第323話
収支結果だが、朝の副隊長で、白金貨3枚と金貨79枚と銀貨88枚の儲け。
今回のゴミズで、白金貨2枚、金貨35枚、銀貨71枚の儲けとなった。
「うーん、やっぱり冒険者はあまりお金持って無いって事だな・・・」
と冷静に反省会をする海渡一行。
まあこのまま死なれると、厄介なので、軽く3匹にヒールを掛けておき、先ほどの奴隷商に来て貰う様にとケモ耳3名に伝令を頼んだ。
智恵子さん情報では、どうやらあのゴミ共の全財産併せても、白金貨1枚所か、金貨50枚が良い所との見積もりだ。
取りあえず、鼻歌交じりで遠く離れた熊を引き摺って来る小さい人族の少年。
そして、満面の笑みで剥ぎ取りを行い、所持金、防具、武器、金目の物を全て集める姿に、自分の股間を押さえながら、ドン引きのギャラリー(主に男)。
未だに何が起こったのかが、理解出来ないらしい。
そんなギャラリーの中でも、ケミ耳女性冒険者は、目をキラキラさせて、
「「「カイト様❤ す・て・き!」」」と呟いている。
海渡の人外な戦闘力を目の当たりにしたプリシラも同様だった。
剥ぎ取った防具、武器、金目の物は、公平を期す為、査定が出来る人をギルド職員に言って呼んで貰う。
ギルド職員もドン引きしていたが、
「そもそも、あの状況で放置するギルド職員の手落ちですよね? これ他に相当な被害者居ますよ?」
と苦言を呈する海渡に、ギルドマスターも苦い顔をしていた。
このゴミ共はBランク冒険者で、腕はソコソコだったらしいのだが、相当に碌でもない奴らで、手を焼いていたらしい。
ギルドカードの口座には、金貨20枚程あるらしいので、全額を海渡のカードに振り込む事となった。
程なく先ほどの奴隷商がやって来て、惨状を見て苦笑いしていた。
「バカな奴らですねぇ・・・ 相手の実力も判らない癖に・・・」
と呟いていた。
足りない金額分から手数料を引いた金額を貰い、海渡一行は改めてギルドのカウンターへ行く。
「えっと・・・今日はどのようなご用件で・・・」
と顔を引き攣らせた、ケモ耳の可愛いおねーさんが、相手をしてくれた。
「ああ、今朝来たばかりで、この国のお金の手持ちが少ないから、引き出しに来たんですよw」
とニッコリ笑う海渡がギルドカードを差し出すと、震える手で受け取っていた。
「判りました、まず残高を確認させて頂きますね。」
と言って、海渡のSSSカードを受け取り、残高を確認した受付嬢が、
「っ!!!!!!」
と言葉を詰まらせた。
その様子を見た廻りのギルド職員が「「「「どうした?」」」」やって来て、ガクブルしている。
「あああ・・あの、カイト様、流石にこの金額全部とかは言われませんよね? と言うか国内の全ギルドの予算さえオーバーしてますし・・・」
と涙目になって訴えてきた。
「ああ、そんな事はしませんよ。軽く買い物とかする分だけなんで。ご安心下さい。」
と海渡が宥め、ギルドカードから白金貨50枚と、金貨500枚、銀貨300枚を引き出した。
それを見ていた周囲の冒険者が、更にドン引き。
周囲からヒソヒソと声が聞こえる。
「何だよ!最初から途方も無い金持ってるんじゃねーかよ!!」
とか
「何て金額持ってやがるんだ!」
とか、
「じゃあ、見せ金って、本当にほんの一部だったのか!」
とか、
「SSSランクぱねーー!」
とか、
「抱いてーー!」
とか、
「お持ち帰りOKよーー❤」
とか色々酷い内容だった。
そして、海渡一行が去ったギルドは騒然としていた。
「おい、仲間内・・・いや全冒険者に絶対にあいつらを怒らせるなと徹底しろ! ヤバいぞ!!」
「おい、今朝、門の所での騒ぎって、あいつなんじゃねーか?
ほら、ガルーダ副隊長がやられたって話だよ!!」
と言うと、
「「「「「あーーーー!!!」」」」」と全員が納得していた。
この日を境にこの国の冒険者の間で、
『触らぬカイトに祟りなし』
と言う格言が誕生したのだった。
待ち合わせの時間が迫っているので、本来なら教会に行くつもりだったが、急遽変更して、そのまま宿舎へと向かう事にした。
約束の時間には余裕だったのだが、門の前には既に39名とそれを見守る様に多くのギャラリーが取り囲んでいた。
「あ、みんな揃って早いねw 待たせて申し訳ない。」
と謝って、ブレスレットで門のロックを外し、自動で開いた門の中へと誘導した。
「おい、今、勝手に門が開いたぞ!!」
とか後ろの方で、声がしていた。
全員が入ると、門にロックを掛けて閉める。
そして宿舎の前まで行き、
「ここが皆さんに住んで頂く予定の従業員宿舎となります。」
と紹介すると、
「「「「おーーー!」」」」
と39名の歓声が揃う。
全員にセキュリティキー様のブレスレットを渡し、中へと案内する。
1階から順に大食堂、応接室、会議室、エレベータ、エスカレータ、託児ルーム・・・従業員部屋、そして大浴場を見せると、
「「「「すっげーーーー!!!」」」」
と大興奮する39名。
特に女性陣の大浴場の食い付きが凄かった。
プリシラは、
「私もここに住みたい・・・」
と呟いていた。
「カイト様! あなたが言った『損をする』の意味が判りました!」
と1人が言って、他の38名もウンウンと頷いていた。
取りあえず39名の中から、一番シッカリしてそうな者を男女1名ずつ選んで、仮のリーダーとして纏めて貰う事とした。
39名全員に、通信機を渡し、番号の控えを作った。
更に、自分用のマジックバッグ、マジックポーチ、マジックバックパックを選ばせ、初期化させた。
計算や文字が読み書き出来ない物には、文字カードや教科書を与え、全員に、骨粉入りハチミツ水を飲ませてドーピングし、一気に覚えさせた。
更に、調理スキル実習を行って、スキルを生えさせ、魔力操作や魔力感知スキルを覚えさせ、身体強化まで何とか2時間ぐらいで取得させた。
既にみんな目の色が違い、完全に海渡を神の様に崇めている・・・
「いや、新興宗教とかの教祖になる気はないからな? 何かを感謝するなら、巡り合わせてくれた女神様に感謝するんだな。」
と釘をさす。
狂信者程怖い者はないからな。
何が起きても、誰かに委ねるのではなく、考える事を放棄せず、自分で考える。
これは本当に重要だ。
過去に日本では、そう言う一部狂信的な信者を抱える新興宗教団体がテロを起こしたり、リンチ事件を起こしたりしてたからなぁ。
都合の悪い事は、神様の与えた試練、都合の良い事は、神様のお陰 と言って考える事を放棄させ、教団が好き勝手やらかす・・・怖い怖い。
そして普段より、大分遅い時間になったが、夕食代わりに、ユグドラシルの実を1欠片ずつ、皿に入れ、食べさせた。
「「「「「っ!!!!!」」」」」
全員が蕩け、そして涙していた。
部屋割りをした後、風呂に入って就寝・・・
ん? 何か重大な事を忘れている気がするんだが?
そして海渡は久々に早めに夢の中に・・・。
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