願いがあるんですが!!」

と海渡が声を掛けると、


「おう!坊主!久しぶりじゃねぇか! 相変わらず忙しそうだなw」

と新年早々、元気いっぱいの棟梁。


「ちょっと見て頂きたい物がありまして。 これなんですが・・・」

とキャンピングカーのベースとなるバスと、配置図を出して見る。


「ほう! 坊主!! 相変わらず面白そうな事考えるじゃねぇかwwww」

とほぼヨーコさんの詠み通りの回答に、思わず吹いてしまう海渡。



「合間合間で結構ですから、宜しくお願いしますね!」

と海渡が言うと、


ニカッと笑い、親指を立てて、

「おう!任せとけ! 適当にかっちょいいのを作ってやるぜ!」

と言っていた。





時刻は午後4時過ぎ。

まだ時間があるので、3面をガラス張りショールームを作る事にした。

の2階建て。背面には時空間共有倉庫型のガレージ。

2階部分の外壁には、大きなガラスディスプレイを3面取り付けた。

ショールームの床は光沢のある真っ白な大理石風の床。

しかし、そこでちょっと面白い事を思いつき、床をターンテーブル式にして、自動でユックリ回転するようにしてみた。

更にスポットライトを設置して、日暮れぐらい午後8時頃までは照明がONになる様にする。


早速、南門の外に出て、空港のロビーの手前・・・門寄りにショールームを配置する。

中に、魔動自動車2列シート型をターンテーブルの上に、3列シート型、バス、トラックを配置した。


時刻は5時前、自動でスポットライトがONになって車両をライトアップする。

「良い感じじゃんwww」


北門側にもショールームを置く為に移動しないといけないのだが、ゲートだと拙いと判断し、飛行機でサクッと移動する。

そして南門同様に配置したのだった。


北門からから宿舎への帰り道、どうやってCMを作るか、頭を捻る海渡であった。




夕食後、海渡は地下工房で、水晶記憶体の映像の頭出しが出来る、ターンテーブル形のタイムライン移動装置と映像表示用モニタのセットを数台、

テロップ用の文字入力装置、更にミキサーと合成した動画を水晶記憶体に保存する装置を作成した。

実際のところ、動画編集なんて、やった事は無いのだが、凝り性の大学時代の友人宅に置いてあったUSB接続の装置を思い出して参考にしたのだった。


明日から暫くは、色々な角度からドローンによる撮影だなw

モデルは・・・フェリンシアとステファニーさんに頼むかなww

あ、でもトラックはイメージとして棟梁なんだよなぁ・・・頼んでみようかなwww。

バスは・・・スクールバス的なイメージで、孤児院の子供と園長さんにお願いしようかな?w


と頭に描いては、絵コンテを作り、グフフとほくそ笑む海渡であった。

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